いよいよやって来た冬将軍であるが、ここ南会津は雪がちらつく程度だった。
同じ頃、裏磐梯ではかなりの大雪らしい。
降らないのであればもっと初冬の山を楽しもうと、昨年断念した古町丸山を目指した。
古町丸山といっても地形図では「丸山」の記載になっている。その山は尾白山の西方に位置し、地元では古町丸山と呼ばれている。といっても、地元からは望むこともできない藪山ではあるが…。(南郷の台板橋地区付近でちょっとだけ見える)
まずはいつもの尾白山を目指す。
宮沢登山口へ向かう途中から見る尾白山は、すっかり葉も落ちさらっと雪がある程度だ。藪こぎにはちょうど良さそうだ。
雪を待つばかりの、すっかり明るくなった登山口。
ブナ森の尾根までは、雪のない明るい低山歩きだ。
1,100m付近からのブナ尾根に来ると、さすがにさらっと雪が積もっていた。
普段あまり動物の気配を感じないが、雪があるとこの通り。動物たちも道を利用しているらしい。
その中でも、カモシカの足跡がやけに新しいな…。
案の定、もう少し進むと居ました。
もっと近くで写真を撮ろうと忍び足で進むと、フーッ!フーッ!と威嚇したあと藪に消えて行った。
天気は下り坂であるが、高層雲の透かした柔らかい日差しを浴びて気持ちの良い山行だ。
いつものビューポイントは焦げ茶一色。
尾白山山頂へ近づくと、西の方角に今日目指す古町丸山の頭が見えて来た。
雪もほとんど付いていない。今回はなんとか行けそうだ。
尾白山山頂で一息ついてから、踏み跡残るひとこぶを越え、いよいよ丸山へ続く藪へ突入。
昨年のように雪も無いので通常通りの藪こぎだ。
ブナ平を過ぎ尾根が一旦細くなると、ごらんのようなアズマシャクナゲとアカミノイヌツゲの密な藪。
困ったもんだ。
密藪が終わるころ、また丸山が近くに見えて来た。
昨年はこの辺りで断念。
藪の切れ目から南西を望むと山毛欅沢山(ぶなざわやま)へ続く尾根の向こうに、大戸沢岳と三岩岳が見えた。
陽射しはいつの間にか無くなり、早くも三岩辺りには湿った空気が掛り始めている。先を急ごう。
1,400mピーク手前のブナ平。この辺りから笹薮は立派なネマガリ竹となり、先を急ぎたくてもスピードダウン。
そのネマガリ竹は古町丸山山頂まで続くとは…。
いよいよ古町丸山直下の最後の登り。うへ~、ここ登るのか…。
分厚い雲から小雪がちらついて来た。
高い樹木が無くなり山頂間近を思わせるころ、振り向くと2時間前に立っていた尾白山が見えた。
またあそこまで藪こぎかぁ…。
山頂と思しき所に到達。付近をよく探すと三角点がありました!
登山口から5時間ちょっと。初めての古町丸山(1,488m)です。
展望が悪いので灌木に足を掛け辺りを見渡すと、西のはずれに何か人工物が見えました。
なんと、破れた山小屋が…。
どうやら気象観測小屋のよう。
無人の雨量観測小屋だったようです。
風と小雪を避けるため片隅を借り、一休み。
さて、また藪こぎが待っているぞ~。
雪がだんだん強まってきた。うっすら積もった雪の、ネマガリ竹の下りは滑り台。
何回もこける。
尾白山から往復約4時間だった。山頂へ戻ったころにはガスも掛り湿った雪で中も外もしっとりだ。
すっかり薄暗くなった帰りのブナ森。
今夜はこの森でツェルト泊。
火器類は外で使用しても、やはり中は結露してしまう。ま、ツェルトに快適性を期待するのが間違いか。
外は雪降り。ペミカンと酒で、湿った夜を一人しょうがなく楽しむ。
午前5時半、15㎝の新雪。思ったほど降らずにほっとした。
朝食を済ませヘッドランプで下山開始。
夜が明け登山口付近まで降りてくると、昨日までの冬支度の明るい林は、すっかり真っ白い景色に変わっていた。
そして、いよいよ里も雪景色です。
2014-15 テレマークスクール&スキーガイド和泉屋AK.T