映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『ゾンビ・ストリッパーズ』

2009年08月31日 | Weblog
ゾンビ・ストリッパーズ - goo 映画

よい

ジェイ・リー 監督¥・脚本・撮影
ジェナ・ジェイムソン、ロバート・イングランド、シャムロン・ムーア、ジョーイ・メディナ、ティト・オーティズ 出演

そう遠くない未来。第4期目のブッシュ政権は世界各地で戦闘活動を継続していたが、慢性的な兵力不足に悩まされていた。この問題を解決するため、軍とW産業は死人を蘇らせるウィルスを共同開発する。しかし研究所でウィルスが蔓延。感染力の強さからそれは次々と感染者を増やし、掃討作戦でやってきた兵士にも感染してしまう。感染により自らの抹殺を恐れた兵士は場末のストリップクラブへと逃げ込み……。


低予算でかなり頑張っている娯楽作品。裸でスプラッタでコメディ(笑)。
もうちょっとゾンビ的な戦いがあるのかと思ったが、メインはストリッパーのほうであった。
ゾンビになったことで斬新なダンスができるようになったのを目の当たりにして、生身のストリッパーたちがみずからたべてもらいに行くというギャグは国民性が出ていると思う。

ひとり清純派(?)の脱がないストリッパーがいたが、あまり出てきた意味がなかったような気がする。

映画が始まって三分くらいの状況説明(4期目のブッシュ政権など)はおかしかった。

『パコと魔法の絵本』

2009年08月31日 | Weblog
パコと魔法の絵本 - goo 映画

よい

中島哲也 監督
役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也、木村カエラ 出演

一代で会社を作り、我侭放題に生きてきた大貫は、持病で入院していた。病院には、患者も医者も看護婦もクセのある者ばかりが集まっていた。その中で唯一、ピュアな心を持っていたのが、交通事故で入院した少女パコ。我侭な大貫だったが、パコの優しい心に打たれ、毎日、絵本を読み聞かせるように。しかし、事故の後遺症でパコの記憶が一日しか持たないと知った大貫は、パコのために絵本をお芝居にしようと病院の人々に呼びかける。



ビジュアルにかなり力をいれたコメディ・ミュージカル。
この監督はひょっとしたらゲイなのかと思わせるくらい(ゲイの人は独特の色彩感覚があるらしいから)、特異で金ピカで極彩色な作品であった。
しかし、おはなしは単純明快で、よごれた大人たちが純粋なおこさまのために全力をつくすというとてもわかりやすいもので、トータルするとバランスがとれていた。

本人の顔がわかりにくいほどのメイクとコスチュームは許せる。

阿部サダヲが一番頑張っていた。

『アンドロメダ…』

2009年08月23日 | Weblog
よい

ロバート・ワイズ 監督
アーサー・ヒル、デヴィッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・リード、ポーラ・ケリー、ジョージ・ミッチェル 出演

アメリカ中西部の小さな町に人工衛星が墜落。機体に付着した未知のウィルスが原因で、住人は生まれたばかりの赤ん坊と、アル中の老人を除いて全滅。遺体の血液は全て粉末状に変化していた。細菌汚染の拡大を恐れた軍部は、科学者の中から各分野のスペシャリストを招集。ストーン博士をリーダーとする研究班を組織して、砂漠の地下施設へと送り込むが…。



テレビ・ムービーの『アンドロメダ・ストレイン』がちょっとがっかりなデキだったので、1971年の映画版を見直した(自分ではすでに記事を書いたつもりになっていた)。

やっぱ名作(笑)。
冒頭の町を見下ろすシーンから、スタッフが招集されるところまで非常にキビキビしていて気持ちがいい。

5分以内に解除しないと核爆発という重責が強調されて、それが核の恐怖を象徴している。
最新設備であっても、つまらないヒュ-マン・エラーや恐怖感や不信感によって簡単に大惨事につながってしまうということが、わかりやすく描いてある。

要所要所にユーモアがはさんである。

写真のような、気密スーツなどのギミックもちゃんとしている。

DVDの特典映像に日本語字幕スーパーはないのか……。

『G.I.ジョー』

2009年08月23日 | Weblog
G.I.ジョー - goo 映画

よい

スティーヴン・ソマーズ 監督
チャニング・テイタム、レイチェル・ニコルズ、マーロン・ウェイアンズ、シエナ・ミラー、レイ・パーク、イ・ビョンホン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、アドウェール・アキノエ=アグバエ、クリストファー・エクルストン、サイード・タグマウイ、デニス・クエイド 出演

