漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「褱カイ」 <別れを惜しむ> と 「懐カイ」 「壊カイ」

2016年12月16日 | 漢字の音符
 カイ  衣部      

解字 「眔トウ(目からたれる涙)+衣」の形。衣は上下に分かれている。死者の衣の襟もとに涙をたれる形。別れを惜しむ意で死者との儀礼を意味する。新字体に含まれるとき、上から「十罒衣」の形に変化する。褱を音符に含む字は、「別れを惜しむ」イメージがある。
意味 なつかしい(=懐)。 [参考]音符「眔トウ」へ。

イメージ
 「別れを惜しむ」
(懐・壊)
音の変化  カイ:懐・壊

別れを惜しむ
 カイ・なつかしい・なつく・いだく・ふところ  忄部
解字 旧字は懷で「忄(心)+褱(別れを惜しむ)」の会意形声。別れを惜しむ心。なつかしい意から、さらに転じて、なつく・したしい、いだく・ふところの意ともなる。新字体は、懷⇒懐に変化。
意味 (1)おもう。おもい。なつかしい(懐かしい)。「懐旧カイキュウ」「懐郷カイキョウ」 (2)なつく(懐く)。したしむ。「懐柔カイジュウ」(てなずけ従わせる) (3)いだく(懐く)。ふところ(懐)。「懐紙カイシ」(たたんで懐にいれた紙。菓子などを取るのに使う)「懐妊カイニン」(妊娠する)
覚え方  こころ()に、とめころも(十罒衣)でしい
 カイ・エ・こわす・こわれる  土部
解字 旧字は壞で「土+褱(別れを惜しむ)」の会意形声。戦いなどに敗れ、住んでいた土地を去る時、別れを惜しみながら土地の神を祀る社を壊すこと。新字体は、壞⇒壊に変化。
意味 (1)こわす(壊す)。こわれる(壊れる)。やぶる。「壊滅カイメツ」(こわれてすっかりなくなる)「全壊ゼンカイ」「決壊ケッカイ」(堤防などがきれて壊れる)「壊血病カイケツビョウ」(血がこわれる病。ビタミンC の欠乏によって起こる貧血や出血の症状)「壊死エシ」(壊れて死ぬ。体の細胞や組織の一部が死んだ状態) (2)やぶれる(壊れる)。「壊走カイソウ」(やぶれにげる=潰走カイソウ
覚え方  つち()に、とめころも(十罒衣)で
<紫色は常用漢字>

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