県人事委員会勧告に準じて提案された給与改定に関する臨時会が本日開かれ、討論を行いました。
「賃下げの悪循環・デフレスパイラルからの脱却を」
以下抜粋
議案第182号 郡山市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例1件と関連する補正予算案14件合計15件について、反対の立場で討論を行います。
これらの条例案は、国の人事院勧告で「47年ぶり一時金の年間支給月数4月割り」、及び県の人事委員会勧告の「給与引き下げ」などを受けて提出されました。その内容は「55歳超6級以上の0.9%減額支給」「該当者の4月遡及改定減額」「一時金0.15月カット」です。
私は、市長等・特別職・市議会議員の期末手当の削減案3件については、反対するものではありませんが、市職員の月例給の改定、期末手当・勤勉手当を改定し、年4.05月分を3.9月分に0.15月削減する改悪案には、年齢による給与削減制度の不透明さもあり、また職員の士気低下が懸念されますので、賛成できるものではありません。職員の生活は、「この間連続の削減で、住宅ローン等を抱え、返済が限界を超えている」「月々の不足分はボーナスで補っている」のが現状です。また、11月14日の新聞は、家庭の年収に対する教育費負担割合は平均37.6%。負担割合は、この10年間で最高になり、景気低迷で年収が減収するなか、収入が低い世帯ほど教育費の負担が重くなっていると報じています。
本市公務員のボーナスが削減されれば年末商戦への悪影響ばかりか、中小企業における一時金にも影響を与えます。職員給与が市に準拠する財団等も同様に動くことでしょうし、民間労働者にも波及していくことは確実です。このような公務員と民間の「賃下げの悪循環」は、「負のスパイラル」を招き、地域経済を今以上に縮小させ、税収の悪化、年金基盤の脆弱化に繋がることは、今まで随分と問題であると訴えてまいりました。今回のボーナス削減もこれに拍車をかけることになるのは必至であり、労働者の賃金底上げと雇用安定策が求められる今、本市としてとるべき政策ではありません。
この10余年、日本の大企業は「国際競争力の維持向上を図る」ことを目的に、正規雇用を大幅に削減し、派遣・契約社員やパートタイマーといった非正規雇用を大幅に増やし、派遣労働法をはじめとする労働法制の改悪政策が不安定雇用を一層拡大してきました。そして一昨年の米国発の金融バブル経済破綻以降は、経済運営に何の責任もない非正規雇用労働者がモノのように扱われ、わずか半年で数十万人が派遣切りや雇い止めに合い生存の危機に曝されたことは記憶に新しいことです。この結果、アメリカの経済誌『Forbes』(フォーブス)が今年1月に発表した「日本の大富豪40人」によると、日本の富豪上位40人の資産総額は2009年2月時点の6兆2,500億円から2010年1月の8兆7,000億円へと、この1年間で、金額にして2兆4,500億円もの増加、率にして約4割も資産を増加させています。失業と生活苦による自殺が急増した同じ時期に、日本の富豪上位40人はたった1年の間に約4割も資産を増大させているのです。大企業の内部留保は数百兆円にふくれあがり役員報酬や配当がうなぎ上りになる一方、労働者の賃金は下落し続け、2009年の平均賃金は1990年のレベルまで下落し、年収200万円以下が1000万人、非正規雇用が1700万人を超え、格差社会が生み出されました。各自治体における非正規職員や民間委託化による官製ワーキングプア拡大も同様の新自由主義路線に基づく構造改革政策一環で行われてきました。本市が行わなければならないことは、嘱託職員や臨時職員など非正規職員、指定管理団体及び委託業務労働者の賃金の底上げと労働条件の抜本的改善をすることです。女性であれ男性であれ待遇差別のない職場を求めるのは人間として当然の願いです。また、市と関連事業に働く職員の格差是正と公平化を図るために、役職加算や調整額加算制度により、高いボーナスや退職金を得ている管理職ポストを削減すること、指定管理団体・外郭団体役員への天下り的再就職を禁止して、新卒者の雇用拡充を図ることなどが重要です。国・県の勧告横並びではなく、市職員の3分の一以上を占める臨時・非常勤職員の賃金労働条件の改善策を今こそ、本市として打ち出すべきときです。これらのことは、この壇上でも何度も申し上げてまいりましたが、市長に当局に本気で取り組む意思があるのか残念ながら不明確です。