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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

きょう誕生日の島井女流二段に教えていただく(後編)

2025-05-17 08:35:59 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。▲6五歩△同歩▲同桂△6四銀右▲同角△同銀▲4四飛△同歩▲4六角△3五歩▲6四角△6三金左(第5図)

私は▲6五歩と合わせた。△同歩▲同桂△6四銀右に、私はスパッと▲同角。突然の「シマイ攻め」に、島井咲緒里女流二段は首を傾げつつ、△同銀と取った。
私は飛角交換ののち、▲4六角の飛銀両取り。ここまでが読み筋だった。
島井女流二段は△3五歩と突いたが、ここは△2五飛と、6五桂取りに浮かれるのがイヤだった。
私は▲6四角と取って、角と銀2枚の交換のうえ、▲5三桂成の先手。これは負けられないと思った。

第5図以下の指し手。▲9一角成△5四角▲6四歩△2六歩▲同歩△2七歩▲同銀△6二金引▲6三香△6五角▲6二香成△同金(第6図)

私は「本当は▲5三角成と指したいんですけど……」とつぶやきつつ、落ち着いて▲9一角成とした。
「私もそれで困ります」と、島井女流二段。実際これで3枚換えとなり、さすがに下手優勢であろう。
ここで△6四歩は、▲7三歩から攻めが続く。島井女流二段は△5四角と据え、2七の地点を狙ってきた。
ここで▲6四香はあるが、歩で済ませた。島井女流二段はそれを横目に、△2六歩。優勢なほうは、この類の手を指されると、困るのである。
だがヘンに攻め合いになって取り返しのつかないことになると困るので、▲2六同歩と取った。
△2七歩▲同銀に△6二金引。ここで△2七同角成といくのは、まだ駒が足りないようだ。
私は▲6三香と打ったが、この香を2筋に立てて反撃されなければ、勝てると思った。

第6図以下の指し手。▲8一馬△5四角▲6三銀△同金▲同馬△同角▲同歩成△4六桂▲2八玉(投了図)
まで、85手で一公の勝ち。

第6図では△4六桂があるが、構わず▲8一馬とした。これが遠く2七まで利いているので、万が一にも頓死はない。
島井女流二段は△5四角とぶつけてきたが、私の▲6三銀はやや危険だった。▲5四同馬△同歩▲6三銀でよかった。
ここで△2七角成▲同玉△2六飛▲同玉△2八飛はあるが、▲2七歩で詰まないようだ。
よって島井女流二段は△6三同金と取ったが、▲同馬が細心の一手。「▲同歩成ならチャンスがあると思ったんだけど、やっぱり馬で来ますよね」と島井女流二段。これが決め手で、私の勝ちとなった。

感想戦は、第4図からの私の攻めを少しやった。▲4六角に△2五飛の変化は島井女流二段も認めてくれて、これならまだまだだった。
「ほかの先生との成績はどうですか?」
と島井女流二段が聞く。これが答えにくいところで、「勝っています」だと自慢になるし、「負けています」だと島井女流二段の立場がない。
結局私は「負けています」と答えた。
まあでも、指導対局はアマ側がプロにおカネを払っている時点で、すでに勝負ではない。だからたとえ私が棋士に平手で買ったとしても、まったく自慢にならない。
また島井女流二段に教えていただく機会があればうれしい。
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きょう誕生日の島井女流二段に教えていただく(中編)

2025-05-16 14:24:28 | LPSA麹町サロンin DIS

第6図以下の指し手。▲3三飛成△同桂▲8五歩△3九飛▲6八金打△8五飛▲8六歩△3五飛▲6四角(第7図)

島井咲緒里女流二段の名角が炸裂した局面。私は、1970年12月2日・3日に東京都千代田区紀尾井町「福田屋」で指された第9期十段戦第5局(主催:日本将棋連盟、読売新聞社)・▲中原誠八段VS△大山康晴十段の一戦を思い出した(参考A図)。

第6図で▲3六飛は、飛車が逃げるだけの手だから指せない。勢い▲3三飛成としたが、私はそこで△7七歩成(参考B図)を恐れていた。

まあ▲同桂と取ってみるが、△8七角成▲同玉△7六銀打▲7八玉(▲7六同金は△同銀▲7八玉△7七銀成で下手負け)△6七銀成▲同玉△7六銀▲5八玉△3三桂(参考C図)は、上手優勢である。

