一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

420  小春日や忘れてかまわぬことばかり   和子

2011年11月13日 | 

(こはるびや/わすれてかまわぬ/ことばかり)

 

この世に、およそ大事なことなんて一つもない。過ぎ去ってみれば、大事にしていたことが、自分を苦しめていたのだ。このことが分かれば、人生が随分楽になるはずだ。

 

「こだわらず、とらわれず、かたよらず」という格言があるように、大事なこと、というのは、執着であり、我欲であり、争いや孤独の種であった。

 たぶん、この作者の心境は、かの有名な菊田一夫のラジオドラマ「君の名は」の冒頭のナレーション、「忘れ得ずして忘却を誓う心の虚しさよ」と同じなのではないか。

 

 だから、神様は、年をとるにつれて物忘れをひどくさせ、ついには痴呆や恍惚の人にさせて、現生や老いの苦しみから解放してくれるのではないか、と思う。

 つまり、「忘れることは幸せの種」なのである。

 

 

コメント
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