1990年代、世界征服をたくらむ悪の組織“コブラ”が各地で活動を活発化させていた。そして、最強のウィルス兵器“ナノマイト”を使い、パリのエッフェル塔を破壊してしまう。元々はNATOによりガン細胞破壊のため作られたが、実際はあらゆるものを破壊する威力を持っていたため、悪の武器商人デストロの手により脅威の兵器としてコブラの手に渡ってしまったのだ。コブラの脅威が各地を襲う中、アメリカ政府が送り込んだ最後の切り札。それは世界中から集められた史上最強の国際機密部隊G.I.ジョー。強靭な肉体、勇気と行動力を持ったエキスパート集団。加速装置付きの特殊スーツを身につけ、数々のガジェットを駆使する極秘のチーム、G.I.ジョー。エジプト、パリ、東京と世界を舞台に、陸・海・空と壮絶なバトルが始まる!



上記のストーリー説明はgooのものだが、「近未来」という表記で始まる映画を1990年代と堂々と書くのはいったいだれの間違いなのか? 資料のせいか、書いた人がバカなのか、はっきりしてもらいたい。映画に愛のない人は映画の仕事をするんじゃない。仮に愛がないとしても、せめて正確を期して仕事をするのは社会常識である。

怪獣映画で東京タワーが破壊されるのがお約束のように、この作品ではエッフェル塔が破壊される。その破壊のされ方が見事であった。爆破されるのではなく、溶解されるのだ。その様子とその直前のパリでのアクションシーンがかなりよかった。

イ・ビョンホン演じるストームシャドーとスネークアイズの東京における子ども時代もよかった。いまだに日本の理解がその程度かというがっかり感はあるものの、子どもどうしのカンフー・アクションというのは珍しいのではないか。

主人公らしいチャニング・テイタムがあまり活躍しない(笑)ことと、パリのシーンを最後に持ってこなかったことに不満はあるが、シリーズものの第一作としては(笑)合格点をらくに超えている。

敵(コブラ)が本当に悪なのかはっきりしないのは、最近の流行か長寿命シリーズの宿命だろう。

『宮廷画家ゴヤは見た』

2009年08月19日 | Weblog
宮廷画家ゴヤは見た - goo 映画

よい

ミロス・フォアマン 監督
ハビエル・バルデム、ナタリー・ポートマン、ステラン・スカルスガルド、ランディ・クエイド、ミシェル・ロンズデール、ホセ・ルイス・ゴメス、マベル・リベラ 出演

18世紀末のスペイン。宮廷画家に任命されながら、権力批判と社会風刺に富んだ作品も精力的に制作し続けるゴヤ。彼が手がけた2枚の肖像画の人物―裕福な商人の娘で天使のように美しいイネスと、異端審問を強硬するカトリック教会の神父ロレンソ―が運命的に出会う。異教徒の疑いで捕えられたイネスを救ってほしいとゴヤに頼まれたロレンソは、拷問を受け牢に繋がれたイネスに面会し、思わず抱きしめるのだった。


ゴヤは狂言回しなのね。話のメインはイネス役のナタリー・ポートマンとロレンソ役のハビエル・バルデム。宗教を中心とした歴史劇であり社会劇だろう。

ポイントはそのふたりが前半と後半でかなり違うキャラクターになっていること(今回はネタバレなしのつもりなので、興味を持ったらまず観ることをおすすめする)。特にナタリー・ポートマンは非常にがんばっている。後半の彼女の演技にはびっくりした。

『ディア・ドクター』

2009年08月18日 | Weblog
ディア・ドクター - goo 映画

よい

西川美和 監督・脚本・原作
笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、松重豊、岩松了、笹野高史、中村勘三郎、香川照之、八千草薫 出演

山間の小さな村のただ一人の医師、伊野が失踪した。村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった。やがて刑事が二人やってきて彼の身辺を洗い始める――。失踪の2か月前、東京の医大を出たばかりの研修医・相馬が村にやってくる。看護師の朱美と3人での診察の日々。そんなある日、一人暮らしの未亡人、かづ子が倒れたとの一報が入る……。



