南会津流半農半スキー 和泉屋AK.T

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伝説と巨木の山、志津倉山

2014-12-01 09:44:45 | 

週明けから冬らしい寒気が入る予想で、辺りの山はこれで一気に白くなってしまうのだろう。

そうなる前にと、葉をすっかり落とした初冬の静かなブナ森を楽しもうと志津倉山へ向かった。

南会津南郷から新鳥居峠、大辺峠を経る最短の道路を走り、約1時間15分で登山口へ到着。同じ奥会津とはいえ、山また山の向こうの志津倉山は近いようで遠い。

その新鳥居峠、大辺峠とも間もなく冬季閉鎖となる。

「志津倉の鐘」がある登山口から歩き出す。雨上がりの層雲が漂い全てがしっとりしている。

大沢沿いの登山道を歩き出して間もなく、細ヒドコースとの分岐に着いた。

普通は大沢コースをたどり、細ヒドコースで下山するようだ。このまま大沢コースを辿る。

登山口から15分ほどで、新しく開削されたトレッキングコースの分岐へ着いた。山頂を目指さなくても山麓のブナ森を周回しながら楽しめる道のようだ。

歩き出してさほど経たなくてもこのようなブナの大木が現れ、この先の森の景色が楽しみになる。

沢沿いにはサワグルミが立ち並び、その林床にはシダとハイイヌガヤの鮮やかな黄緑や濃緑が目立っている。

春から秋にかけては周りの木々の緑に融け込んでしまい目立たない存在なのだが、雪に隠される直前のこの時期だけが緑の主役になれる。

雪国の山には意外に低木の常緑広葉樹も多い。これらの繁栄には豪雪と深い関わりがあるのだ。

大沢沿いを歩いていくと右側に雨乞い岩の大スラブが現れた。

突如現れるこの迫力と神々しさは、ここで干ばつの時に山に棲む神に向かって雨乞いをしたということが、なんとなく解る気がする。

大沢沿いの登山道は標高950m付近から志津倉山へ向けて尾根に取り付く。

沢から1110m付近の三本松までは屏風岩、シャクナゲ坂などの右側が切れ落ちた急登で気が抜けない。

鎖や樹木の根っこにつかまりながら登る。

三本松を過ぎると緩やかなブナの尾根になりほっとする。

登山口から約2時間で山頂へ。

標高は、いち・に・さん・よんと分かりやすい。おにぎりを軽く腹に収め、細ヒド方面の下山コースへ。

山頂から1100m付近までは、雪のシーズンに訪れてみたくなるような気持ちの良いブナの森が広がる。

そして、大木も多く見応えがある。

細い谷となった「細ヒド」の下に、この糸滝がある。ここから下りの難所となる。

標柱の角がはぎ取られていた。熊の食み跡だろうか。

岩に打ち込まれた階段を、恐る恐る下る。

志津倉山は過去にも滑落・転落事故が発生しており、そう高くない標高ながら侮れない山だ。

難所を下ると、ブナ平とよばれる巨木の森が広がっていた。

このまま登山口まで細ヒドコースを下ろうと思っていたが、ちょうどトレッキングコース(かしゃ猫ロード)の分岐でブナの巨木の枝がまるでトレッキングコースに誘うかのように道をふさいでいたので、そのまま道を辿ることにした。

ブナの巨木あり、トチの巨木あり。

そして、至る所に巨岩が転がっている。

図らずも辿ったトレッキングロード(かしゃ猫ロード)は、巨木と巨岩の森だった。自分が小さくなった感がある。

唐倉山もそうだが、やはり伝説が残される山というのは地形的に人を寄せつけないだけでなく、なにか不思議な雰囲気がある。

今日の足元は、舞茸取りや熊打ち手伝いで重宝しているこのスパイク付き長靴。

長靴だけでは靴の中で足が遊ぶので、縄(麻縄)を巻いて固定する。濡れた落ち葉やぬかるみの多い会津の低山ではこれで十分。

 登りで辿った大沢コースへ合流し、登山口へ到着。

トータルで約4時間の、初冬の静かな志津倉山山行でした。

2014-15 テレマークスクール&スキーガイド和泉屋AK.T

コメント (2)
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