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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大山鳴動してネズミ一匹(後編)

2025-04-26 00:14:26 | プライベート
自宅に戻り、スマホでMU銀行のインターネットバンキングを見ると、おカネが引き落とされていなかった。
ここで読者は思うだろう。インターネットバンキングがあるなら、なぜ最初にそれを使わないのか、と。
まったくその通りで、それを利用しないのが私のアホなところ。株は銀行のATMで入金するもの、が私のイメージだったのだ。
話を戻し、私は三たび駅前のMU銀行ATMに行き、通帳に記帳をしたが、やはり残額は変わっていなかった。
私はまた自宅に戻り、Miz証券のコールセンターに電話を掛け、事情を話した。すると先方は、振り込みの制限額を越えてしまい、送金できなかった可能性がある、と言った。
続けて先方は、28日(月)には入金が確認できていないと困る、と言った。まあ、そうであろう。とにかく私は今日中に、カタを付けなければならない。
私は四たび駅前のMU銀行ATMに行き、改めて101万円を振り込んだ。すると最後の最後で、「振込額によっては、送れない場合があります」のメッセージが出た。これか!
昼の明細書は、振り込みができていない証だったのだ。
こうなったら分割で送るしかない。まず51万円だけ試みたら、できた。振込手数料は270円で、この表示を初めて見た。
あとは同じ手順で、残りの50万円を振り込めばよい。ところがこれが、またできなかった。たぶん、短時間で同一箇所に、多額の現金は送れないのだろう。
私は窮したが、近場の郵便局を思い出した。ゆうちょにも、いくらか貯金があったからだ。ゆうちょカードは幸い、いま持っている。
ゆうちょのATMで50万円を送金し、今度こそ一件落着である。だが、送金手数料が440円だった。なんでさっきより安い額を送金したのに、こっちはこんなに高いのか。
こんなことなら、UM銀行ATMで50万円をおろし、それを近くのMiz銀行ATMに預け入れ、そこから振り込むのだった。これなら、270円前後で済んだのではないか?
私は家に戻る。そして、各種の振込手数料を調べてみた。

MU銀行ATM(カード) 他行あて個人3万円未満…275円 同3万円以上…275円
ゆうちょ銀行ATM(カード) 5万円未満…220円 同5万円以上…440円
MU銀行インターネットバンキング 他行あて個人3万円未満…154円 同3万円以上…220円

上限の記載がないが、駅前のATMでは101万円が送れなかったから、制限はあるのだろう。
ただ、インターネットバンキングでは、制限がないようだった。現在私のスマホでは、上限を20万円に設定しているが、これを200万円に書き換えれば、一括で送れたわけである。しかも振込手数料が220円と、バカみたいに安い。
MU銀行のATMでも一括で振り込めれば、55円しか差額は出なかったのだが、ゆうちょからも送ったため、多く振込手数料を払ってしまった。
もっともこの手数料は、証券会社が負担してくれる。だが、たとえそうだとしても、相手に無駄なカネを遣わせてしまった自分が許せないのである。
とにかく私は、最初からスマホでチャッチャッと送ってしまえばよかったのだ。
そうすればセカンドバッグを失くすという失態もなかったし、Miz銀行O支店にカードの件で行くこともなかった。
駅前に3度も4度も行く必要はなかったし、振込手数料を多く払うこともなかった。
私は自分のバカさ加減に呆れたのであった。

追記
ついでだから、Miz銀行からカードで振り込んだ場合も調べてみた。これは同行の支店に送る形になるから、手数料は220円で済んだ。冒頭で記した通り、同じMiz(証券)に送るから手数料が安そう、という私の直感は、当たっていた。
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大山鳴動してネズミ一匹(前編)

