映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
コメントのところをクリックするとコメントできます。

『フローズン・タイム』

2009年02月28日 | Weblog
フローズン・タイム - goo 映画

よい

ショーン・エリス 監督・脚本
ショーン・ビガースタッフ、エミリア・フォックス、ショーン・エヴァンス、ミシェル・ライアン、スチュアート・グッドウィン、マイケル・ディクソン、マイケル・ラムボーン、マーク・ピッカリング 出演

画家を目指す美大生のベンは失恋の痛手から不眠症に悩まされていた。どうせ眠れないのならとスーパーマーケットの夜間スタッフのアルバイトを始めるが、不眠続きで朦朧とするベンの周りで突然すべてが静止してしまう。買い物中にフリーズしたままの女性たちを丹念に観察して夢中でデッサンを重ねて行くベン。たった1人で時間の止まった世界に遊びながら、同僚の女性・シャロンの美しさに初めて気づくのだった。

たわいもない恋愛話でも、見せ方が斬新でコメディタッチの脚本でテンポがよく美人をそろえてなおかつ裸を見せてくれれば(笑)、ここまでの完成度にはなるのだ。

おそらくスーパーでのスケッチ・シーンで嫌悪感を抱く女性もいるだろうが、失恋で不眠症になるような純朴な男の少年時代からのヰタ・セクスアリス(イタ・セクスアリスと読む。意味がわからなければ検索しよう)を笑いをまじえてビジュアルに気をつかって描いた作品なのだ。

上の写真のシーンの直前に、雪の中に人形(ひとがた)のトンネルができているところは予想できてもおぉ~っと思ってしまった。

凍った時間にいたもうひとりの人はよくわからない。

『少年メリケンサック』

2009年02月21日 | Weblog
少年メリケンサック - goo 映画

ふつう

宮藤官九郎 監督・脚本
宮崎あおい、木村祐一、勝地涼、田口トモロヲ、三宅弘城、峯田和伸、ピエール瀧、田辺誠一、哀川翔、烏丸せつこ、犬塚弘、中村敦夫、ユースケ・サンタマリア、佐藤浩市 出演

メイプル・レコード新人発掘部門のかんなは、会社退職予定のその日、動画サイトに投稿されたパンクバンド、少年メリケンサックに釘付けになる。イケメンギタリストがギンギンに弾きまくり、凶暴なパフォーマンスでファンを熱狂させているのだ。早速、バンドとの契約に乗り込むと、そこにいたのはイケメン青年ではなく、昼間から酔っ払ったオッサン。動画に投稿されていたのは25年前のライブ映像で、メンバーは50代になっていた!

笑えるところもあるが、宮藤官九郎の力がこの程度とは思いたくない。
宮崎あおいの演じる主人公の下品な部分はおもしろかったが、前半もたつくところ(特にユースケ・サンタマリアの部分)がある。

もしかしたら監督としての能力が低いのかもしれない。自分の脚本だからこそ、余分な部分をカットする決断力を持ってほしかった。

ピエール瀧はおいしい役(笑)。

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』

2009年02月19日 | Weblog
アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生 - goo 映画

よい

バーバラ・リーボヴィッツ 監督
アニー・リーボヴィッツ 出演

ヴォーグ誌の依頼で、マリー・アントワネットの衣装に身を包んだキルスティン・ダンストの写真を撮る女性写真家、アニー・リーボヴィッツ。彼女が写真を撮るなら、どんなセレブでも喜んでやってくる。彼女の写真家としての人生は、1970年にローリング・ストーン誌の写真を撮ることから始まった。ミュージシャンたちの素顔を収め成功し、やがてヴァニティ・フェア誌に移籍。よりメッセージ性の強い写真を撮るようになる。

『ファクトリー・ガール』がドキュメンタリー・タッチのドラマだったのに比べこちらはドキュメンタリーであり、こちらのほうがおもしろかった。

カメラマンがどのように撮影するのかという視覚的に刺激的な内容と、スーザン・ソンタグ(『隠喩としての病』)の恋人だったことなどのふだんの生活とが興味深く感じられた。

彼女の金をかけたセットでの撮影もすばらしいが、なにげない家族写真がとても魅力的に見えた。

『ファクトリー・ガール』

2009年02月19日 | Weblog
ファクトリー・ガール - goo 映画

ふつう

ジョージ・ヒッケンルーパー 監督
シエナ・ミラー、ガイ・ピアース、ヘイデン・クリステンセン、ジミー・ファロン、ショーン・ハトシー、ミーナ・スヴァーリ、ベス・グラント、イレーナ・ダグラス、エドワード・ハーマン 出演