『ゆれる』のところでも書いたが、この監督の描く田舎はいまひとつである。しかし、今回はその他のところもおもしろかった。

田舎で多少の不自由さはあるが自分の理想の死に方(=生き方)をするか、それとは別の不自由さで都会の死に方(=生き方)を迎えるか、という話をメインに、生きる不安の象徴である笑福亭鶴瓶が演じる不安をにおわせながら(笑)、話がとんとん拍子で進んでいくコメディ。

これまでのあっさり系の瑛太とは違って、ここでは表情豊かな彼の演技が楽しめる。
力強い余貴美子や色っぽい井川遥もとてもよい。

『ゆれる』のわたしの記事
http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/265eb50d03b67459a3d3f77fdd5f6402

『アンドロメダ・ストレイン』

2009年08月17日 | Weblog
ふつう

ミカエル・サロモン 監督
ベンジャミン・ブラット、エリック・マコーマック、クリスタ・ミラー、ダニエル・デイ・キム、ヴィオラ・デイヴィス、ジャスティン・ルイス、バリー・フラットマン、テッド・ウィットール、テッド・アザートン、トム・マクビース、リッキー・シュローダー、アンドレ・ブラウアー 出演

ユタ州の田舎町に人工衛星が墜落した。瞬時にして謎の死病が広がっていく。生物兵器テロ対策チーム、「ワイルド・ファイア」が秘密ラボに召集され、人工衛星と生存者二名が収容されたが、彼らは赤ん坊と酔っ払いの老人だった。



ロバート・ワイズ監督の名作『アンドロメダ…』のリメイク・テレビ・ムービー。製作総指揮にリドリー・スコットとトニー・スコットのふたりが入っているので期待して観たが、期待はずれであった。
演技がまずだめ。脚本も不完全で、アンドロメダ病原体の特徴を怖いものにしようとして、作品全体の質を落とす結果になっている。前フリをばら撒きすぎて、最終的にまとまっていない。
ラボに召集されたスタッフそれぞれにサブストーリーがあるのだが、それも浅薄なものでおわっている。

なにかをしながら観るテレビにはうってつけだが、この作品だけの評価は「ふつう」になってしまう。

『その男ヴァン・ダム』

2009年08月09日 | Weblog
その男 ヴァン・ダム - goo 映画

よい

マブルク・エル・メクリ 監督
ジャン=クロード・ヴァン・ダム、フランソワ・ダミアン、ジヌディーヌ・スアレム、カリム・ベルカドラ、ジャン=フランソワ・ウォルフ、アンヌ・パウリスヴィック、サスキア・フランダース、ディーン・グレゴリー 出演

90年代に絶大なる人気を持っていたアクション・スター、ヴァン・ダム。しかし最近では年齢のせいかアクションを演じるのも疲れ気味。金銭トラブルや娘の親権争い、出演依頼もビデオストレート作品が続き、運にも見放されている。そんな彼が故郷ベルギーでたまたま入った郵便局は、強盗が占拠中。警察との交渉役に利用された彼は、今度は犯人と間違えられてしまう。果たしてヴァン・ダムはこの「どん底」から脱する事はできるのか。



これはおもしろい。
特に前半から独白シーンまでがすばらしい。

内輪ネタ、B級映画が好きな人がニヤリとするところが満載の前半がよく、劇中急にはいる独白シーンには迫力がある。
フランス訛りが取れない英語(今でもそうだ)のために、サイボーグ役をやったりメジャーな作品に出られないジャン=クロード・ヴァン・ダムの特性をよく理解した作品。基本はコメディである。

タクシーのおばあちゃんドライバーとの会話もよい。

『ブロークン』

2009年08月09日 | Weblog
ブロークン - goo 映画

ふつう

ショーン・エリス 監督・脚本
レナ・ヘディ、リチャード・ジェンキンス、ミシェル・ダンカン、メルヴィル・プポー、アシエル・ニューマン 出演

ロンドンの病院に勤務するX線技師のジーナと家族が父親の誕生日を祝っている最中に、大きな鏡が突然割れて粉々になる。翌日、自分と同じ赤いチェロキーを運転する自分に瓜二つの女を見かけ、ジーナは衝動的に跡をつける。すると、その女は自分とまったく同じ部屋に住んでいた。ショックを受けたジーナは誤って交通事故を起こし事故前後の記憶を失う。以降、ジーナの周りで不可思議な出来事が起こり始める。



話がまったくおもしろくなかった(笑)。
せめて、なぜ鏡が割れたのかの説明くらいはすべきではないか?

