一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ大賞・第一次選考会に出席する

2010-05-10 00:15:11 | 将棋ペンクラブ
8日(土)は午前10時から、東京・将棋会館で将棋ペンクラブ大賞の第一次選考会があった。
第一次選考はペンクラブの幹事が行うのだが、今年は欠席者が2名出たため、補充委員として私が招ばれた。昨年春号の発送作業でお手伝いをさせていただいたとき、湯川博士統括幹事から、
「君は幹事見習いだから…」。
つまり、ゆくゆくは幹事になってもらうつもりだから、という意味のことを言われた。しかし私は幹事という柄ではないので、その後は参加しなかった。
今回は将棋ペンクラブ「大賞」へ続く最初の一歩で、大事な作業である。若干寝不足のケはあったが、気を引き締めて千駄ヶ谷へ向かった。
電車では総武線と中央線でダブル人身事故があり、4階の選考室内に入ったのは9時58分だった。
選考委員は湯川統括幹事以下、9名だったか。ペンクラブ会員からは事前に推薦作を募っており、私も何本か推薦した。しかしそれだけでは絶対数が圧倒的に少ないので、そこは日本将棋連盟から全棋戦1年分の観戦記の切り抜きをお借りし、地道に読んでいくのである。
私は7大タイトル戦のひとつを担当。ここから第二次選考会に提出する観戦記1~2作を選ぶ。この棋戦は大賞候補作の推薦がなかったので、優先的に選ぶ観戦記はない。私の「読む目」がすべてである。
09年4月分から、「選考」開始。1譜を丹念に読んでいくと時間がいくらあっても足りないので、自分なりの当落基準を設け、振り分けていく。
幹事のA氏が「将棋ペン倶楽部」次号(通信号)の原稿を、湯川統括幹事夫人・恵子さんに見せる。爆笑している。これは私が「次号に書く予定はない」(ネタはあったが)と言うのを聞いて、では私が…と書いたものらしい。傑作の匂いがするようで、次号が楽しみである。
昼になり、恵子さんお手製のサンドイッチで昼食。パンはふわふわとやわらかく、具にもしっかり味がついていて、売り物になりそうなくらい、美味だった。
業務再開。私が残した候補作は8つ。ここから2つに絞った。これを二次選考委員に回してもらっても良かったのだが、やはりひとつに絞ることにする。さんざん迷ったが、やはりこちらに決めた。私は自信を持ってこの観戦記を推す。
A氏から、この中の観戦記ではどれがいいですかね、と訊かれる。A氏は女流棋戦A、Bの担当だ。渡された3作を読み比べ、私は、これがいいです、と言った。すると
「私もそう思ってました」
とA氏。A氏は作家の顔も持つ、文章の達人である。このときは私の眼力がまんざらでもなかったと感じ、嬉しかった。もっとも、A氏と私の感覚は似ているようで、藤田麻衣子さんの観戦記を評価しているところも同じだ。
加賀さやかさんは女流棋戦Cの担当。加賀さんからも、候補5作を渡される。私なんかでいいのか。一応目を通す。
「私はこれがいいと思います」
「あー、ワタシもそう思いましたー」
これも加賀さんと私の目が一致した。ホッとする。
Mi氏からも、これはどうだろう、と観戦記を渡される。
「可もなく不可もなくだと思います」
「うむ」
私の「意見」が通ってしまった。
A氏は女流棋戦Bの候補作2つの、どちらを取るか悩んでいる。ここではMo氏と私が意見を述べる。こうして皆で意見を戦わせながら、候補作を絞っていくのだ。
各棋戦の候補作が出終わるや、H氏が中心になって二次選考委員人数分のコピーを取りに行く。このあたりで幹事のI氏が加わった。
傍らに、「週刊将棋」のマイナビ女子オープンの観戦記がある。Mi氏が用意したものらしい。
第3期の一斉予選対局で、そこを通過した女流棋士12名が勢ぞろいした写真が見える。8月5日号である。真ん中に立っている島井咲緒里女流初段が、女優のように美しい。白のワンピース、ハスに構えて手を組むポーズ、そして自然な笑顔…。あまりに美しすぎて、ため息が出る。この写真を見たとき、「島井咲緒里と11人の女流棋士」というキャプションが浮かんだものだったが、それはいまも変わらない。島井女流初段は、女流棋士の中で最も美人だと思う。
このあとは文芸部門と技術部門の候補作選考。技術書は湯川統括幹事の担当。内容以外の細かい部分で点数の差が出るようだ。
文芸部門は全員で選考。侃々諤々、熱い議論が続く。いくつかピックアップして、午後4時すこし前、第一次選考会は終了した。私の推した作品の中では、観戦記2本、自戦記1本、エッセイ1本が通ったようだった。
そのあとは千駄ヶ谷駅近くの居酒屋で打ち上げ。またも私は湯川統括幹事の隣り。もっとも、店への道すがらふたりで話していたのだから、仕方ない。のちに3人合流して、9人になった。
湯川統括幹事のハナシが凄まじい。とても外部に書けない。書きたいが、書けない。酒も入って、だんだん湯川統括幹事の目が据わってくる。
ギャオオウ!! と吠える。こわいよ~!! 午後6時半も回って、とりあえず一次会はお開き。H氏が、
「一公さんはここで帰られたほうが…」
と助け舟を出してくれたので、私はそこで失礼する。
今回は(一次)選考会というものに初めて参加させていただいたが、皆さん真面目に選考に取り組み、私自身も感じるところが多かった。ペンクラブ大賞の賞金は少なく、名誉だけといってもよいが、その大賞に選ばれる価値が大きいということだけは、自信を持って言える。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする