フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[III]角川エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
柔らかい肌LA PEAU DOUCE
1963フランス
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン・ドザイー、フランソワーズ・ドルレアック
フランソワーズ・ドルレアック!ステキだね!彼女の魅力が最大の見所ですね。
ばたばたとせず、いつもあんにゅいwな(これぞアンニュイだ)たたずまいでいい角度から長い髪に隠れた顔を見せる。肝心なことしか口にしない。それでいてお高くとまったとかいう感じはない。つかのまの恋に心を素直に躍らせるかわいさも見せる。これだけで大成功ですねこの映画は。(興行的にはいまひとつだったみたいですけどね)
姦通のスリルとウキウキの同居をよく捉えているよね。
出会いも、スッチー(と当時の呼び名で)と乗客が一目ぼれ的に心を通わせちゃうなんていう、普通はありえなさそうなことだって実はちゃんと起こる(事実は小説より奇なり)。
その特別な感情を、カーテン越しに靴を履き替えるニコルの足元と、それを見つめるラシュネーの姿で表すのもフェティッシュな感じでいい。
片田舎への講演旅行だって、秘密の旅行だからラシュネーは知人やスタッフにも顔立てないといけないし、ニコルも放っておけないしで、もうバタバタの必死。傍目で見る分にはもう笑っちゃうんだけど本人はもうひやひやなんだよね。その感じもリアルだし、ニコルが一所懸命我慢してでもへそ曲げちゃうのもカワイイ。
ラストの唐突な感のあるアレだって、実際十分起こりうると思うんだよね~。ラシュネーは能天気にというか改悛してというか、振られたからもとに戻ろうって軽い気持ちで復縁を図っているときに、すれ違いであんなことになる。いや~ありそうもなさそうだけど、実はありそうだ。
ラシュネーが、どこがいいんだこいつの?的な中年ぶりもよいねえ。ニコルの心をつかんだのが渡航先のバー?での徹夜の長話だったのだから、中味で勝負!したんだねえ。やるねえ。
ということで、フランソワーズと姦通のリアル、と総括しちゃおう。
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あちこちでヒッチコックの影響ということが書かれているが、確かにそれは感じるのだよね。視点のフェティッシュというか、先に挙げたカーテン越しの足元、とか逃避行先でのストッキングの買い物とか、ときどき無意味に?壁がアップになったりするところとか。
あとは基本サスペンスタッチを模倣しているという感じもあって、会食中に「若い女性が面会だよ」といって、ニコルが殴りこみか?!と思わせてじつは単なる・・・ネタバレだねえ。。
トリュフォーは55年ころからヒッチコックにインタビューを行い、66年にはあの『映画術』を出版しているので、どっぷりトリュフォーな時期でもあったことだろう。
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ドルリューの音楽がとてもよい。浸れる!というヤツだ。
ラウール・クタールの撮るモノクロもいつも以上に冴えていると思う。
フランソワーズ、『ロシュフォールの恋人』はこの3年後だが、私見ではそちらよりこちらの方が格段に魅力的である。若くして他界したのは残念でしたね。
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