中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,202話 生き生きと働くシニア層になるためには

2024年02月07日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「昨年と同じものをやっていても面白くないから、新しいものを考えたい」

これは先日、ある組織に非正規雇用されている68歳の男性A氏から聞いた言葉です。私は今から30年程前に当時人事の研修担当の係長だったA氏と初めてお会いしたのですが、A氏は当時からとても前向きな姿勢で仕事に取り組む方であり、私も研修の打ち合わせをする中で随分とプラスの影響を受けたものでした。

A氏はその組織を定年退職後に、再雇用で65歳まで働いた後、現在は1年ごとの契約更新の非正規職員として勤めています。今回私がその組織で仕事をすることになったことを伝え聞いたとのことで、研修終了後にわざわざ訪ねてくださり、久しぶりに再会することができたのでした。A氏は当時と変わらずに颯爽と現れ、今の状況などについて色々と話してくださったのですが、そのときに話されたのが冒頭の言葉だったのです。そこからは、現在も当時と変わらずに積極的に生き生きと仕事に向き合っていることが伝わってきました。

さて、組織におけるシニア層の雇用や戦力化にかかる、様々な課題が顕在化するようになって久しいです。シニア層の割合は年々増え続けており、直近では全就業者の約7人に1人(総務省統計)にもなるようですが、多くの場合年収や待遇の低下により働く意欲を喪失する傾向が強いことが課題になっています。私がお会いするシニアの方からも「給与は現役時代の6割程度にもかかわらず、仕事の負担はあまり変わらないので、モチベーションが下がってしまっている」というような話を聞くことがたびたびあります。

こうした人が圧倒的に多い中で、A氏が今も「やる気」を維持している理由は何なのでしょうか。私は話をお聞きしている中で、A氏が新しいものを企画することを楽しんでいること、事業に参加した人の反応に高い関心を持っていること、何より飽くなき好奇心を持ち続けていることなどを強く感じました。その証拠に、A氏は今でも非常にフットワークが軽いのです。新しい企画の際には机上だけではなく、遠方であっても自腹を切って実際に現場に足を運んでその場所を見たり、様々な人から話を聞いたりするなどして進めていくのです。そしてその結果、新たな人と人との関係が繋がるなどにより、それがまた新たな企画につながるなどの好循環を生んでいるようです。

こうしたことを踏まえると、A氏がここまで仕事に前向きに取り組めている理由とは、内発的に動機づけされているからではないかと私は考えています。内発的動機づけとは、給与や名誉などのためではなく、その人にとっての達成感や充実感など内的な要因に基づくものによって自分の内部から湧き出る意思のことを言いますが、前述のA氏の様子はまさにそれそのものではないかと思えるのです。

もちろん、全てのシニア層がA氏のように簡単に内発的動機付けができるわけではないとは思います。しかしどうせ働くのであれば、以前の状況と比べて不満に思いながら働くのでなく、A氏のように自ら達成感を得られるように前向きな姿勢で取り組めたら、何より自身が幸せな気持ちで働くことができるのではないでしょうか。まずは何か一つでいいので楽しみながらはじめてみていただければと、A氏の生き生きとした表情を見ていて感じたのでした。

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