赤城農水相を庇う安倍首相は「55年体制からの脱却」をしようとせず、自民党を瓦解させてしまう

2007年07月10日 17時01分42秒 | 政治
◆赤城徳彦農水相の政治団体「赤城徳彦後援会」の事務所経費をめぐる問題は、「政治家とカネ」について新たな疑惑を国民の目にさらけ出している。佐田玄一郎前行革担当相、伊吹文明文科相、松岡利勝前農水相らの政治資金管理団の事務所経費問題と続いて、またまた「政治家とカネ」の問題が噴出した感がある。
◆これらの問題の根源には、米ソ東西冷戦体制下で許された自民党政治の古い慣わしを、東西冷戦終結後のいまでも改められずに引きずっているということである。それが元凶となっている。
米ソ東西冷戦というのは、米ソ両超大国が熱い戦いを避けながら、最前線においては小国に「代理戦争」をさせて、互いに覇権を競う戦争の一形態であった。日本も、アメリカを守る最前線の砦の役目を担わされた。そのなかで、保守勢力は社会主義革命や共産主義革命が起きないように厳戒態勢を取りつつ、自民党政治家に「自由主義体制堅持」に努めさせた。そのため活動資金となる「政治資金確保の手段」として、二つの方法を与えた。
一つが、政治団体による資金の調達と支出の詳細にベールを被せるという方法であった。献金主や使途を天下に公表することを義務化すれば、体制破壊を策動する革新勢力の攻撃される。これを防ぐために政治資金収支報告書の記載を「大雑把」にすることを許したのである。
もう一つが、株式市場からの資金調達であった。自民党本部は、大手証券会社と旧財閥系のグループ企業を使って、株式市場から巨額の資金を調達できた。個々の自民党政治家も政治団体や後援会幹部の名前を使って、株式売買により資金調達した。最近ではあまり聞かれなくなった「政治銘柄」というのがその名残である。「田中銘柄」「竹下銘柄」「金丸銘柄」などが活躍した時代が、いまや懐かしい。
◆ところが、米ソ東西冷戦の終結とともに、自由主義体制を守るために暗黙のうちに許されてきたこの二つの資金調達手段が、不必要になった。加えて、政治改革の一環として衆議院に小選挙区比例代表制度が導入され、併せて、政党助成金制度が新設されたことから、政党や国会議員の政治資金に「透明性」が要求されるようになった。この結果、政治資金管理団体やその他の政治団体に対する国民監視の目が厳しくなったのである。
◆それにもかかわらず、自民党の古い政治家や二世、三世政治家たちのなかには、古くから持っている政治団体のあり方を変えず、そのままにしてきた政治家が少なくない。赤城徳彦農水相もその一人であることが、バレてしまったのである。実は、安倍首相も似たような政治家であり、赤城農水相をひたすら庇う発言を繰り返しているのが、何よりの証拠である。「戦後レジームからの脱却」を叫びながら、「55年体制からの脱却」をしようとしていない矛盾した政治姿勢を取り続けていることに、安倍首相自身が、まだ気付いていないかのようである。
この調子では、赤城農水相ばかりでなく、この後続は、跡をたたず絶たず、政治資金収支報告書から少なくとも自民党の半分近い国会議員が、槍玉に上げられ、遂には、自民党瓦解という重大事態に追い込まれていくのは、間違いない。
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民主党・小沢一郎代表の「背水の陣」が勝利するのを熱望する

