Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

ピエル・パオロ・パゾリーニ「デカメロン」

2007-01-02 02:40:40 | cinema
<パゾリーニ・コレクション>デカメロン[オリジナル全長版]

エスピーオー

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1970イタリア
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
原作:ジョヴァンニ・ボッカチオ
脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:フランコ・チッティ、ニネット・ダヴォリ


いや、面白いですね。

画面の隅々まで徹頭徹尾、中世の、14世紀の都市や農村のこきたなさを撮ろうという意志には頭が下がる。
モブシーンもあり、一大中世コスチュームプレイの感あり。この衣装と美術とセットだかロケだかを観るだけでも、すごいものを観た気にさせる。
大作ものにあるような素朴さではなくて、本当にきたね~って感じの前近代。

「カンタベリー物語」もそうだったけど、素朴な猥雑さと、なんというか、人々のセックスやらお金儲けやらへのどん欲さを描かせたら天下一品だし、その舞台として中世の古典の世界に惹かれるというのもいいなあ。

しかしいきなり冒頭の逸話で、ドッポン!は壮絶だなあ。
若い男はなぜかみんな一物を強調するような服を着てるしな~(汗
女性の裸は、妙に熟れきったというか、ちょうどゆるんだ頃合いの猥雑さ。
それに対して男の裸をだすときは、引き締まった若い裸だし・・・
っていうのは先入観ですかね(笑)

次から次へと逸話が切れ目なくくり出されていくので、全体のストーリーをつい求めてしまう今の映画を見る目では、なにがなんだかわからないかも。
でも、ここらへんで次の逸話かな?とか勘ぐりながら観るのが楽しかったよ。

それぞれの逸話も、チッティさんが悪党面で出てきたけど、子供の頃にお母さんの乳をねだったことを罪と考えるような敬謔差を演じて、死後聖人になっちゃう話とか、妹と姦通した使用人を兄が殺しちゃう話とか、あれ?これで終わり?的なあっさりした扱いで、なんか変に人間ドラマしないところが、きっと人の命なんか今の100分の1くらいの重みしかなかったであろう中世ヨーロッパって感じをよくあらわしてるような気がするな。

そんな中で、パゾリーニ本人が演じる、自称ジョットーの弟子なる画家が教会の壁画を描くシークエンスは、とぎれとぎれながら最後まででてきて、画家のなんだかいきなりぽろっとでた決めセリフでスッパリと映画は終わる。
この、終わるなっ!^^;的唐突感もパゾらしいな~
観るたび新鮮に「やられたっ」と思うよ。

いや~中世ってすごいよな。
昔の人ってすごいよな。
それを形にのこしたパゾさんもすごいよな~

というようなことで・・・

**

唯一の女優さんといえるシルヴァーナ・マンガーノがあんなちょい役でいいのか??^^;

例によってほとんどが素人という出演者、男はみんな歯並び悪いな~
というかほとんど歯がぬけちゃてるようなやつとか。いったい普段はどういう暮らしをしていた人たちなんだろか??

パゾ長編第1作からの常連であるフランコ・チッティは、登場するとやはりパゾ映画らしい感じがする。ゴッド・ファーザーに出ていたりするようだけど、最近はどうしているのか??



「夢のほうがすばらしいのに、なぜ描くのか?」


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