デヴィッド・リンチのファンといいながら実はこれを観ていなかった(白状)。
このたび晴れてニュープリント5.1chサラウンド版で観ました。
しかしうちではそれを聴く環境がない・・・サラウンドさぞや気持ちよかろう・・・
消え入りそうな銀版モノクロ画面と、ノイズの洪水、
むき出し配管に白い蒸気と、おかしな人物達。
一時も目を離せない不条理の連鎖は、
浸りこむに十分な「アングラ」な映画だ。
なんだリンチってやっぱり最初からこういう作家だったんだ。
この作品については、ウワサだの記事だのでさんざん聞いてきたけれど、
映画はやっぱり百聞は一見に如かず。
モヤシ頭のモチーフも、その後ジュリークルーズのアルバムジャケットなんかで
しつこく使われているし、ある意味自分の世界を押し通している作家だよなあ。
しかし、実際に子育てをしてた身で観ると、なんだか単に育児ノイローゼの戯画のようにも読めてしまったのがおかしい(笑)
夜中に奥さんが切れてしまうとことか、ヘンリーがはさみを持って・・・というシーンとか、下手したら現実に起こりうることだよなあと、危ない感想を持ちました。
という意味ではやっぱり悪夢は現実と地続きなんだなあと。
・ヘンリーのアパートのエレベータのシーン、
音の使い方でジャック・タチを思い出してつい笑ってしまったのはちょっと病気かしら。
タチの悪夢バージョンといえるかもしれない。
・最近シュヴァンクマイエルをいくつか観たので、それとも通じるグロテスクだったな。
(というか、「オテサーネク」より大人しかったなという感じ(笑))
・この有名なジャケ写真の背景が「あれ」だったとは新発見。
・今は亡き、ジャック・ナンス(ジョン・ナンス)の若き姿・・・
というわけで、これも古巣に戻った気分、まさにリンチの原点、
一家に一枚「イレイザー・ヘッド」!