2007年07月09日 20時28分06秒 | 政治
◆中国・漢の高祖に仕えた武将・韓信が1万の兵を率いて、趙軍20万軍と戦ったとき、敵の砦の前面を流れている河を背にして布陣した。敵は手を叩いて笑い、砦を空にして攻め寄せてきた。ここで漢軍の兵士は退くに退けないから、死に物狂いで戦い、敵の大軍を押し返してしまった。敵は砦に帰ろうとしたが、漢軍の別働隊に占領され、帰るに帰れない。そこへ韓信の軍が襲いかかり、さんざんに蹴散らした。戦いが終わって、漢軍の参謀が、「背水の陣」の戦術の意味について聞いた。韓信は、こう答えた。
 「いや、兵法にも、軍を死地におとしいれて初めて生きる、とあるではないか。それをちょっと応用したのが、この背水の陣じゃ。なにしろわが軍は寄せ集めの軍勢。これを生地においたら、たちまちバラバラになってしまう。だから、死地においたまでのことさ」(出典:守屋洋「孫子の兵法●ライバルに勝つ知恵と戦略」、三笠書房刊)
◆民主党の小沢一郎代表が、7月8日、参議院議員選挙の責任論について「敗北なら政界を引退する」と語った。渡部恒三最高顧問も、同日、秋田市で講演し「小沢代表だけでなく、私も辞める」と述べていた。鳩山由紀夫幹事長は、早い時期に「幹事長を辞任する」と発言している。
◆これら民主党首脳陣の発言は、「背水の陣で戦う」という決意表明である。小沢代表の軍師・平野貞夫元参議院議員は、テレビ朝日の番組「テレビタックル」で、「民主党は、馬糞の川流れ」と揶揄していた。カネやポストで粘っこく結びついている与党議員と違い、接着剤がなく、川に落ちれば、バラバラになる馬糞のようなものだという意味であった。
 馬糞のような民主党議員を一致団結させて、奮戦させるには、「死地」に陥れるしかない。小沢代表は、自らの政治生命を賭けて、「背水の陣」を敷き、渡部最高顧問もこれに同調したようである。
◆「政権交代―小沢一郎 最後の戦い」(共栄書房刊)と題する拙著が、いよいよ全国の書店で並び始める。それゆえに小沢代表、渡部最高顧問、鳩山幹事長らの勝利を熱望する。拙著の売れ行きに影響するからである。こちらは、「我田引水」を賭けた「背水の陣」である。
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原爆投下を正当化するアメリカに謝罪も賠償も要求できない安倍政権は、対米従属の腰抜け政権だ

2007年07月06日 15時39分06秒 | 政治
◆塩崎官房長官がアメリカの原爆投下を正当化するロバート・ジョセフ核不拡散問題特使の発言に対して「抗議しない」との考えを示したのは、安倍首相が提唱している「戦後レジームからの脱出」という政策に反するのではないか。
 ロバート・ジョセフ核不拡散問題特使は、7月3日の記者会見で、広島・長崎への原爆投下について「原爆使用が終戦をもたらし、連合国側の数十万単位の人命だけてなく、文字通り、何百万人もの日本人の命を救ったという点で、ほとんどの歴史家の見解は一致する」と語っている。こんな見解を堂々とさせておいて、何の抗議もしない。これでは、相変わらずの「対米従属姿勢」を続けていくことになる。安倍政権は、「腰抜け政権」であると言わざるを得ない。
◆「戦後レジーム」とは、「戦後体制」のことである。この言葉は、いろいろな分野に用いられてきた。
 ①戦後民主化=婦人参政権、財閥解体、農地解放
 ②戦後経済体制=自由主義経済体制(実態は、官僚社会主義統制経済)
 ③戦後教育体制=民主教育、男女共学、6334制度(実態は、文部省による非公式の教育統制、管理教育)
 ④戦後安保体制=平和憲法(第9条)、日米安保体制、国連安保理常任理事国入り出来ず(国連憲章に「敵国条項」が残る)
◆安倍首相は、戦後62年の間で「定着」しているこれらの体制を否定して「脱却」を図り、国民をどこへ誘導しようとしているのか。「美しい国」の概念が曖昧であり、依然として不明である。一つだけはっきりしているのは、「憲法第9条」を改正して、軍事大国に向けて「脱却」しようとしていることである。その果てに「核保有」を想定しているのかも知れない。
◆安倍政権が出来ないのなら、秋葉忠利・広島市長と田上富久・長崎市長は、揃って渡米し、ブッシュ大統領やロバート・ジョセフ核不拡散問題特使らに対し、厳重抗議すべきである。間もなく、戦後62回目の原爆記念日がやってくる。

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安倍首相も被爆者・遺族も野党も大江健三郎さんもアメリカにはっきり物を言い、謝罪と賠償を求めよう