ところが島井女流二段は、振りむいて私の竜を一瞥すると、ひょいと△同桂と取ってしまった。これは私も▲8五歩として、この銀得が大きい。
島井女流二段の△3九飛には、私が王手と錯覚したこともあるが、▲6八金打と1枚入れた。ここでケチってはいけない。
「あれ? 私駒損してる?」
と島井女流二段がつぶやいたが、飛と金銀の2枚換えで、上手がやや損している程度だ。
島井女流二段は△3七飛成と指しかけたが、▲6四角がある。よって島井女流二段は迷いつつ△8五飛としたが、私は▲8六歩と追い、やはり▲6四角。この角は、どのくらい効いているのだろう。

第7図以下の指し手。△7七歩成▲同桂△8七角成▲同玉△7三銀打▲5三角成△3七飛行成▲4八銀打△7六歩▲6五桂△8四銀(第8図)

島井女流二段は拠点の歩を成り捨て角を切ってきたが、ややありがたかった。角はこの位置でニラミを利かされたほうがイヤだった。
だが△7三銀打に代え△3七飛行成!はあったようで、▲同角には△7五桂が厳しい。仮に▲7八玉なら、△8七銀▲7九玉△6七桂不成▲同金△7八金まで、詰み。
よって下手は▲3七同角でなく▲4八銀打と辛抱するのだろうが、取れる竜を取れないようでは苦しい。
とすると第7図では、まだ私のほうが悪かったということか。
本譜に戻り、▲5三角成に△3七飛行成。これだと飛車の両取りがあるが、3五の飛車も働かせづらいところである。
私は▲4八銀打。そこで島井女流二段は△7五桂と打てると錯覚していたようだ。これも多面指しの弊害で、注意力が散漫になるのはやむを得ない。
△7六歩には幸便に、▲6五桂と跳んだ。

第8図以下の指し手。▲6四角△7五桂▲同角△同銀▲同馬△7七歩成▲同玉△7三歩▲3七銀△同飛成(第9図)

私は2度目の▲6四角と打った。下手はこの筋を死守しておきたいのだ。
そしてこの角が、▲3七角と▲7一馬の両狙い。よって島井女流二段は7五桂と打ったが二枚換えとなり、初めて優勢を意識した。
島井女流二段はまたも拠点を成り捨て、△7三歩。だけどだんだん守りが弱体化していく。
私はやっと飛車を取り、いよいよ攻めである。

第9図以下の指し手。▲7二歩△6一金▲3一飛△5一歩▲1一飛成△4五桂▲6四香△7四銀▲同馬△同歩▲6一香成△5七桂成▲同金寄(第10図)

私は▲7二歩から攻めたが、ややダサかったか。
▲6四香は焦って指したが、▲8五香と、こちらに打つのだった。
ただ本譜△7四銀に▲同馬と取り、▲6一香成とできて、ようやく上手玉が見えてきた。

第10図以下の指し手。△7五歩▲8八桂△4九角▲7一歩成△7六銀▲7八玉△3八竜(第11図)

島井女流二段は妖しく△7五歩。私は彼我の寄せが読み切れず▲8八桂と受けたが、よくなかった。島井女流二段は「しっかり受けますね」と感心してくれたが、ここは▲7一歩成と踏み込んでよかった。
△4九角には、ついに▲7一歩成といった。島井女流二段も「おおー」と驚く。実はこの歩成、こっそり詰めろである。
だが△7六銀▲7八玉に、△6七角打▲7九玉△6五銀(参考D図)が、詰めろ逃れの詰めろ(△8七桂)になるのでアオくなった。

だが冷静に考えると、そこで▲6七金右として下手勝ち。
△3八竜で、勝ちを確信した。

第11図以下の指し手。▲8三桂△同銀▲8一と△同玉▲8二金(投了図)
まで、123手で一公の勝ち。

第11図から▲8一とでも詰むかもしれないが、簡便さに欠ける。私は▲8三桂と打った。これで玉の退路を封鎖するのがミソである。
そこで▲8一と△同玉に▲8二金と、金を捨てるのが好手。ここで島井女流二段が投了した。
以下は△8二同玉に▲7三銀△9三玉▲8二銀打まで。銀の特性がよく出た詰み上がりだ。