2025-04-25 00:17:22 | プライベート
私は株をほとんど買わないのだが、昨年私の担当になったMiz証券会社の若手社員は、よく拙宅に営業電話を掛けてくる。そのせいでもないが、こっちも数年ぶりに、株を買いたい気持ちになってきた。
もっともその際は、Miz証券の口座にはおカネが入っていないので、相等額を振り込むことになる。それは現在メインにしているMU銀行から振り込めばいいのだが、Miz証券と名称が似ているMiz銀行から振り込みたいと思った。何となく、そのほうが振込料金も安いイメージがあったからだ。ただ厳密に言うと、この振込手数料は、後日Miz証券が負担してくれるらしく、私はそこまで気にしなくてもよかった。
それより、ひとつ問題があった。私はここ20数年、MU銀行をメインにしていたので、何年か前、Mizカードをどこかに仕舞った。そのカードが、どこかにいってしまったのだ。私は心当たりを隅から隅まで探したが、やはりなかった。私は株を買うより前に、このカードのことが気になってしまった。
23日、24日はバイトが休みだったが、23日は雨だったから自宅待機とした。
そして24日、Miz銀行に電話で問い合わせると、何回かのやりとりのすえ、我がカードはクレジット機能のない、ふつうのカードであることが分かった。
私はとりあえず、カードの使用は停止してもらった。だが、再発行は虫の知らせで、保留とした。
実は受話器を置いたあと、私はあることに気付いたのである。机の引き出しの封筒の中に、旧Dai銀行のカードがあった。ここと某銀行が合併してMiz銀行ができたのだが、まさかこの旧Dai銀行のカードは、まだ現役で使えていたのか?
たしかによく考えたら、私はMiz銀行のカードを使った記憶がない。とすれば、これが私の探していたカードではないのか? たぶん、そうであろう。
さっきMiz銀行の人は、カードを再び使えるようにするには、最寄りの銀行に、作成当時のハンコを持って、手続きに行ってください、と言った。
あぁ、私が「使用停止」をお願いしたために、面倒なことになってしまった……。

昼過ぎ、Miz証券のコールセンターに電話を掛け、3つ銘柄を買った。断っておくが、私は相当な貧乏である。だけどこの何年か、ほとんど旅行にも行かず、大野教室にも行かなかったら、多少の蓄えができた。今回それをオール・インしたら、約101万円になってしまった。
それを駅前のMU銀行のATMから、振り込むことにした。本当はMiz銀行のATMから振り込みたかったのだが、Miz銀行のカードは使用停止中だし、そもそもこちらの残金は14万円しかなかった。
私はMU銀行のATM出張所に入った。が、画面のどこを見ても、「Miz銀行Miz証券支店」がない。
私は怪訝に思ったが、とりあえず表に出て深呼吸をし、もう一度入店した。そうしたら冷静になり、今度は無事に振り込むことができた。
ちなみに明細書は「記載なし」の項目に触れてしまい、何も書かれてない紙が出てきた。
まあいいか、と表に出て嘆息すると、手元にあったセカンドバッグがなくなっていることに気付き、愕然とした。
私はATMに戻り辺りを見回したが、ない。
たぶん真相はこうだ。最初にATMコーナーに入ったとき、私はバッグを機械の上に置いたのだが、この存在を忘れたまま、一度表に出たのが大悪手。その後にこのATMを使った客があれを忘れ物と思い、どこかに持っていってしまったのだ。
幸か不幸か、バッグの中に貴重品の類はなかったと思うが、確証はない。
私は青くなって近くの交番まで走ると、警察官と年配の男性が、私のバッグを持っていた。やはり、私のあとにATMを利用した彼が、これを忘れ物と判断し、交番に届けてくれたのだ。
この男性はヒトの好さそうな人で、そのまま立ち去ろうとした。その背後に警察官が、「御礼はよろしいですか?」と余計なことを言う。バッグの中には金目の物が入ってないのに、なぜだと思ったが、男性が「いただきます」と言えば、多少の現金はやらないといけない。
だが男性はその場を離れ、私は警官に深々と頭を下げ、この件はこれで終わった。とはいえまったく、冷や汗モノだった。

ふー、時間がない。今度はその足で、約1キロ先のMiz銀行O支店に行って、カードを再び使えるようにしなければいけない。
Miz銀行O支店に着いたのは、14時42分だった。電話口の担当者は、予約が必要と言っていたが、係の人はそのまま応対してくれ、またカードを使えるようにしてくれた。
ただ、カードが旧Dai銀行のものなので、Miz銀行のものに手配してくれた。これは無料の交換で、ありがたいことだった。
銀行を出ると14時57分である。いろいろあったが、これで一件落着……と思うのは早計で、ここからが大変だった。
(つづく)
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白玲5期で棋士に!?

