Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

デヴィッド・リンチ「イレイザー・ヘッド」

2005-04-15 11:00:36 | cinema

 

デヴィッド・リンチのファンといいながら実はこれを観ていなかった(白状)。
このたび晴れてニュープリント5.1chサラウンド版で観ました。
しかしうちではそれを聴く環境がない・・・サラウンドさぞや気持ちよかろう・・・

消え入りそうな銀版モノクロ画面と、ノイズの洪水、
むき出し配管に白い蒸気と、おかしな人物達。
一時も目を離せない不条理の連鎖は、
浸りこむに十分な「アングラ」な映画だ。

なんだリンチってやっぱり最初からこういう作家だったんだ。
この作品については、ウワサだの記事だのでさんざん聞いてきたけれど、
映画はやっぱり百聞は一見に如かず

モヤシ頭のモチーフも、その後ジュリークルーズのアルバムジャケットなんかで
しつこく使われているし、ある意味自分の世界を押し通している作家だよなあ。

しかし、実際に子育てをしてた身で観ると、なんだか単に育児ノイローゼの戯画のようにも読めてしまったのがおかしい(笑)
夜中に奥さんが切れてしまうとことか、ヘンリーがはさみを持って・・・というシーンとか、下手したら現実に起こりうることだよなあと、危ない感想を持ちました。

という意味ではやっぱり悪夢は現実と地続きなんだなあと。

・ヘンリーのアパートのエレベータのシーン、
音の使い方でジャック・タチを思い出してつい笑ってしまったのはちょっと病気かしら。
タチの悪夢バージョンといえるかもしれない。

・最近シュヴァンクマイエルをいくつか観たので、それとも通じるグロテスクだったな。
(というか、「オテサーネク」より大人しかったなという感じ(笑))

・この有名なジャケ写真の背景が「あれ」だったとは新発見。

・今は亡き、ジャック・ナンス(ジョン・ナンス)の若き姿・・・

というわけで、これも古巣に戻った気分、まさにリンチの原点、
一家に一枚「イレイザー・ヘッド」!

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13 コメント

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久しぶりに (歌恋)
2005-04-15 18:49:53
こちらのブログを数日振りに覗いた瞬間に

『イレイザー・ヘッド』の画像が。

しかも今、「イレイザー」を変換しようとしたら

「異例ザー」…何もかもが異例なリンチの初期作。

わたしも単に育児ノイローゼに見えて

わたしもなりそうなので絶対に子供産まないと決意。

していたのですが本日一大事件が。



…よろしければ復活したブログにお越しくださいませ。
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観てないー (Dita26)
2005-04-16 01:54:23
こんにちは。デヴィット・リンチは「エレファントマン」と「ワイルド・アット・ハート」しか観てません。「イレイザー・ヘッド」も含め、観てみたいのいろいろあるんですけど。

「観た映画リスト」を拝見しましたが、ほんっとにたくさんご覧になっているのですね。すごい!。その中で私との共通項をいくつか挙げると、ヒッチコック、タルコフスキー、キューブリック、チャップリン、グリーナウェイ、フェリーニ、コッポラ、ベルトリッチ、リドリー・スコット、ヴィスコンティ(一番好き)、宮崎駿、黒沢明あたりでしょうか。リストを観ていて「あ、これ観たいと思ってたんだよなー」という作品が多かったです。私も自分のリスト作ろうかと思います。
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どもー (manimani)
2005-04-16 07:09:32
->歌恋様

よく事件が起こるご家庭ですねえ(^^;)こっちの身がもちませんよぉ・・

実際の育児の方が「異例ざー」よりめんどっちいですよはっきりいって(笑)でもかわいいですよ子供。



->Dita26様

そんなに観ているほうではないと自分では思っています。リストが作れるということは、やっぱり「少ない」からできるんだと思います。聴いたCDリストなんて多すぎて作れませんからね。ヴィスコンティ一時期はまったです。いいですよねまた観たいな。
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追伸のようなものです。 (st/ST)
2005-04-19 06:50:45
順不同ですが、今朝ラストのコメントです。



映画歴見たのですが、『天使』がディートリッヒ出演作ではなく、実験映画の方でしたら(こっちですよね?)、監督はパトリック・ボカノウスキーです。音楽は奥方のミシェル・ボカノウスキー、昨年だったか、サントラが何故か出ました。

また、シュヴァンクマイエルにハマったのでしたら、ブルーノ・シュルツ原作の『ストリート・オブ・クロコダイル』を始めとするブラザーズ・クエイの作品も是非、見てみてください。国内ではDVD化はされてないので大きなレンタル店にしかないのですが...。

長々失礼しました。

では。
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これを待っておりました(苦笑) (manimani)
2005-04-19 08:32:21
st/ST様、この情報を待っておりました。「天使」は資料が実家にあるもので確認できなかったのです。サントラが出ていたとは知りませんでした(^^;)

ブラザーズ・クエイも気にはなっております。BOXが出ているとの情報もありますね。近所のレンタル屋にはないようなので思案中です。
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おわかりのようで...。 (st/ST)
2005-04-19 20:27:27
別項で言及されておられるように、

コメント内容で、面識のあることは、おわかりになるだろうと思っておったのですが、最初からズカズカと人様の所に上がり込むのも失礼かな、などと思ったもので...。

クエイは輸入DVDが新宿の某ユニオンの映画ソフト・コーナーで見かけますが、国内版をのんびり待つのが良いかもしれません。紀伊国屋は最近、本当に凄いですから。

『ポランスキー初期短編集』とか、貴兄の趣味とはズレるかもしれませんが『サスペリア』2作のBOXまで出てしまうのですから...。財布が~!状態が続いてしまいます。

ご存知の通り、だらだら書く癖が出てしまいますが、お嫌でなければ、こちらでもよろしくお願いしたいと思っております。
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よろしく (manimani)
2005-04-20 09:18:51
st/ST様、恐るべきコメンテータ出現という気分ですがよろしくお願いします(笑)貴兄はブログ立ち上げ等の予定はないのでしょうか?

紀伊国屋さんに真剣につきあうと破産宣告になりますよね。今はとりあえずグリーナウェイ2で散財の予感ですが・・・
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耳に残る (pg)
2005-04-22 12:00:15
動きだすチキンとかもそうだけど

耳に残るあのセントラルヒーティングかなにか?スチームの音。なんともいえない映画でした。

ン十年前にみたのでまた機会があればみたいとおもっております。



ポランスキーのローズマリーもそうだけど

これは妊娠してる人とかにみせてはいけない映画のひとつですね。

出産もこわくなるし、産後の肥立ちにも響きそう。あはは。





せっかくリンクしてもらっておいて

全然映画についてかけてない今日この頃。

体力がおいつかないぐうだらな子育てママなんです。どうもすみません。



ではでは。



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スチーム無気味 (manimani)
2005-04-22 21:55:02
pg様、コメントありがとうございます。

イレイザーヘッド、ニュープリント版なのでおすすめですよ。でも確かに妊婦さんにはおすすめできませんね(笑)

子育て中なんですね、子育ての間は見る映画の本数も減りますよね、しょうがないですね。
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ブラザークエイに横レス (pg)
2005-04-23 01:27:41
クエイも懐かしいですね。

大鰐通りですね。

大学生の頃にみました。

本の方もさがしたのですが、

絶版ということで

そのときは大学図書館の書庫どこかから

探し出してコピーして読んだのをおぼえています。



グリーナウェイのzooの美しい双子の兄弟のモデルはブラザークエイですね。

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