東京帰りの翌朝。親方からの着信…。行くぞ!鉄砲持ってすぐこい!…と。
そろそろ熊が冬眠に入っただろう。ということで、熊狩りへ。
東京のビル群を彷徨っていた昨日までが幻だった。やはり自分は南会津人。
カンジキを履き、熊穴を目指す。
途中、イノシシやシカに出くわす可能性もあり二手に分かれぼくは一人沢沿いを登る。
カンジキで沢を歩くのもコツがいる。というか、歩きにくいし足冷て~泣
ま、これも親方から与えられた学びだ。
水流が無くなるまで沢を詰め、尾根上の親方たちと合流。沢沿いには大きなイノシシが横切った新しい足跡があったが、気配はなかった。
さて、今日一番の目的地。木ヤス(大木の熊穴)に着いた。
冬眠はじめはまだ熊は起きているので、静かに近づく。
ぼくと先輩Kさんは撃つ位置を指示され、玉を込め構える。
親方たちはこのミズナラの木ヤスで過去に4頭の熊を獲っている。今年はドングリやブナがそこそこ実った。まだ雪が浅いうちはぎりぎりまでエサを食いあさるらしい。
親方はあらかじめ開けてある小穴に、金属棒を差し込みつつく…。しかし、気配なし。まだ早かったか?残念!
今回、この木ヤスだけが目的だったが隣の尾根に移動中、なんと熊が付きそうな木ヤスをもう一か所見つけた。
倒れそうなくらい斜めに立っているオノオレカンバの古木。その中ほどにちょうど良さげな穴が開いている。
よく見ると隣のクロビの幹に登った爪痕があり、穴の入り口には熊が冬眠している証の「あでっかじり」らしき痕が見えるではないか!
三人とも色めき立つ…。
ぼくら打ち手は定められた位置に立ち、玉を込め構える。
親方は叩き棒をその場で見繕い、穴底付近をボカンボカン!と叩く…。叩く…。また叩く…。しーん…。
標高は1,000mを越えた尾根上なので、北風が冷たい。そのうち立ってるぼくと先輩は汗冷えもありぶるぶると震えてきた。緊張の震えよりも、寒さの震え。手がかじかみ、とっさに引き金を引く自信がないくらい。さみ~!泣
30分粘ったが、何かの理由で入らなかったか、頭の良い辛抱強い奴で穴底でだんまりを決め込んでいるか?
叩きつかれた親方も諦め、帰ることにする。残念!
でもこの木ヤスは必ず入りそう。今後の熊狩りの重要ポイント。
23日の今日は、結局何も得ず無事に下山したのでした…。しかし、今後につながる良い経験を得たのでした!
そして翌日の24日。このままだと何も得られないと焦って来たぼく。午後から唐倉山方面へヤマドリを狙いに向かった。
今シーズン初のウロコ板。どうも歩くたびにビンディングの金属音が気になっていたので、板の手入れの時に可動部すべてにグリスを塗り滑らかにしてみた。
そのおかげで歩く音が静かだ。ザクッザクッと雪の踏みしめる音だけ。これならいけそう…。
歩くこと1時間10分。ウサギやカモシカなどの足跡は見るが、ヤマドリの足跡はまったく無い。そろそろ唐倉山登山口が近づいてきた。林道から外れ、沢沿いの足跡を探しながら歩く。
とその時、渓流の石の陰からヤマドリが頭を出した。あっ、いた!その瞬間飛び出した。
ポンっ!
仕留めましたー! 初ヤマドリです! やっと獲れました~笑&泣
諦めかけていたヤマドリ、年越しソバに間に合いましたね~
さっそく現地で毛むしり下処理をすると、すごい脂がのっています。喜び勇んでスキーを滑らせ帰宅。専務も大喜び!
明日、魚屋の父親に差しだし、年越しソバの出汁にしてもらいます。
山の神様、恵をいただき有り難うございました…。