2025-04-24 00:20:26 | 将棋雑記
22日、スマホを見ていたら、「白玲5期で棋士に」の見出しが躍っていたので、驚いた。本文を読むと、白玲を5期(永世白玲)獲得すれば、棋士四段としてフリークラスに編入する、とのことだった。しかも優勝賞金が4000万円になる、とのことだった。さらに特別賞1000万円も付くという。
さらに、棋聖戦も同様の賞金になるとのことだった。
改めて整理してみよう。

①棋聖戦の優勝賞金が4000万円に。さらに特別賞1000万円。(現行第96期より)
②白玲戦の優勝賞金が4000万円に。さらに特別賞1000万円。(現行第5期より)
③白玲5期獲得で、棋士四段としてフリークラス編入。

棋聖戦と白玲戦は、平たく言うと、優勝賞金が5000万円になるということだ。現在の竜王戦の優勝賞金が4400万円なので、ここだけ取れば、竜王戦を上回ることになる。
白玲戦(女流順位戦)は2020年創設の大型棋戦で、主催は日本将棋連盟とヒューリック。第4期までの優勝賞金は1500万円で、これだけでも文字通りケタ外れだったが、今回の措置で、賞金額が一気に3倍以上となったわけだ。
だが棋聖戦は、3倍どころではない。棋聖戦は1962年創設の歴史ある棋戦で、かつては竜王戦、名人戦に次ぐ席次3位だったが、現在は8位に甘んじている。ヒューリックは2018年から特別協賛していた。
昨年までの棋聖戦の優勝賞金は公表されていないが推して知るべしで、数百万円だったと思われる。ゆえに、優勝賞金は数倍の高騰となったわけだ。
しかもその適用が現在進行中の第96期からということで、これは藤井聡太棋聖はもちろん、挑戦者決定戦に駒を進めた永瀬拓矢九段、杉本和陽五段には、ビッグニュースとなったことだろう。
ただ、これで棋聖戦が序列1位となったわけでなく、6位に浮上したのみだった。序列は優勝賞金の多寡ではなく、契約金の多寡である。とはいえ、棋士の目の色が変わるのは間違いない。
さてここまでは、羽生善治会長とヒューリック・西浦三郎会長がガッチリと握手をかわしていたから、確定である。
だが③の「白玲5期で棋士四段」は、確定ではない。あくまでも羽生会長の腹案(たぶん)で、6月6日の棋士総会に諮られ、可決されれば、施行される。
だがこれ、どうだろう。個人的には、賛成しない。
もとより私は、棋士編入試験の類も反対派である。棋士は奨励会を抜けて四段になるのが正道であり、それ以外の道はないと考える。だから女流棋士が女流棋戦でいくら活躍しようが、それは女流棋界内での話であって、棋士の世界には連動しない。
むろん福間香奈女流五冠や西山朋佳女流三冠の強さは認めるが、奨励会三段リーグを抜けられず、棋士編入試験も落ちたのだから、仕方ないと考える。この2名を四段にさせたいがための「白玲5期」だとしたら、それはちょっとアプローチが違うと思うわけである。
まして白玲はこれから、優勝賞金5000万円になるわけだ。福間女流五冠と西山女流三冠は、こちらで頑張れば十分なのではなかろうか。
むろん私は部外者だから、棋聖戦や白玲戦の賞金がいくら上がろうが、どうでもいい。
ただこの白玲の賞金、あまりにもデカすぎて、ほかの女流棋戦から浮いてしまうのではなかろうか。私にこのおカネがあったら、女流順位戦の対局料を増額させているところである。
また白玲5期のフリークラス編入も同様で、どっちでもいい。とりあえず、6月6日の棋士総会の結論を楽しみにしている。
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久しぶりの船戸女流三段と、OKスーパーの顛末(後編)

2025-04-23 15:16:28 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。▲3六歩△5五歩▲同歩△同銀▲5六歩△4四銀(第5図)

ここまで作戦の齟齬はいくつかあったが、駒損もしていないし、まだまだ指せる。しかし▲3六歩がマズかった。
この手は△3五銀や△3五歩を防いだものだが、警戒しすぎ。もっと有効な手を指すべきだった。
船戸陽子女流三段はとりあえず5筋の歩を換える。そこで次の私の手が、精神的敗着となった。

