Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ドリーマーズ」ベルナルド・ベルトルッチ再観

2009-08-30 01:48:09 | cinema
ドリーマーズ 特別版 ~R-18ヴァージョン~ [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント

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ドリーマーズTHE DREAMERS
2003イギリス/フランス/イタリア
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
製作:ジェレミー・トーマス
原作:ギルバート・アデア
脚本:ギルバート・アデア
撮影:ファビオ・チャンチェッティ
出演:マイケル・ピット、エヴァ・グリーン、ルイ・ガレル、ロバン・ルヌーチ、アンナ・チャンセラー、ジャン=ピエール・カルフォン、ジャン=ピエール・レオ 他

再観。前回レオの存在を見逃していたのでリベンジ。
得た教訓、人間レオですら老ける。いわんや凡人をや。

やっぱりワタシ、ベルトルッチは好みなんでしょうかね~すごく好きですねこのタッチ。原作があったんですねこの映画には。

あからさまにコクトーを思わせる主題、一卵性双生児+エトランジェ in Paris、というモチーフを、うまい具合に68年革命のなかに落とし込んでいる。あのアンガジュマンの時代にあってのこの3人の孤絶はまさに現代的なエリザベートとポールにダルジュロス。

もっともこちらの映画ではダルジュロズならぬマシューは姉弟の理想郷に亀裂をいれるほどに毒をもった存在ではない。マシューは二人の蜜月に終止符を打つべきだと思うが、それはうまく果たせない。むしろ二人に自分たちの結びつきの強さを自覚させることになる。その自覚とともに3人の関係は終わるが、その終わりがはっきりしたのが、二人がユートピアを一歩踏み出しデモ隊に加わり火炎瓶を手にしたときであるというのが皮肉っぽい。

イザベルとテオの社会性の目覚めは、その結びつきを強めていくことで進展していくだろう。そしてそれは一層歪んだ精神のもとに行われることになるだろう。そんな先行きのない切ない予感とともにこの映画が終わるのがよい。それは68年の闘争がたどった道筋を知っている21世紀の観客にはなおさらはかなく思える予感である。

そのはかなさは、急速に歴史的記憶に姿を変えていく30年代から60年代の映画たちへのまなざしでもあるだろう。3人が結びつくのは、ラングロワの傘の下映画をリアルタイムに「発見」しつつある前線にいる者としての連帯感だ。3人は映画世界の幸福に酔うのと同じ感覚で3人だけの孤絶世界を生きることを我知らず選んでいたのだが、一方で68年闘争の発端のひとつであるラングロワ解雇反対闘争が彼らの社会参加への意識を直接に形作るものでもある。映画によって桃源郷を生き、しかし映画によってそこから呼び戻される。一貫した映画へのまなざしがあるところがとても興味深いと思う。

****

このトリオは『はなればなれに』の3人だ!というアイディアはとても秀逸ですね~コクトーとゴダールがかぶさった瞬間。あのダンスではなくてルーブルを走ることを選ぶのもいいですね。9分か~~。

最近のフランスの雰囲気に浸りたくていくつか選んでDVD鑑賞の予定~だけど、『ドリーマーズ』、マシューがアメリカ人という設定なのでほぼ全編実は英語で進行するんですね~忘れてた。

ジミヘンかクラプトンかとかチャップリンかキートンかという論争も面白く、これもアメリカ人とフランス人が論争するのがまたよし。

映画といえば冒頭エッフェル塔を執拗に降りていくところやその視線をシャイヨー宮へつなげていくところなども、ヌーヴェルヴァーグへの目配りのようですね。

エヴァ・グリーン。『007カジノロワイヤル』も観たのですが、どちらもなかなかよいですね。『ライラの冒険』にも出ていたんですね。観なきゃ。ケイト・ブッシュの件もあるし。


前回観た時の記事
あら?前回はなんかいまいちっぽい書きぶり(笑)
今回はよかったです~



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コメント
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