さて、話がおもしろくなくてもこの監督の映像は一級品である(カメラマン出身)。
話を無視して映像だけを楽しむことがある程度できれば、「ふつう」くらいの作品にはなる。

前作『フローズン・タイム』がよかっただけに、このデキには不満が残る。

前作のわたしの記事
http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/d43502f87bbbc20213f0574d30e84de6

『ぐるりのこと。』

2009年08月09日 | Weblog
ぐるりのこと。 - goo 映画

よい

橋口亮輔 監督・脚本
木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明、木村祐一、斎藤洋介、温水洋一、峯村リエ、山中崇、加瀬亮、光石研、田辺誠一、横山めぐみ、片岡礼子、新井浩文 出演

「お、動いた!」小さく膨らんだお腹に手を当て、翔子は夫のカナオとともに、子を身籠った幸せを噛みしめていた。しかし、そんなどこにでもいる二人を突如として襲う悲劇…初めての子どもの死をきっかけに、翔子は精神の均衡を少しずつ崩していく。うつになっていく翔子と、彼女を全身で受け止めようとするカナオ。困難に直面しながら、一つずつ一緒に乗り越えていく二人…。



トータルでおもしろいのだが、見せ方がへたくそだ。
子どもを失った夫婦の十年にわたる再生と十年間の縁戚関係の変化(これらがメイン)と、実際に起こった重大事件の裁判での様子をポイントを絞らずに描いているために(笑)、フワフワとつかみ所がないデキになっている。

それでも、映画的に許されるふたつの大きな嘘(後述)と実際の裁判の血なまぐさいリアリティ(検証していないが、作品内で描かれた裁判のシーンはほとんど同じことが実際にあったはずである)が、この作品独自のリズムを作るのに成功している。

映画的に許されるふたつの大きな嘘とは、まず開始100分くらいで挿入される理想的な夫婦喧嘩(写真のシーン)である。
蜘蛛をプラモデルで殺したことから始まるこの喧嘩は、リリー・フランキーがどこまでも優しく、木村多江にさからわず(それはトラブルから「逃げる」ためでもあるが)、すぐに謝ってしまう。
たいていの喧嘩は、どこまでも優しくさからわずにいたら、こっぱ微塵になるまでやられてしまうことをわたしは経験により知っている(笑)。
作品はここから明るくなりさらに40分ほどつづくのだが、ここあたりでまとめていれば、話もわかりやすくなっていたと思う。

もうひとつの嘘は十年間の夫婦の見た目を古びさせていないことである。特に木村多江は後半のほうが美しい(それは再生の象徴でもあるのだろうが)くらいである。

ずうずうしい嫁の役の安藤玉恵と、喧嘩のシーンでクレームをつけにくる階下の住人役の人が出番は少ないが印象に残った。

マヌケな新人編集者と八嶋智人演じる狡猾なテレビ関係者もよかった。

『レスラー』

2009年08月03日 | Weblog
レスラー - goo 映画

ふつう

ダーレン・アロノフスキー 監督
ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド、マーク・マーゴリス、トッド・バリー、ワス・スティーヴンス、ジュダ・フリードランダー、アーネスト・ミラー、ディラン・サマーズ 出演

“ザ・ラム”のニックネームで知られ、かつては人気を極めたものの今では落ち目でドサ廻りの興業に出場しているレスラー、ランディは、ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、医者から引退を勧告されてしまう。馴染みのストリッパー・キャシディに打ち明けると、家族に連絡するように勧められる。長らく会ってない娘・ステファニーに会いにいくが、案の定、冷たくあしらわれてしまって…。



コッポラの『ランブルフィッシュ』を観たのが公開当時だから、1984年の7月か8月である。埼玉では『フットルース』と同時上映でどちらかというと『ランブルフィッシュ』のほうがおまけ的な扱いであった。
あれから25年。ミッキー・ロークの新たなる代表作ができて嬉しい。

しかし、話がそれほどおもしろくなかった。すべて想定内の話なのだ。
この話で感動できるという人は、本当の貧困というものを知らないのではないか?
もちろん、貧困以外にも主人公(ミッキー・ローク)の、プロレスのほかのことに関する無知・無理解などが描かれているが、それらに新奇なところはなかった。