感想戦は口頭で、「ちょっと攻めすぎましたかねー」と島井女流二段の弁。だけど第6図で△7七歩成の攻めを絡めたら、たぶん島井女流二段が勝っていた。
まだ1時間あるので、2局目の開始となる。私が負けた場合はすぐ去るが、勝てた場合は勝ち逃げをせず、2局目も教わるのが私のスタンスである。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲7五歩△4四歩▲7八飛△3二銀▲5八金左△4三銀▲4八玉△3三角▲3八玉△2四歩▲9六歩△2二飛▲4八金直△2五歩(第1図)

3手目、▲7五歩と指してみた。島井女流二段は△4四歩と我が道をいったが、上川香織女流二段なら、△3五歩と指す。
▲7八飛と振ると、「なんでも指しますね」と島井女流二段。「でも相居飛車の感覚だからいいのか」。
後の相振り飛車を想定しての言葉だが、私は見様見真似で指しているので、却って申し訳ない気持ちである。

第1図以下の指し手。▲7四歩△同歩▲同飛△7二金▲7六飛△6一玉▲9五歩△6二銀▲2八銀△5四銀▲7七桂△4五歩▲8六歩△6四歩(第2図)

▲7四歩△同歩▲同飛には△7二飛とぶつけられるのがイヤだったが、よく考えたら飛車交換後、▲2三飛で下手十分だ。
よって私は手順に▲7六と引け、まずまず。
以下も慎重に指し手を進めたが、角の処置に迷った。

第2図以下の指し手。▲8五歩△6三銀引▲6八銀△7三銀▲9七角△5二金▲6六歩△7四歩▲9八香△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△2四飛(第3図)

私の狙いは▲8五桂からの端攻めである。だが上手の玉が6一なので、効果が薄いと判断し、▲8五歩と
伸ばした。これはこれで、飛車の横利きが通って悪くなかったと思う。
そこで島井女流二段の△6三銀引が意外で、この銀は5四にいたまま、△6五歩の仕掛けを見せられたままのほうがイヤだった。
角は▲9七角と、こちら側で使う。そして迷いつつ、▲6六歩と指した。島井女流二段は笑いながら「(上手に飛車先の歩の交換は許すけど)いつかは指さなきゃなりませんからね」と言った。

第3図以下の指し手。▲7五歩△同歩▲同飛△6六角▲4五飛△4三歩▲4六飛△4四角(第4図)

このあたりでLPSAファン氏の将棋が終わった。LPSAファン氏は研究が不発だったらしいが、指導対局で作戦の齟齬はよくある。
LPSAファン氏は簡単な感想戦を終えると、風のように帰った。医師は忙しいのである。
第3図で▲7五歩と合わせ、△4五歩を取りにいったのが勝手読み。△7五同歩▲同飛△7四銀左▲4五飛△4四歩▲4六飛△7六歩で、駒損を免れなかった。上手の歩が2つになるのをうっかりした。
ところが島井女流二段は「歩が取れるけど……」とつぶやき、とまどいながら△6六角と飛び出した。
この手も厳しいが、私も4五の歩を取っているので、チャラである。
▲4六飛に、島井女流二段は△4四角と引いた。この手が私の攻めを呼び込んだ。9手一組の攻めである。

(つづく)
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きょう誕生日の島井女流二段に教えていただく(前編)

