一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「第4期マイナビ女子オープン予選抽選会」に行く(後編)・確率1/3

2010-05-22 03:18:59 | 将棋イベント
大山康晴十五世名人は、「助からないと思っても、助かっている」という言葉を好んだ。山口恵梨子女流初段の色紙は取られたが、まだ中村桃子女流1級が残っている。中村女流1級もファンランキングトップ10に入っており、お兄さんの存在がちょっと気になるけれども、私の好きな女流棋士のひとりである。
私は昨年、最終の残りクジで、野田澤彩乃女流1級を引き、夏の一斉予選対局では、御礼の意味で懸賞金を出した。今年も色紙が当たったら、中村女流1級に限らず、その女流棋士に懸賞金を1口懸けようと思う。
しかしその後も、私の数字「11」は選ばれない。大豪・中井広恵女流六段の色紙が引かれた。これで残るは、一般選手4人、アマ選手1人である。
まだ現役女流棋士が残っているはずだが、宇治正子女流三段が抽選券を引く。30番台が出た。今回はとにかく30番台がよく当たる。よくシャッフルしてないんじゃないのか? ちなみに私に一番近い数字は「9」だった。
しかし30番台の人が前に出てこない。途中で帰ってしまったようだ。今回の抽選会はなかなかよくできていて、最後の最後まで色紙ゲットのチャンスがあるから、みんな帰るに帰れない。この時点で帰っていた人は、時間の都合だったのか、それとも目当ての女流棋士が引かれてしまったからか。
いずれにしても、「ライバル」が減るのはありがたい。仕切り直しとなって、次に当たった人は、北尾まどか女流初段の色紙を引いた。残り4人。自分の抽選券が選ばれる確率、最初は1/97だったが、現在は1/66まで減っている。計算上は可能性が高くなったようだが、色紙をもらえる確率は最初の34/97から4/66まで減ってしまった、ともいえる。私は数学に強くないが(強いが)、やはりこの確率は厳しいと言うべきだろう。まあいい。きょうは久し振りに船戸陽子女流二段の姿も拝見した。中村女流1級や本田小百合女流二段、里見香奈女流名人・倉敷藤花も生で拝見できた。これだけでもう十分だった。
宇治女流三段が抽選箱から券を出すのをボンヤリ見る。
「11番…」
エッ!? 11番!? いま11番と言った!? ビ、ビンゴ!!
まさか、まさかである。やはり助からなくても、助かっていたのだ!! やったぜ宇治先生!!
私はワイシャツの胸ポケットに忍ばせていた「11」の抽選番号を手に、勇躍前へ進み出た。
一般選手の残り色紙は3枚。その封筒が整然と横に並べられている。この中に、中村女流1級の色紙が確実にあるのだ。その確率は1/3。運命のドラフト会議の抽選に臨む、監督の心境だ。
真ン中の封筒が光っている。私は迷わず、その封筒を取った。前々からイメージしていたとおり、中を開けず、係の人に渡す。
「どうぞ、お開けください」
と言われる。
「あ、はい」
そろそろと封筒から出す。表のチラチラしたほうが出た。ひっくり返す。
「女流1級 中村桃子」
とあった。
やったあ!! 引いた!! 逆転スリーランホームランだ!!
「あ、なかなかいいカンジですね…」
跳び上がりところをグッとこらえ、あらためて係の人に渡す。その色紙を高々と上げる。雨宮知典・「週刊将棋」編集長だか誰かが、
「中村女流1級、『凌雲』と書かれております」
と言う。
「第2希望」の色紙が私の手に入り、紅潮したまま、私は自分の席に戻る。心なしか、周りの視線が冷たい気がした。
席に戻ると、加賀さやかさんが初めて私の存在に気づき、挨拶してくれた。船戸女流二段の色紙は加賀さんの手に渡っている。しかしこちらもそれに対抗できる色紙だ。
あらためて考えると、日本レストランシステムとLPSAが主催する「日レスインビテーションカップ」に中村女流1級ら女流棋士3名が招待され、そのとき私はこのブログに、
「もし彼女らが参戦したら、私はマイナビ一斉予選対局で、彼女らに懸賞金を懸ける」
と書いた。しかし実際は3名とも辞退したため、懸賞金は懸けずにすんだのだった。
ところが今回ひょんなことから、再び中村女流1級に懸賞金を懸けることになったわけだ。ちなみに中村女流1級には、昨年も懸賞金を懸けている。これも何かの縁であろう。
予選抽選会は、一般選手の室谷由紀女流3級、中倉彰子女流初段、アマ選手の小野ゆかりアマが引かれ、予選抽選会は滞りなく終了した。ちなみに一般選手の残りの2名、中倉女流初段と室谷女流3級も私が応援している女流棋士で、結果的にはどなたの色紙が当たっても、満足だった。
このあとは午後6時から、反対側のマイナビルームBで、名人戦第4局の大盤解説会がある。聞き手は里見女流二冠が務める。そして解説は勝又清和六段とのことだった。
私は2月に行われた第3期マイナビ女子オープン・挑戦者決定戦でブログレポーターを務めたが、そのとき大盤解説に飛び入り参加してくださったのが、勝又六段…勝又教授だった。これも何かの縁である。もし色紙が当たってなかったら、不貞腐れてそのまま帰宅したところだが、ここは解説会を聞く1手である。
ひょっとしたら無料かとも思ったがさすがに有料で、おカネを払って入場する。
テーブルと椅子が何列か並んでいるが、その後列にも椅子のみが置かれている。予想以上の将棋ファンが集まったようだ。
私はテーブル席を避け、椅子のみの席へ座る。と、私の左に、加賀さんが座った。
加賀さんは将棋ペンクラブの幹事ではあるが、私はあまり話したことはない。先日の「将棋ペン倶楽部大賞・第一次選考会」でも一緒になったが、打ち上げの席で軽く話した程度だ。
そんな加賀さんに隣に座られて、なんだか緊張してしまう。いつだったか、何かの打ち上げの席で、石橋幸緒女流四段と石橋ママに挟まれて飲んだことがあったが、あのときの緊張感とは質が違う。私はこういうツーショットはダメなのだ。
しかしそれを悟られては嗤われるので、私は平静を装い、さりげなく会話をする。どうも加賀さんは、この席でそのまま解説を聴くようだ。あ、ああ…ドキドキする。
そんな私のココロを知ってか知らずか、加賀さんが私をじっと見て、
「さっき船戸さんが、『私の色紙、オオサワさんに売っちゃえば?』って言ったのよ」
と、妖しく囁いた。
コメント (8)
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