第5図以下の指し手。▲9六歩△5三銀▲8九玉△5五歩▲同歩△同角▲4六歩△5四銀▲5六歩△3三角(第6図)

実はこの数手前まで、私は▲8七玉と上がる予定だった。だがそのうち、玉は8九に引き、▲8八飛と展開することを思いついた。
だからすぐにその手を決行すればよかったのだが、その前にすべての憂いを消しておこうと、▲9六歩と突いたのがマズかった。すぐに▲8九玉~▲8八飛だと、△9四銀と備えられると思ったのだ。
だが実際は、上手は△9五歩と突き越していないし、仮に△9四銀が可能でも、▲8五歩△同歩に▲8四歩と垂らして、下手が十分だった。
遅ればせながらの▲8九玉に、船戸女流三段は「いつの間にかプレミアムになりそう」とつぶやきつつ、再び△5五歩。船戸女流三段はまだ私の遠大な構想に気付いていないが、この合わせが厳しい。
私は▲同歩と取ったが、△同角が飛車取りで、先の▲3六歩を咎められた。
▲4六歩は薄い受けだが、仕方がない。これには△5六歩▲同銀△4六角がイヤだったが、船戸女流三段は△5四銀と立つ。

第6図以下の指し手。▲4五歩△4二飛▲6六銀△4五銀▲8八飛△5六銀(途中図)

▲5六同金△4七飛成(第7図)

第6図でも▲4五歩がどうだったか。もういい加減、▲8八飛だった。これに△4二飛なら、▲8五歩△同歩▲同銀△8四歩▲同銀△同銀▲同飛(変化図)の十字飛車で下手優勢。

本譜、上手は△4二飛と戦力を増強し、十分。私は▲3七桂と受けたいが、△3五歩▲2六飛△1五角があり、不可だ。
私は4筋を明け渡し▲6六銀と厚みを作る。ここで△4五飛は▲4六歩なので、△4五銀。そこでやっと私は▲8八飛と転回した。
船戸女流三段は「おおっ!!」と驚きつつ、△5六銀(途中図)と出た。「荒すぎですかね」のコメントに、自信が見て取れた。
私は、1984年2月19日に放送された、第33回NHK杯将棋トーナメント4回戦・▲桐山清澄八段VS△大山康晴十五世名人戦で、大山十五世名人が△5六銀(参考図)と切り込んだ手を思い出した。

NHK杯は以下▲4四歩△5三飛と進行したが、私は▲5六同金と取った。だが△4七飛成が厳しく、これは本当に下手敗勢となった。

第7図以下の指し手。▲5七歩△4九竜▲7八金△5八歩▲8五歩△同歩▲同銀△8四歩▲同銀△同銀▲同飛△8三歩(投了図)
まで、74手で船戸女流三段の勝ち。

第7図でA▲6七銀打は、①△4九竜でも、②△5六竜▲同銀△6六角でも上手十分だろう。といってB▲5七金も、①△同竜▲同銀△7七角成か②△6六角▲同金△7七竜があり、どちらも上手優勢。どの変化も下手が駒得なのだが、上手陣が鉄壁なので、多少の駒損など物の数ではない。
そこで私はC▲5七歩と打ったのだが、これも△5六竜▲同歩△6六角がある上、そうならなくても、▲5六金がバカ金になってしまった。
本譜は船戸女流三段が黙って△4九竜と入ったが、これも厳しい。私は▲7八金と締まったが、そこで△5八歩が決め手級となった。
私が「おぉ!!」と唸ると、「え、え? 悪かった?」と船戸女流三段。いやいや悪手どころか、最短の寄せであろう。まったく、私が上川香織女流二段にいつも指している手を指され、クサッタ。
以下は指してみたにすぎず、△8三歩に飛車を逃げる気も失せて、投了した。まだ午後4時前だった。

私は▲9六歩を悪手の槍玉に挙げたが、船戸女流三段は▲3六歩をありがたく感じたとのことだった。まあ、どちらもヒドかった。
船戸女流三段は散文的に第2局を申し出てくれたが、敗者は去るのみ。立ち上がりTod氏に別れを告げると、驚かれた。彼とお茶ぐらいしたかったが、仕方ない。
私は今年3局目の実戦だったが、本局は拙局。どうも船戸女流三段と指すと、うまくいかない。