2007年07月04日 13時16分45秒 | 政治
◆久間章生防衛相が辞任し、後任に小池百合子首相補佐官が決まった。29日の参議院議員選挙が終われば、内閣総辞職か改造かが目に見えているので、久間さんがいま辞任しても大したことはない。不用意な発言がこんなことになるとは、夢にも思っていなかっただろう。だが、言論戦争において自分の身を守れないのに、どうして国家国民を守ることができようか。辞任は当然のことであり、同情の余地はない。
◆それよりも最悪なのは、安倍首相である。1日に行われた民主党の小沢一郎代表との討論で、久間さんを懸命に守ろうとした。一体、あれは何だったのか。その挙句の果てに、久間さんをクビにせざるを得なかった。本当に情けない首相である。
 もっと可笑しいのは、安倍首相が口癖にしている「戦後レジームからの脱却」である。これは、一つには「アメリカ従属からの脱却」をも含んでいるはずである。アメリカに遠慮ばかりするのではなく、「原爆投下の謝罪と賠償」を求めて然るべきであるしかにもかかわらず、言うべきことを言おうとしない。これで「戦後レジームからの脱却」とは、ちゃんちゃら可笑しい。ヘソでお茶を沸かせそうである。
思い切って、ブッシュ大統領に対し、「謝罪と賠償をしろ」と一度でもいいから言ってみたらどうか。それができてこそ、「戦後レジームからの脱却」を果たせると言うものである。久間さんを辞任に追い込んだ被爆者とその遺族らも、安倍首相をバックアップして、「謝罪と賠償をしろ」と裁判を起こすべきである。
◆序に、広島原爆ドームの慰霊碑に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と書かれている誓いの言葉も書き換える必要がある。この碑文には、主語がないからである。文章は正確でなくてはならない。たとえば「安らかにお眠りください。アメリカに再び過ちを繰り返させませんから」と。日本人は、いつまでも「曖昧な態度を取る民族」であってはならない。ノーベル文学賞受賞者・大江健三郎さんも、碑文を添削して正確を期すよう促すべきである。
◆少々不可解なのは、今回の久間さんの発言や被爆者とその遺族らの反発、野党の攻撃、そして久間さんの辞任という一連の騒動について、アメリカ政府はどう反応しているのか。またメディアは、どう報道しているのかが、日本のメディアではまったくその点が報道されていない。何かあると、大々的にレポートするのに、何の動きもない。不思議な国のメディアである。
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民主党はじめ野党は、「原爆投下したアメリカに謝罪と賠償を求める決議案」を衆参両院に上程し成立させよ

2007年07月02日 18時43分43秒 | 政治
◆久間章生防衛相が、アメリカ軍の原爆投下について「しょうがない」と発言したことに野党各党は、「久間防衛相を罷免すべし」と息巻いている。民主党の小沢一郎代表が7月1日、安倍首相との党首討論で「謝罪を求める考えで、アメリカと話し合うべきだ」と主張したのは、誠に時宜を得た要求であった。小沢代表は、第二次世界大戦中、アメリカ空軍がドイツの主要都市を無差別爆撃し、非戦闘員である多数の市民を殺戮したことに対し、、アメリカ政府が戦後、ドイツに謝罪したことを取り上げて、広島、長崎に原爆投下して、「大虐殺」したことも謝罪すべきであるとの考えを示してのであった。至極当然の主張である。
◆これに対して、安倍首相は、小沢代表が自民党幹事長だったとき遡り、「海部首相に対してアメリカに謝罪を求めるように言ったのか」と逆襲して、議論をはぐらかそうとした。会場からは、失笑の声が聞こえたようだが、安倍首相のいつもの責任回避の態度は、拙劣であった。
◆さて、民主党はじめ野党は、敵失とも言うべき久間防衛相の「原爆投下しょうがない」発言を上手に捉え、衆参両議院で「原爆投下により大虐殺したアメリカに謝罪と誠意ある賠償を求める決議案」を上程すべきである。延長国会の会期末である5日まで時間はたっぷりある。この「決議案」は、委員会での審議が必要はなく、全会一致できるはずであるからである。「決議案」に反対すれば、「久間章生防衛相と同類」と見られるので、賛成せざるを得ない。国会議員の思想をチェックする絶好の「リトマス紙」となる。
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被爆者や遺族たちよ、久間防衛相発言を無駄にせず、ブッシュ大統領に「謝罪と賠償」を求めよ!

