南会津流半農半スキー 和泉屋AK.T

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4月18日 今日の畑

2021-04-18 15:46:39 | 里山の暮らし

4月に入ってからかは、寒暖差がジェットコースターのように激しい。汗ばむ陽気があるかと思えば、翌日からは雪が降るような天気となる。

雪解けが進んでいる尾白山も、度々粉砂糖をかけたようになる。

昨日17日の時点で、畑のそばのソメイヨシノはまだ咲き始めたばかりだ。

トマトの準備はひとまず2棟の育苗ハウスを整え、4月30日のトマト苗仮植に向けて準備を進めている。

先日、熊打ちの親方たちと山の偵察に行ってきた。

8日はまだ熊の痕跡が見られなかったが、今回は山を隔てたエリアに新しい熊の足跡があった。

おそらく昨日のものだろう。かなり大きい。

どうやらブナの新芽やコブシ(タムシバのこと)を食べて移動しているようだ。

日を改め、仲間で巻き狩りをやることにした。

親方宅に7名が集まり、軽トラの荷台で作戦を練る。

「マヂコは3人だ。○○と○○と○○が張ってけろ。」

「ホンマヂメは○○だ。動くなよ。」

「曽根からのセコ(勢子)は○○あんにゃと阿久津。阿久津は途中からヨコバ切ってけ。」

…てな感じで、それぞれの役割を分担する。今回ぼくはセコの役目です。

ヨコバを切るセコ…、つまり山の急斜面をトラバースしながら大声出してマチバへ熊を追え!という役目。

一番大変な仕事なんです。

さあ、集落からそのまま歩いて尾根に取りつきます。

今までは緊張と付いて行くことで気持ちの余裕がありませんでしたが、今年からは春の花を写真に収める余裕が出てきました。

陽当たりの良い尾根にはシュンランが咲いています。

豪雪地に多いイワナシも咲き出しています。

ブナは早々に葉を展開し始めました。

タムシバも咲いています。

自分はまだ体験したことがないのですが、このコブシを熊が食べると肉が化粧品臭くなり食べられたもんではないとのこと。熊がコブシを食べだすと、熊狩りの時期は終わりを迎えるのですね。

尾根を猟場へ向かって登っていきます。

途中に、ナラの樹皮を猛烈にかじった跡がありました。その付近一帯に大量の木繊維のうんこが有り、落ち葉を引っ搔き回して食べ物を探しまくった跡がありました。そしてイノシシの死骸が…。

どうやら、今年の雪の多さ(といっても平年並みだったのだが…)で食べるものが無く、この雪解けの早い尾根筋で必死に木の皮をかじり、遂には餓死したのでしょう。やはりイノシシは雪深い地方で生きていくには本来適さないのでは。ですから昨年や一昨年のような少雪暖冬が続くと一気に生息域を広げてしまいます。地球温暖化と狩猟者の激減は、野生動物の生態系バランスを崩す要因になっていると感じます。

今日の猟場を見渡せる場所に来ました。谷向こうの尾根にセコが一人つきます。

御年90歳の大先輩のセコ。ここでマヂコの人たちと別れます。

ここからぼくは斜面に下り、この大先輩セコとぼく、沢向こうの親方セコが熊を沢のカッチ(上部)に追い立てます。

それぞれ無線で連絡を取り合い、組織的猟の巻狩りが始まります。

親方セコの合図で猟が始まりました。

マチバの沢に向けて、大声を出しながら斜面をトラバース、残雪の沢を渡ってまた尾根を越え…。

しかし、銃声は一向に聞こえてきません。

結局、熊は包囲網をくぐり抜け逃げてしまった…。今回の猟の失敗はいくつかの原因がありました。

どんなにベテランでも失敗や勘違いは起きてしまう。そして熊も危険を察知して頭を使ってかいくぐる。

今回の猟の失敗は自分にとってもいい経験です。熊狩りは人と熊の駆け引き、知恵比べ。

今回は熊の勝ち。

沢に全員集合し、集落へ口数少なく降りていきました…。

スキーの仕事が終わり、トマト事業が本格的に始まるまでのこの期間、熊と向き合う期間です。

ウサギやヤマドリが少なくなり、シカやイノシシが増えて狩猟の趣は変わってきているけど、やはりこうして先輩・仲間たちと山の王様・ツキノワグマと駆け引きしながら猟をすることも南会津の暮らしの本質だと思うのです。

広大な面積を誇る南会津地方なのに、道路や町だけの線状の生活圏ではもったいない。四季折々の変化を壁紙として眺めるのではなく、その向こうにこそ南会津の楽しさがあるのだと感じていまーす。

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