5月28日 臨時議会は、国の人事院勧告、県の人事委員会勧告を受け、市職員については、夏季期末手当を0.15月、勤勉手当0.05月、合計0.2月分、市長、議員等特別職については、0.15月分、凍結する条例改正4件について審査を行い、私は、下記4について反対討論を行いました。 出席議員36名(議長除く)の賛否結果 1、2、3、は、全員賛成。4については、賛成32(創風、政友、公明、社民、市民連合)、反対は、4(未来、共産)、早退1(佐藤栄議員)欠席2(渡辺議員、太田議員)でした。
また、「北朝鮮の地下核実験に抗議する決議」を全会派で提出、採択されました。
〈議案〉
1、郡山市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
2、郡山市長等の給与に関する条例の一部を改正する条例
3、郡山市教育委員会教育長の給与、勤務時間その他勤務条件に関する条例の一部を改正する条例
4、郡山市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
反対理由は、次の3点です。
1、人事院勧告の問題と不当性 2、削減の悪影響が大きいこと 3、求められるのは格差是正と公平化の具体策
〈反対討論〉
人事院勧告の問題と不当性について
今回の人事院臨時勧告に対しては、多くの問題点が指摘されています。
今回の夏季一時金削減提案は、「自民・公明両党のプロジェクトチーム」の政治的圧力に屈服した人事院が大急ぎで行った粗雑な勧告に基づくものです。それは人事院自らが「異例、特別の措置」とし、「抽出された企業の業種によって全体の調査結果が大きく左右されるおそれがある」、「全産業を代表するものとはいいにくい」としていることに示されています。労働者の賃金は、本来、対等の労使交渉にもとづき、合意のうえで決定されるものです。しかし、日本の公務員労働者は労働基本権が制約されており、その代償措置としての人事院・人事委員会勧告制度によって、毎年5月から精緻な民間給与等の実態調査が行われ、その結果に準拠し賃金・労働条件が決定されています。実際、今年も5月1日から6月18日まで、1万1000社を超える企業を対象にした訪問・聞き取りによる調査が全国で始まっています。一時金については、2004年から、前年の冬と当年度の夏における民間支給実態を7月まで調査した上で、8月の人事院勧告、10月の人事委員会勧告に反映されることになっています。しかし人事院は、今回これまでの賃金決定ルールを自ら踏みにじり、4月調査を強行し臨時に「勧告」を行いました。調査の実態はわずか2700社への郵送調査であり、回答は2017社(75.6%)。夏季一時金が妥結したとして回答した企業はわずか340社(12.6%)に過ぎません。
しかも、県の人事委員会の勧告は、民間労働者の実態把握がこれからだというのに、主体性なく国の人事院勧告に追随したものに過ぎません。賃金決定ルールを破壊する政治的・党略的な圧力とそれに屈した人事院の勧告、県人事委員会による追随勧告は、まさに杜撰・不当であり、本市が右習えするには値しないものです。
削減の悪影響が大きいことについて
この間、日本の大企業は「国際競争力の維持向上を図る」ことを目的に、正規雇用を大幅に削減し、派遣・契約社員やパートタイマーといった非正規雇用を大幅に増やし、派遣労働法をはじめとする労働法制の改悪政策が不安定雇用を一層拡大してきました。この結果、大企業の内部留保は230兆円にふくれあがり役員報酬や配当がうなぎ上りになる一方、年収200万円以下が1000万人、非正規雇用が1700万人を超え、格差社会が生み出されました。そして昨年の米国発の金融バブル経済破綻以降は、経済運営に何の責任もない非正規雇用労働者がモノのように扱われ、わずか半年で数10万人が派遣切りや雇い止めに合い生存の危機に曝されています。各自治体における非正規職員や民間委託化による官製ワーキングプア拡大も同様の新自由主義路線に基づく構造改革政策の結果でした。
今回の人事院及び県人事委員会の臨時勧告は、巨額の内部留保を持ちながらも社会的責任を果たさない大企業が、経済危機の結果と痛みを何ら責任のない労働者に押しつけ雇用破壊と賃下げによって乗り切ろうとすることに手を貸すものであり、決して許容されるものではありません。
いま、公務員の夏のボーナスが削減されれば、中小企業における夏季一時金や7月に向けて検討される最低賃金の改定作業にも重大な影響を与えます。すでに本市の指定管理団体である「文化・学び振興公社」理事会は職員のボーナス削減を予定していることを新聞紙上で明らかにしています。各団体も同様に動くこととでしょうし、何万人もの民間労働者に波及していくことでしょう。このような公務員と民間の「賃下げの悪循環」は、「負のスパイラル」を招き、地域経済を今以上に縮小させ、税収の悪化、年金基盤の脆弱化に繋がります。本市からの「丸井」撤退、会津若松市の「中合」閉鎖等に象徴される地方経済の衰退・縮小は日を追って進行しており、今回のボーナス削減はこれに拍車をかけることになるのは必至であり、労働者の賃金底上げと雇用安定策が求められる今、本市としてとるべき政策ではありません。
求められる格差是正、公平化について
今、市場原理主義構造改革路線によって「総中流幻想」は吹き飛び、日本社会の中には、富裕層とその一方における膨大な貧困層が形成されました。政治と行政が格差是正・貧困解消、労働・福祉・教育・年金政策の充実、社会のセーフティーネット作りに重点的に取り組むべきときだと考えますが、麻生政権の政策は「定額給付金」のばらまきや大企業救済・天下り官僚事業体の拡大としか言いようのない15兆円もの大型補正予算の支出です。奇しくも「定額給付金」の給付事業で全国自治体の総事業経費は今回の公務員ボーナス削減とほぼ同額です。今回、臨時議会を開いてまで行わなければならないことは、市職員のボーナスを一律に引き下げることではなく、嘱託職員や臨時職員、指定管理団体及び委託業務労働者の賃金の底上げと労働条件の抜本的改善など格差是正策を実施し、民間企業に範を示すことです。
また、市と関連事業に働く職員の格差是正と公平化を図るために、役職加算や調整額加算制度により高いボーナスや退職金を得ている管理職ポストを削減することや指定管理団体・外郭団体役員への天下り的再就職の禁止等に踏み込む提案を行うことこそ必要であると考えます。