資産家で名門の出のイーディは、パーティでアンディ・ウォーホールと出会う。ポップ・アートの分野ですでに成功を収め、名声を得ていた彼だが、イーディにたちまち魅力を感じ、実験映画に出演させる。マスコミはウォーホールといつもいるイーディに注目し、彼女をセレブ扱いするが、イーディは精神不安定からドラッグとパーティに明け暮れるようになる。そんな彼女は、ボブ・ディランと出会った事で新たな感情が芽生え…。

歴史的な解説がもう少し必要ではないか。
ウォーホールはもちろんもういないし、ボブ・ディランを知らない人も増えているのではないか。

イーディス・M・セジウィックの物語として完結してはいるが、一般性は薄い。
時代性はある。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

2009年02月14日 | Weblog
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 - goo 映画

ふつう

デヴィッド・フィンチャー 監督
ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・フレミング、イライアス・コティーズ、ジュリア・オーモンド、エル・ファニング、タラジ・P・ヘンソン、フォーン・A・チェンバーズ、ジョーアンナ・セイラー 出演

1920年代にF・スコット・フィッツジェラルドが執筆した、80代で生まれ、そこから若返っていくひとりの男の姿を描いた短編の映画化作品。普通の人々と同じく彼にも時の流れを止めることはできない。ニューオーリンズを舞台に、1918年の第一次世界大戦から21世紀に至るまでの、ベンジャミンの誰とも違う人生の旅路を描く。

文学的な味わいは十分にわかるものの、それは本を読めば十分である(笑)。

視覚的にもCGを使用して老けた人間をうまく表現しているが、それは物語の前ではあまり意味をもたない(悪いというわけではないが、所詮つけたしである)。

ベンジャミンの父親の行動が説明不足の割には、圧倒的に長すぎる作品。

『シューテム・アップ』

2009年02月08日 | Weblog
シューテム・アップ - goo 映画

よい

マイケル・デイヴィス 監督・脚本
クライヴ・オーウェン、ポール・ジアマッティ、モニカ・ベルッチ、スティーヴン・マクハティ、グレッグ・ブリック、ダニエル・パイロン 出演

深夜、NYの裏通り。謎の男に追われる妊婦を見たスミスは、いきがかりから彼女を助けた。しかしそこに男の仲間らしき者たちが乱入し、事態は銃撃戦に発展。そんな中妊婦から赤ちゃんを取り上げたスミスは、流れ弾で死んだ母親の代わりに子どもを抱えて逃走。すると男たちは、今度は子どもを奪うためにスミスに襲い掛かった。子どもが狙われる理由がわからないまま、スミスは娼婦ドンナのもとへと逃げ込むが……。

とてもアメリカ映画には見えないのだが(笑)、非常に銃撃シーンに力を入れた作品。テンポもよい。

あれほどの長さのセックスしながら、スカイダイヴしながらの銃撃・アクションシーンはなかったのではないか。拷問シーンのあともよい。

観客を意識したセリフも心憎いし、敵役のポール・ジアマッティもとても魅力的である。

『ダージリン急行』

2009年02月08日 | Weblog
ダージリン急行 - goo 映画

よい

ウェス・アンダーソン 監督
オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストン、アマラ・カラン、カミーラ・ラザフォード、ウォレス・ウォロダースキー、ビル・マーレイ 出演

インド北西部を走るダージリン急行に、長男フランシスの呼びかけで、次男ピーターと三男ジャックがやって来る。父の死をきっかけに絶交していた彼らだが、フランシスはインドの旅を通じて、再び兄弟の結束を高めようとしていた。しかし兄弟たちはそれぞれに個人の問題を抱えており、ケンカが絶えない。しかしそれでも、3人は人生を変える旅を必要としていた。そんな中、あるトラブルから3人は列車を放り出されてしまう。

10分ちょっとのショートフィルムがアタマにあって、そちらにはナタリー・ポートマンも出ている。これは映画館でもあったのだろうか? 彼女のヌードが観られるだけでなく、印象的なセリフにもポイントがある。

そこから本編が始まるのだが、いきなりのビル・マーレイの使い方がよい。

ご都合主義のところも多々あるが、気持ちよく最後まで観られる。ときどき派手にぶっ飛ぶので(笑)、気をゆるすとわかりにくくなる。

フィルムっぽい映像とビデオっぽい映像がまぜこぜだが、これはもしかしたらロケとスタジオ撮影のやつがうまく編集できていないのかもしれない。