2025-05-15 23:21:50 | LPSA麹町サロンin DIS
LPSA麹町サロン8日の2部・島井咲緒里女流二段の回に、空きが出た。前日、7日のことである。
8日はヒマだったが、ここで予約を入れて何かあったらキャンセル料も生じて面倒だ。それより何より、指導対局料4,500円は、私にとって大金である。でもこの15日は島井女流二段の誕生日で、先日の船戸陽子女流三段のときと同じ状況ではある。船戸女流三段にプレゼントを渡して、島井女流二段は無視というわけにもいくまい。それで、LPSAに予約を入れた。すると、OKの返事がきた。というわけで、8日の麹町行きが決まった。
当日は御徒町の多慶屋でドライブルーベリーを買い、山手線に乗り直して、神田で下車。日本橋のフルーツパーラーに寄り、いつものアレを買った。上川香織女流二段、船戸女流三段のときとまったく同じ品物で芸がないが、相手が違うからいい。
その後、銀座のOKスーパーに向かう。要するに先日の船戸女流三段の日と同じルートを歩んでいるわけだ。
日本橋のデパートでは、店頭で祭りの準備が進行中だった。地元の人あってのデパート。祭りにも積極的に参加するのだろう。
OKスーパーには、ほぼ迷わず着けた。飴、せんべい、納豆を買い、セルフレジの利用となる。
ところがまた、飴とせんべいが二重認識されてしまった。私は店員に文句を言って是正してもらったが、直近4回中3回で誤認識である。OKスーパーの関係者よ、このブログを読んでいたら何とかしろ!
LPSA麹町サロンには開始10分前に着き、気息を整えるため、トイレに入る。その刹那、島井女流二段に挨拶されてしまった。島井女流二段もお手洗いに来たのだ。
私は手土産を持っており、まあそれを見られてしまったのはいいが、品物はちゃんと清潔に扱っているので、そこは大目に見てほしい。
あらためて入室すると、先客が3名いた。うちひとりは「LPSAファン」氏で、医師である。LPSAファン氏はちっとも変わっていないが、私が例によってヒドイことになっているので、合わせるアタマがない。私はただただ恐縮し、島井女流二段に誕生日プレゼントを渡すと、奥の空いている席に座った。
と、島井女流二段が
「きょうは私、強いですよ」
と言った。「アヤノちゃんとユイちゃんに勝ったんだから。3連勝しました」
3連勝とはすごいが、アヤノって誰だ? 野田澤彩乃女流初段か? ユイちゃんは? 浅香唯か?
「女流王将戦ですか?」
私が混乱した頭で問うと、どうもLPSAの研究会のようだった。アヤノは堀彩乃女流初段だ。ではユイは? ああ、磯谷祐維女流初段だった。いや、いま売り出し中の磯谷女流初段に勝つとは見事である。
島井女流二段も、ツボにはまれば強いのだが、なかなかツボにはまらないのが玉に瑕だ。
そんななごやかな雰囲気の中、対局開始となった。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5八金右△8二玉▲9六歩△9四歩(第1図)

本局にあたり、大山康晴十五世名人対中原誠十六世名人の実戦譜を勉強した。1974年7月に指された第24期棋聖戦の挑戦者決定戦で、中原名人(当時)が珍しく、振り飛車を採用した。対して大山十段(当時)の作戦は4筋の位を取る位取り作戦で、後に△4四角と上がる構想だった。本局は、この作戦を拝借することにした。
将棋は私の居飛車明示に、島井女流二段の四間飛車で、これは予定通り。
私が▲7八玉と寄ると、島井女流二段が
「おととしいただいたタオル、まだ使っています」
と言った。タオル……といえば今治タオルだが、私は島井女流二段にプレゼントしただろうか? すっかり忘れてしまった。でもその後思い出した。有明ガーデンに出店しているタオル専門店で、フェイスタオルの類を買ったことがある。だけどあれは、今治タオルだったか?
局面は進み、私の▲9六歩に、島井女流二段は△9四歩。珍しく、穴熊を放棄してきた。

第1図以下の指し手。▲2五歩△3三角▲3六歩△4三銀▲6八銀△9二香▲6六歩△5二金左▲6七銀△6四歩(第2図)

島井女流二段はまだ30代と思っていたが、考えてみたら、けっこうな年齢なのに驚いた。もっとも、私も還暦に手が届こうかという年齢なので、間違ってはいない。でもきょうの島井女流二段もキュートで、若々しい。若さの秘訣を聞いてみたいものだ。
私は▲2五歩△3三角を決め、▲3六歩。当初は玉頭位取りを目指したのだが、べったりと持久戦もゲップが出そうな気がして、和戦両様で指し手を進めた。
私の▲6八銀に、島井女流二段は△9二香。端歩を突いても穴熊で来たか! でも島井女流二段の「本気」を感じられ、私はうれしかった。
▲6六歩△5二金左に、願望は▲6五歩なのだが、△5四銀と出られると▲7七桂が絶対となり、角の活用が難しくなってしまう。
そこで▲6七銀と上がったら、△6四歩と受けられてしまった。研究通りにはいかないものだ。