2007年07月01日 21時06分43秒 | 政治
◆久間章生防衛相が、「間違えると北海道までソ連に占領されていた。原爆も落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、『あれで戦争が終わったんだ』という頭の整理でしょうがないなと思っている」と千葉県柏市の麗澤大学で行った講演のなかで発言したことが、物議を醸している。被爆地の広島市や長崎市の市民の間で顰蹙を買っているだけでなく、野党各党から批判の声が上がっている。
この動きを見ていると、日米間で第二次世界大戦中に起きた惨劇に対する受け止め方に微妙な変化が生じてきているのではないかと感じる。強いて言えば、歴史観、戦争観の変化とそこから発生する被害者意識の変化である。
 久間防衛相が発言したように「あれで戦争が終わったんだ」というのは、敗戦後の日本国民の一般的な意識だった。心中では、ポツダム宣言を受けながら、終戦の決断に踏み切れなかった当時の日本の指導者に対する恨みと、原爆を投下したアメリカに対する恨みを抱きながら、日本国民は表立ったこう抗議の声と損害賠償を求める運動も行なってこなかった。「日本が悪かった」という気持ちが強く、アメリカ軍の蛮行を咎める勇気がなかったからとも言える。
◆大統領を最高指揮官とするアメリカ軍は、非戦闘員に銃弾を浴びせてはならないという国際法を犯して、ドイツやイタリア、日本を無差別爆撃して多くの市民を大虐殺した。広島、長崎に対する原爆投下も、その流れのなかで行われた。これは紛れもなく「戦争犯罪」である。似たような無差別爆撃をベトナムでも、アフガニスタンでも、イラクでも相変わらず行ってきた。クラスター爆弾やナパーム弾、ディジーカッター、劣化ウラン弾など原爆を上回るほどの爆弾が開発され、数え切れない市民を殺戮してきた。アメリカ軍は、今後も同様の蛮行を続けていくに違いない。
◆久間防衛相は、皮肉にも、日本国民の多くが抱いているであろう「アメリカに対する抗議の感情」に火をつけたように思える。
 これまで被爆者やその遺族が、アメリカ政府を被告として裁判を起こす運動は、極めて稀なケースとしてはあった。だが、「そんなことをしても無駄だ」という国民一般の空気のなかで、「ちょっと頭のおかしい人がやっている」というくらいにしか受け取られず、むしろ馬鹿にされ、無視をされてきた。
◆ところが、これまで日本国民の心のなかで、「あれで戦争が終わったんだ」という諦めとともに秘沈されてきた「アメリカ軍に対する恨みと抗議の感情」が、久間防衛相の発言によって、一気に噴出きたのである。
 これも実に皮肉なことだが、この伏線には、アメリカ議会が「日本政府は慰安婦に謝罪すべきだ」と決議したことが大きく作用していることも忘れてはならない。こちらは、韓国人らの日本に対する「怨念と抗議」の感情が、ロビーストらの力により、アメリカ議会を動かしたのである。今度は、久間防衛相の発言が、被爆国・日本の国民感情を噴出させてきた。折角、怒るのであれば、被爆者やその遺族は、ブッシュ大統領を被告として、国際司法裁判所に提訴するなりして、アメリカ政府に謝罪と被爆者やその遺族への損害賠償を求める国民的な大運動を世界的規模で起こすべきである。風呂のなかで放屁して鬱憤ばらしする程度で済ませてはならない。アメリカは、ベトナム戦争に敗れ、イラク戦争でも事実上、敗戦国となっている。
日本国民も、これからは「弱り目に祟り目」のアメリカに対して言いたいことは、はっきりと言って行こうではないか。いつまでも「戦勝国ヅラ」させておく必要はない。この際、一見、アホと思える久間防衛相の発言を無駄にしてはならないのでありまする。
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