帰りも有楽町線を使い、銀座一丁目で下車。OKスーパーに行き、カウンターで、3月13日に飴を1袋ふん多く払った旨を話した。今回は当日のレシートを用意してあるから、完璧である。
ところが応対してくれたおばちゃんは、「過失の申請は、1週間以内有効です」とにべもなかった。
その旨は店内に張り出してあったから知っていたが、やはりそれを適用されてしまった。
かくして、3月13日から始まったトラブルは、一定の結論を見た。
腹が立ったが、店内で買い物をする。いつも地元で買うおかめ納豆は、ここで3パック70円である。地元より30円安い。悔しいが、やはりOKスーパーは安い。だから悔し紛れに3つ買ってやった。
さらに199円のせんべいも買い、セルフレジで会計である。
ところが、199円のせんべいのバーコードを1度しかタッチしていないのに、また2個と計測されてしまった。
私はすぐさま店員を呼び、1個に直してもらう。だが私は、すぐ離れようとする男性店員を呼び止め、3月の出来事も含めて、文句を言った。今回は画面を見ながら慎重にやったのに、これはどういうことか、と。
だが彼は適当に相槌を打つと、面倒くさいオッサンだなあ、という顔で、あっちへ行ってしまった。
だけどこれは深刻な問題である。直近のOKスーパーでの3回の買い物中、2回もタッチ不具合があった。これは由々しき問題ではないのか?
いやこのぶんだと、以前に買ったモノも、多く計測されたこともあるんじゃないのか?
私は「お客様カード」を手にした。今回の顛末を本部に知らせるためだが、その時間が惜しく、まだ何も書いていない。
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久しぶりの船戸女流三段と、OKスーパーの顛末(前編)

2025-04-22 00:14:04 | LPSA麹町サロンin DIS
17日のLPSA麹町サロンin DISは、昼の部に船戸陽子女流三段が登板していた。だいぶ前から1席空きがあり、私も行けたのだが、当日朝にバイトが入るかもしれないから、静観していた。
もっとも私は、船戸女流三段の大ファンだった。だけど船戸女流三段が2011年に結婚してからファンを止めた。そればかりか、当時私は船戸女流三段のメアドを知っていたので、ひどい文章を送ったりもした。だから船戸女流三段に合わせる顔、いやアタマもなかったのである。
ところが17日朝になっても空席は埋まらず、けっきょく私は予約をした。これも運命の気がして、それに抗えなかった。
当日は神田で下車し、日本橋に向かった。23日は船戸女流三段の誕生日なので、プレゼントを買うためである。指導対局に加え、プレゼントも買うとは、何の因果だろう。だけどこんなもの渡したって、当人はちっともうれしくないだろう。そういう相手の気持ちを考えないのが、私の悪いところである。
然るべき店でプレゼントを買ったあと、神田に戻るか、先に進むか。銀座のOKスーパーに行きたいが、そのまま歩いていくことにした。
辺りは外国人でいっぱいである。こんなビル街を観光したって面白くないと思うが、愉しみ方は人ぞれぞれである。
銀座に着いたが、OKスーパーが見当たらない。道を1本間違えたみたいだが、けっこう時間が押しており、微妙である。とりあえずOKスーパーは保留とし、私は地下鉄に向かった。
銀座一丁目から乗り、麹町で下車し、教室に入ったのは午後3時5分だった。あれだけ余裕を持って家を出たのに、日本橋の散歩がマズかった。
教室に客は集まっていたが、その数が4人だったので、驚いた。客の定員は4人である。だけど船戸女流三段は笑顔で迎えてくれる。これが大人の対応というやつである。ほかにTod氏もいて、私は混乱の極みである。ああたぶん、当日朝に2人の申し込みがあったのだ。そして私は対局確定を確認しないまま、ここに来てしまった。なら、私がお邪魔虫ではないのか?
私はとりえず船戸女流三段にプレゼントを渡し、「帰ります」と言った。だが、船戸女流三段は私を帰さない。すでに将棋盤も「5人目」が用意してあるし、このまま指していくことにした。
「きょうの朝に申し込んだんだけど」
私がTod氏に言うと、「ボクのほうが遅かった」と彼は言った。だけど私の可能性もあり、よく分からない。ただ、LPSAの売り上げが増えたんだから、これはこれでいいと思う。
早速駒を並べ、対局開始である。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4三銀▲5八金右△5四歩▲6八玉(第1図)