第2図以下の指し手。▲7五歩△9一玉▲7六銀△5四銀▲6七金△8二銀▲7七角△7一金▲5七銀△6三金(第3図)

あちらではLPSAファン氏が、島井女流二段にコーヒーをごちそうしている。これも「LPSAファン定跡」で、その心遣いに感心するところである。
私は▲7五歩と玉頭位取りに出たが、やや芸がなかったか。以下は駒組合戦となったが、△6三金を見て、しまったと思った。

第3図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲3八飛△7二飛▲3五飛△3四歩▲同飛△7四歩▲同歩△同金▲8六歩(第4図)

△6三金はもちろん、△7二飛から△7四歩の狙いだ。それは重々警戒していたのに、うっかりしてしまった。
これに▲8六角とすれば7五の地点は受かるが、8六角が歩越しなのが気に食わない。
よって▲3五歩から先攻したが、4手後の▲3五飛に、△3四歩が軽手。1歩を犠牲に、後の△7五飛~△2五飛を目論んだのだ。
といってもこの歩は取るよりなく、ついに△7四歩から動かれてしまった。
私の▲8六歩は妥協の手で、明らかな作戦失敗である。

第4図以下の指し手。△7五金▲8七銀△7六歩▲8八角△6五歩▲同歩△同銀▲6六歩△7四銀▲3七桂△8四歩(第5図)

島井女流二段はドーンと△7五金。△7五歩と押さえて満足する島井女流二段ではないのだ。本局、いちばん島井女流二段らしさが出た手だと思う。
これに▲同銀△同飛は、△7六銀や△7六歩、△2五飛を見られて下手悪い。
よって私は▲8七銀と屈服したが、以下角も凹まされ、不愉快な展開となった。
島井女流二段は銀で1歩を交換しつつ、△7四銀とこちら側に引いた。一瞬飛車先が重たくなるのでありがたく感じたが、島井女流二段は別のことを考えていた。
△8四歩がそれで、金銀のスクラムで我が8筋を攻略する意だった。

第5図以下の指し手。▲9七角△8五歩▲同歩△9五歩▲同歩△8五銀▲7五角△同飛▲8六歩△4三角(第6図)

第5図で手をこまぬいて△8五歩を食らっては負ける。▲9七角は気が利かないが、ほかに手がなかった。
そこで△6五歩も何となくイヤだったが、島井女流二段は予定の△8五歩。▲同歩に△9五歩▲同歩も入り、私としてはこのあたり、どうにでもしてくれ、という心境だった。
もっともこれに△9五同香は、▲7五角△同銀▲9五香で、下手も指せる。
島井女流二段は△8五同銀だったので、私は▲7五角から▲8六歩と収めた。
と、島井女流二段は△4三角。ここは△7七歩成▲同桂を利かしてから△4三角もあると思ったが、単に角打ちも厳しい。
読めば読むほど下手が悪くなり、この将棋は負けたと思った。

(つづく)
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久しぶりの船戸女流三段と、OKスーパーの顛末(後編)

2025-04-23 15:16:28 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。▲3六歩△5五歩▲同歩△同銀▲5六歩△4四銀(第5図)

ここまで作戦の齟齬はいくつかあったが、駒損もしていないし、まだまだ指せる。しかし▲3六歩がマズかった。
この手は△3五銀や△3五歩を防いだものだが、警戒しすぎ。もっと有効な手を指すべきだった。
船戸陽子女流三段はとりあえず5筋の歩を換える。そこで次の私の手が、精神的敗着となった。

第5図以下の指し手。▲9六歩△5三銀▲8九玉△5五歩▲同歩△同角▲4六歩△5四銀▲5六歩△3三角(第6図)

