中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,195話 人が「固定」されることによる影響

2023年12月13日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「上司(男性)が仕事中にスマホばかり見ているので、やる気が失せてしまうのです。やめさせるために、何か良い方法はあるのでしょうか?」

これは先日、私が担当した公開セミナーでお会いした30代前半の受講者から相談された話です。詳しい状況を聞いてみると、その上司は50代後半で非常に仕事ができる人である一方で、仕事中の大半の時間で私用のスマホをいじっているのだそうです。

毎日長時間スマホを見ることが許されてしまうのは、この部署では組織のシークレットの内容を扱っているため個室になっており、さらに構成メンバーは上司とこの受講者の2人きりのため、周囲の目に触れることが全くない状態だからなのだということです。上司は仕事自体はできる人のため、その意味ではもちろんプラスの影響もあるのだそうですが、いくら仕事ができると言ってもスマホばかりいじっているのを見るのは、マイナスの影響を及ぼしているとのことでした。

私は人事や他の部署の上司に相談することをお勧めしましたが、何分にも2人しかいない部署のため、受講者が相談をしたことが容易にわかってしまうことが懸念されるとのことでした。

これに関連して、「仕事をしない上司」や俗に言う「仕事ができないおじさん(おばさん)社員」の話は、これまでにもたびたびマスコミ等で取り上げられたり、私自身も何度も聞いたことがあります。しかし、このケースは仕事ができる上司ということであり、そういう人がこっそりと仕事をさぼるのではなく、部下の目の前で毎日正々堂々とスマホばかりを見て過ごすというのは、一体どういう心境なのだろうと首をかしげたくもなってしまいます。

今回のケースは、組織の経営にかかわる秘密情報を扱っているゆえに閉ざされた空間だからこそできてしまうわけで、そのように考えるとやはり何らかの形で「第三者の目に触れる」ことは必要なことではないかと思うのです。

現在、多くの組織は風通しのよい職場を作るためにハラスメント防止やコンプライアンスの観点から様々な研修を行ったり、意識改革を行うための工夫をしています。この受講者が所属している組織でももちろんそれらを重要視はしているようですが、他の社員や経営者の目が届かない状態になってしまっていることにより、このような結果を生んでしまっているのだと推測します。

それでは、どのようにすればこのような事態を回避することができるのでしょうか。私はやはり定期的な異動を行う仕組みが必要だと考えています。近年ではジョブ型雇用を始めたり、異動に関しても本人の意向を大切にすることが重要視されるようになってきました。もちろん、それらを否定するものではありませんし、これまでこのブログでも何度も書いてきたように、異動にはメリット・デメリットもあるとは思います。

しかし、人が「固定」されることによる弊害は必ず何らかの形で生じてしまうものであり、それを避けるためにも定期的に異動を行って様々な人の「目」を入れることで、組織に適度な緊張感を持たせ、風通しも良くしてすることができると考えています。今回相談を受けたようなケースは組織としても決して看過できないものであり、抜本的な対策を講じる意味でも「人を固定しない」ことが必要なのではないかと考えています。

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