映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』

2008年04月28日 | Weblog
よい

押井守 監督
声の出演 田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、山内雅人、小川真司、宮本充、山路和弘、千葉繁、家中宏、松尾銀三、松山鷹志、小高三良、佐藤政道、林田篤子、上田祐司、亀山俊樹、後藤敦、坂本真綾、家弓家正

西暦2029年。企業のネットが星を覆い、電子が駆けめぐる近未来。公安9課の草薙素子を隊長とする、通称“攻殻機動隊”のメンバーに、国際手配中の天才ハッカー・人形使いが捕らえられたという報が入る。完全にサイボーグ化し、電脳を有する人形使い。ネットの海から生まれた彼は、自らを生命体と主張し、亡命を提言する……。

技術的に非常に高度なアニメーション。
元々手間のかかるアニメーションを素材として扱い、さらにデジタル加工してこれまでに見たことのない(といっても、10年以上前の作品だが)世界を見せてくれる。

コード2501というロボットが出てくるところで大きく前半と後半に分かれるが、気になったことがある。冒頭部屋で目覚める素子がシェードをあける。その部分が妙にアメリカのアニメーションのにおいがするのだ。同じく、後半2501のロボットが奪われて車が逃走する。その車を妨害するトラックに挨拶するトグサ。この部分も妙にアメリカ臭がするのだ。

話は単純で、ほとんど機械化された人間は機械との差異がなくなり、記憶や魂(これをゴーストというらしい)に頼るしかない。そこにゴーストを持った機械が出現することにより、人間が人間たるゆえんが大きくゆらめくことになる、という話。

話自体はそれほどおもしろくないが、見せ方がとてもうまいために飽きることがない。時間もちょうどよい。

『パンズ・ラビリンス』

2008年04月20日 | Weblog
よい

ギレルモ・デル・トロ 監督
イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アングロ、ロジェール・カサマジョール、マノロ・ソロ、セサール・ベア、エウセビオ・ラサロ、パコ・ビダル、フェデリコ・ルッピ 出演

1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。

映像が美しくて話が悲惨なファンタジー。

せっかく観るものの自由を与えられているのだから、「悲惨な現実からの逃避のための王国」という図式・先入観をまずは捨てよう。
もちろんそのように捉えても文句はないが、それは観たあとでの個々人の判断であるべきだ。

それで観たあとでのわたしの感想だが、まずラビリンス(迷宮)に期待していたがそれはあまり出てこない。
写真のクリーチャー(ペイルマンというらしい)が、どっかで見たようなと思ったら、同じ監督の『ヘルボーイ』の半魚人と似ているのだ。もしかしたら、中の人も同じではないか。

以下、ちょびっとネタバレ。








そしてマンドラゴラの魔法が効き、焼いたら効果を失い、大尉の部屋への侵入ができたことから、わたしには「現実逃避のための」少女のファンタジーとはとうてい思えなかった。

これは見終わったあとに、いろいろ語りたくなるファンタジーだ。

ふたつめの試練の様子はもう少し長く(わかりやすく)してほしかった。なぜあれにひかれるのかをね。

『夢のチョコレート工場』

2008年04月19日 | Weblog
よい

メル・スチュアート 監督
ジーン・ワイルダー、ピーター・オストラム、ジャック・アルバートソン、ロイ・キニア、オーブリー・ウッズ、マイケル・ボルナー、ウルスラ・レイト 出演

ウィリー・ワンカのチョコレートは、とても美味しいと評判で、世界中の子供たちに愛されている。だがある日、ワンカはその美味しさの秘密を探るライバルたちの過熱ぶりに嫌気がさし、工場を閉鎖してしまう。しかし、ある時突然、ワンカは世界中で販売されているチョコレートの中に5個分だけ当たり付きがあり、それを手に入れた人だけ工場に招待すると発表。やがて幸運な5人が決定する。そのひとり、チャーリーはジョーおじいさんと一緒に、いよいよ工場の中へ足を踏み入れるのだが…。

『チャーリーとチョコレート工場』の最初の映画化作品。
基本的な話は変わらないが後半がわかりやすくなっており、なぜ子供を招待して痛い目にあわせるのかの説明がはっきりしている。