船戸女流三段は相変わらずエレガントだった。
といっても船戸女流三段にお目にかかるのは久しぶりで、2022年11月27日に田町駅前で行われた「Minerva交流将棋団体戦2022」以来となる。
その前となると、2020年1月9日の麹町サロンとなる。このときはTod氏の熱心な誘いを受けてのもので、船戸女流三段と「再会」するのに相当な勇気が要ったことを憶えている。
だから今回、自発的に指導対局を申し込んだのは14年ぶりとなる。その間に私は老け、頭髪は無残なことになってしまった。歳は取りたくないものだ。
しかし船戸女流三段は私の風貌には触らず、
「誕生日が近いから、誰かがプレゼントを持ってきてくれるかと思ってました」
と屈託がない。
私は盤面に集中する。私の居飛車明示に船戸女流三段は得意の雁木をにおわす。しかし△3二金が決まってないので、振り飛車の可能性も残っている。

第1図以下の指し手。△8四歩▲7八銀△9四歩▲7七銀△7二銀▲7八玉△8三銀▲2五歩△3三角▲7九角△2二飛(第2図)

右斜め前の男性氏は、すでに中盤に入らんとしている。いったいいつから始めていたのか。
船戸女流三段は居飛車を明示した。当然なのだが、意外な気もした。それが証拠に、私はその前に▲6八玉と上がってしまっている。このせいで、玉の整備に制約が加えられることになった。
奥の部屋から、渡部愛女流四段が出てきた。私は気付かなかったが、さっきから奥の部屋で声がしていたようだ。
みんなは口々に「おめでとうございます」と言う。渡部女流四段は昨年結婚したが、そのお祝いをまだ言っているのか? いや違う、渡部女流三段は先日の対局で勝利し、女流四段に昇段した。そのことであろう。
笑顔で返事をする渡部女流四段の視線が、私の頭頂部に注がれた気がした。いつぞやの中倉宏美女流二段のときもそうだったが、久しぶりに私に会った女流棋士は、みんな同じ反応をする。
その意味で、いまは「ハゲ耐性」ができている上川香織女流二段と指すときは、最もリラックスできる。
右の男性は「渡部先生にお会いできるとは、得した気分です」と、よろこびを隠せない。そんなものかなと思った。
局面、船戸女流三段は飛車先の歩を決めていないが、棒銀っぽい構想だ。このまま銀交換をされると、8筋が薄い私が悪い。
そこで私は▲2五歩から▲7九角としたが、これに船戸女流三段は△2二飛と受けた。この局面での振り飛車は、意外だった。
それに驚いて指した次の手がマズかった。

第2図以下の指し手。▲7五歩△6二玉▲7六銀△7二玉▲6六歩△8二玉▲5七銀△7二金▲6五歩△5二金(第3図)

▲7五歩は、私が好きな玉頭位取りの構想だが、駒が上摺ってよくなかった。ここは▲8八玉から▲9八香とし、穴熊の構想で指すのがよかった。
船戸女流三段は△6二玉と上がったが、私は△7二飛を気にした。もっともすぐに△7二飛は、▲2四歩△同歩▲同角で、以下△2二飛なら▲3三角成が王手で下手勝ち。だから△7二飛は気にする必要はなかったのだが、私はこの幻影にしばし悩むことになる。
数手進み、△7二金で△7二飛がなくなり、ほっと一息。しかし▲6五歩がまたマズかった。上手の△4二角から△7四歩を気にし、そのとき▲6六銀を間に合わせようとしたのだが、考えすぎた。
船戸女流三段は△5二金と上がり、涼しい顔である。

第3図以下の指し手。▲7七桂△6二金左▲8六歩△4五歩▲6七金△4四銀(第4図)

▲7七桂も陣形が薄くなりよくないが、△4五歩のときの角成をあらかじめ受けたもの。でも△4五歩を受けるなら、▲8八角と戻る手もあった。
▲8六歩に△4五歩が大きな手。これがあるから▲8六歩では▲4六歩も考えたが、バランスが悪いと思い、やめた。
△4四銀に次の手も悪かった。

(つづく)
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