出資法違反
カード売買装い貸金 元現金化業者逮捕
出資法違反:カード売買装い貸金 元現金化業者逮捕
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110805k0000e040063000c.html
クレジットカードのショッピング枠を現金化する手法で高金利の融資をしたとして、警視庁生活経済課などは5日、東京都板橋区仲宿、元貸金業者で飲食店経営、橋本幸治容疑者(41)を出資法違反(高金利の受領など)容疑で逮捕した。業者側は商品売買を装うことで融資ではないとしていたが、警視庁は商品はほぼ無価値で実質的貸し付けと判断した。カードの現金化業者摘発は全国初という。
逮捕容疑は、10年3月~今年1月、千葉県浦安市の男性(49)ら4人にネックレスやブレスレットの売買を装って現金を貸し、法定金利の最大23倍となる計約70万円の利息を受け取ったとしている。
生活経済課によると、橋本容疑者は「逮捕されると思っていなかった」と否認しているという。商品とされたネックレスなどはおもちゃで、実質的価値は30~120円だった。
橋本容疑者は、クレジットカード決済代行会社と契約、インターネットのサイトでカード現金化が違法ではないとうたって顧客を募集。顧客から、カード番号などを聞き、融資希望金額に応じた手数料を引いた額をキャッシュバックとして融資。商品代金としてカード決済代行会社に現金を請求、顧客にはほぼ無価値のおもちゃなどを送っていた。06年7月から約750人に計約4億3000万円を実質的に貸し付け、約8000万円の利益があったという。
日本クレジット協会などによると、カードの現金化業者は、改正貸金業法が成立した06年以降、消費者金融などに代わり急増。売買取引の形を取っているとして貸金業法の規制対象にならないとされてきた。【伊澤拓也】
カード現金化:無審査で即日 手軽さアピール、利用者急増
無審査で即日 手軽さアピール】融資を受けることが難しい零細事業主らの受け皿にも
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110805k0000e040064000c.html
クレジットカードのショッピング枠を悪用した「現金化商法」が全国で初めて摘発された。業者らは実質的にはヤミ金並みの高金利を取り立ての必要もなく受け取るが、ほぼ無審査で即日現金が振り込まれる手軽さをアピールし、利用者は急増。トラブルも増える一方、改正貸金業法で融資を受けることが難しくなった零細事業主らの受け皿になっていた側面もあり、専門家からは、法律の問題点を指摘する声も出ている。
「お電話を切った後、すぐにお振り込みできますよ」
07年2月、東京都渋谷区でIT企業を経営していた男性(58)の携帯電話に、フリーダイヤルの番号が表示された。「商品を買ってもらい、現金をキャッシュバックします」。現金化業者を名乗る男の話に半信半疑だったが、銀行などでは融資を受けられない状況で、つなぎ資金の数万円のため飛びついた。
カード番号と有効期限を伝えた直後、業者から17万円が振り込まれた。数日後には商品としておもちゃの指輪が届いた。1カ月後、20万円をカード決済した。「手数料」は15%の3万円。「助かったから高いとは思わなかった」
男性は10回程度利用し、トラブルもなかったが、経営する会社は08年に倒産した。男性は、「利用したくなかったが、誰が貸してくれるのか。使っていなければ、もっと早くつぶれていた」と話す。
06年に成立した改正貸金業法は、融資額を年収の3分の1に制限し、上限金利を29.2%から20%に引き下げた。消費者金融業者の収益は急激に悪化し、貸金業者の数は10年前の1割となる約2500程度にまで急減。男性のような零細事業主は、新たな融資先を求めるようになった。
こうした状況で増え始めたのがカード現金化業者。資金需要の受け皿となる一方、年利1000%を超える暴利を得る業者も出始め、国民生活センターによると、06年度は107件だった相談は10年度、606件に急増した。兵庫県芦屋市のパソコンソフト開発会社社長(58)は、20万円借りる際に手数料として10万円取られた。「足元を見られている気がした」と振り返る。
貸金業に詳しい東京情報大の堂下浩教授は「貸金業法の改正は、多重債務者問題の本質的な解決には結びついていない。新たな受け皿となった現金化業者が摘発されたことで、再びヤミ金業者が増えるのでは」と指摘している。【伊澤拓也】