制作年代が違うので合成技術を比較するのは酷だが、こちらもミュージカルで楽しい作品になっている。

写真がこの作品のウンパ・ルンパ。彼らの歌や詳細に関しては、ティム・バートン版のほうが時間をかけているが、こちらも悪くはない。

監督の違いも大きいが、こちらはストーリーを丁寧に描き、ティム・バートン版は彼の得意な毒や皮肉が込められている。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

2008年04月13日 | Weblog
よい

デヴィッド・イェーツ 監督
ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ロビー・コルトレーン、ワーウィック・デイヴィス、レイフ・ファインズ、マイケル・ガンボン、ブレンダン・グリーソン、リチャード・グリフィス、ジェイソン・アイザックス、ゲイリー・オールドマン、アラン・リックマン、フィオナ・ショウ、マギー・スミス、 イメルダ・スタウントン、デヴィッド・シューリス 出演

魔法学校で学ぶハリー・ポッターとその仲間たちの成長と活躍を描く人気シリーズ第5弾。今回5年生となったハリーは、恐るべき因縁と向き合いながら、復活した宿敵ヴォルデモート卿の脅威に立ち向かう。

ロンドンに急にもどらなければならなくなるから、ヘンな生き物を出さなければならない。それを説明するために、それが見えるヘンな女の子も出さなければならない。
新校長をどうにかしたいから、巨人をださなければならない。
恋に落ちる様子を描くのもヘタだったが、恋から醒める様子もヘタである。

このように、不満な点が多々あり、それらが原作の欠点か映画の欠点かもわからないが、これだけ急ぎすぎて描いたのは、イベント満載だからであろう。そのイベントがおもしろい。

ヘレナ・ボナム=カーターとゲイリー・オールドマンの壊れ者合戦はもう少し長くしてもらいたかったが、壊れ度では当然ヘレナ・ボナム=カーターの勝ち。
熱心に観るには不適当だが、軽く観るにはちょうどいい。

『007/サンダーボール作戦』

2008年04月09日 | Weblog
ふつう

テレンス・ヤング 監督
ショーン・コネリー、クローディーヌ・オージェ、アドルフォ・チェリ、マルティーヌ・ベズウィック、ルチアナ・パルッツィ、リク・ヴァン・ヌッター、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン 出演

核を積んだNATO軍の戦闘機が行方不明になった。事件を操っていた国際的陰謀団スペクターは、米英首脳に対して、1億ポンドもの身の代金を支払うことを要求する。期限は一週間。核の所在探索を命じられたボンドは、わずかな手掛かりからバハマへと飛ぶが……。

ジェット・パック(のちにピアース・ブロスナンに「懐かしい」と言われる)とか水中戦とか観るべきところも多いが、途中がもたつく。
祭の夜のクローディーヌ・オージェの扱いが不自然だったり、ウェルメイドなシリーズとしてはものたりないところがある。

『図鑑に載ってない虫』

2008年04月09日 | Weblog
ふつう

三木聡 監督
伊勢谷友介、松尾スズキ、菊地凛子、岩松了、ふせえり、水野美紀、松重豊、笹野高史、三谷昇、渡辺裕之、高橋恵子、森下能幸、志賀勝、村松利史、片桐はいり、嶋田久作、つぐみ、園子温、山崎一、田中哲司、マメ山田、佐々木すみ江、新屋英子 出演

ライターの「俺」は、「月刊黒い話」の美人編集長から「一度死んでも生き返れるという“死にモドキ”を使って、臨死体験をルポしろ」というとんでもない依頼を受ける。「俺」はアル中のオルゴール職人エンドーを無理矢理巻き込み、まずは“死にモドキ”調査中に消息を絶った、カメラマンの真島を探し始める。2人は、元SM嬢でリストカット・マニアのサヨコや、おかしなヤクザ&その子分らと遭遇しながら“死にモドキ”を捜索するが…。

話の最初と最後だけを決めておいて、その間を思いつきギャグでつないだような印象。なかには笑えるものもあったが好みではないものもあり、全体的な印象はふつう。

これだけのキャストを集めるのならば、もうちょっと違うものを観たかった。

この作品で描かれている死生観は悪くない。