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研修に集中できる研修会場の条件とは

2018年12月12日 | コンサルティング

あなたはレストランの席を選べるとしたら、どこに座りたいと思いますか?

また、新幹線の座席の予約をするときに、どこでも選べるとしたらどの席を予約しますか?

席の好みは人それぞれかとは思いますが、私の経験から考えると、一般的にはレストランも新幹線も窓側から席が埋まっていきます。これから想像するに、人間は意識するしないにかかわらず、窓から外を眺めたり外の光を求めたりしているのではないでしょうか。

それでは、社員研修を行う会場はどのようなところが良いのでしょうか?

一般的に、研修ではパワーポイントやスライドなどでスクリーンを使うことが多いためか、窓がある部屋であっても、研修中はずっとブラインドを降ろしていたり、カーテンを閉めていたりすることが多いのです。

確かに、昔はプロジェクターの性能が今ほどは良くなかったので、部屋を暗くしないとスクリーンが見えにくいこともありました。しかし、現在はそういうプロジェクターを使うことはあまりありません。つまり、部屋を暗くする必要は少なくなってきていますし、そもそもプロジェクターを使わない時間帯もあるはずです。

それにもかかわらず、ずっとブラインドやカーテンを閉めたりするので、部屋の明るさや閉塞感などにより、長時間の研修の場合、時間の経過とともに疲労感が増します。実際に休憩時間にストレッチをしている受講者を見かけることがあります。

もちろん、疲労感の原因はそれだけではないでしょう。しかし、私のこれまでの経験上でも窓がない、あるいはブラインドやカーテンを閉めている部屋での研修では、休憩時間に部屋の外に行く人が多いです。一方、逆の場合には休憩時間でも席を離れる人が少ないと感じています。

つまり、窓の有無や外の光が入るかどうかが、休憩時間の過ごし方や疲労感にも影響しているのではないかと感じていました。

そうしたところ、先日、板硝子協会 建築環境WGの「窓の生理的・心理的効果とその魅力」というレポートを読む機会がありました。その中に「自然光の有無が集中力やストレスに影響している。ある調査によると自然光を取り入れた教室の学生では、窓のない教室の学生よりも、疲労の減少や出席率の増加が見られるようになった。自然光と生産性の関連性について、労働者が自然光を好み、窓のない部屋ではストレスを感じて生産性に影響を与えると結論づけられている」との記述がありました。これを読んで私のこれまでの実感が裏付けられたように感じました。

弊社では、これまで様々な会場・部屋で研修を担当させていただいています。バブル時代に建てられたような会場だと、「研修に集中するためには、窓がない方が良い」という考え方が当時はありました。食堂には大きな窓があるのにもかかわらず、反対に研修会場には敢えて窓を設けなかったのです。

しかし、前述のように窓から外が見える、外の光が入る会場の方が集中力が高まり、作業の能率も改善することが科学的にも証明されているわけです。研修においても効果を高めるためにも、会場を窓のある部屋にすること、そして窓があるのなら、ブラインドを一律降ろしっぱなしにすることをやめることを提案したいと考えています。

(人材育成社のホームページ)