実はこの数手前まで、私は▲8七玉と上がる予定だった。だがそのうち、玉は8九に引き、▲8八飛と展開することを思いついた。
だからすぐにその手を決行すればよかったのだが、その前にすべての憂いを消しておこうと、▲9六歩と突いたのがマズかった。すぐに▲8九玉~▲8八飛だと、△9四銀と備えられると思ったのだ。
だが実際は、上手は△9五歩と突き越していないし、仮に△9四銀が可能でも、▲8五歩△同歩に▲8四歩と垂らして、下手が十分だった。
遅ればせながらの▲8九玉に、船戸女流三段は「いつの間にかプレミアムになりそう」とつぶやきつつ、再び△5五歩。船戸女流三段はまだ私の遠大な構想に気付いていないが、この合わせが厳しい。
私は▲同歩と取ったが、△同角が飛車取りで、先の▲3六歩を咎められた。
▲4六歩は薄い受けだが、仕方がない。これには△5六歩▲同銀△4六角がイヤだったが、船戸女流三段は△5四銀と立つ。

第6図以下の指し手。▲4五歩△4二飛▲6六銀△4五銀▲8八飛△5六銀(途中図)

▲5六同金△4七飛成(第7図)

第6図でも▲4五歩がどうだったか。もういい加減、▲8八飛だった。これに△4二飛なら、▲8五歩△同歩▲同銀△8四歩▲同銀△同銀▲同飛(変化図)の十字飛車で下手優勢。

本譜、上手は△4二飛と戦力を増強し、十分。私は▲3七桂と受けたいが、△3五歩▲2六飛△1五角があり、不可だ。
私は4筋を明け渡し▲6六銀と厚みを作る。ここで△4五飛は▲4六歩なので、△4五銀。そこでやっと私は▲8八飛と転回した。
船戸女流三段は「おおっ!!」と驚きつつ、△5六銀(途中図)と出た。「荒すぎですかね」のコメントに、自信が見て取れた。
私は、1984年2月19日に放送された、第33回NHK杯将棋トーナメント4回戦・▲桐山清澄八段VS△大山康晴十五世名人戦で、大山十五世名人が△5六銀(参考図)と切り込んだ手を思い出した。

NHK杯は以下▲4四歩△5三飛と進行したが、私は▲5六同金と取った。だが△4七飛成が厳しく、これは本当に下手敗勢となった。

第7図以下の指し手。▲5七歩△4九竜▲7八金△5八歩▲8五歩△同歩▲同銀△8四歩▲同銀△同銀▲同飛△8三歩(投了図)
まで、74手で船戸女流三段の勝ち。

第7図でA▲6七銀打は、①△4九竜でも、②△5六竜▲同銀△6六角でも上手十分だろう。といってB▲5七金も、①△同竜▲同銀△7七角成か②△6六角▲同金△7七竜があり、どちらも上手優勢。どの変化も下手が駒得なのだが、上手陣が鉄壁なので、多少の駒損など物の数ではない。
そこで私はC▲5七歩と打ったのだが、これも△5六竜▲同歩△6六角がある上、そうならなくても、▲5六金がバカ金になってしまった。
本譜は船戸女流三段が黙って△4九竜と入ったが、これも厳しい。私は▲7八金と締まったが、そこで△5八歩が決め手級となった。
私が「おぉ!!」と唸ると、「え、え? 悪かった?」と船戸女流三段。いやいや悪手どころか、最短の寄せであろう。まったく、私が上川香織女流二段にいつも指している手を指され、クサッタ。
以下は指してみたにすぎず、△8三歩に飛車を逃げる気も失せて、投了した。まだ午後4時前だった。

私は▲9六歩を悪手の槍玉に挙げたが、船戸女流三段は▲3六歩をありがたく感じたとのことだった。まあ、どちらもヒドかった。
船戸女流三段は散文的に第2局を申し出てくれたが、敗者は去るのみ。立ち上がりTod氏に別れを告げると、驚かれた。彼とお茶ぐらいしたかったが、仕方ない。
私は今年3局目の実戦だったが、本局は拙局。どうも船戸女流三段と指すと、うまくいかない。

帰りも有楽町線を使い、銀座一丁目で下車。OKスーパーに行き、カウンターで、3月13日に飴を1袋ふん多く払った旨を話した。今回は当日のレシートを用意してあるから、完璧である。
ところが応対してくれたおばちゃんは、「過失の申請は、1週間以内有効です」とにべもなかった。
その旨は店内に張り出してあったから知っていたが、やはりそれを適用されてしまった。
かくして、3月13日から始まったトラブルは、一定の結論を見た。
腹が立ったが、店内で買い物をする。いつも地元で買うおかめ納豆は、ここで3パック70円である。地元より30円安い。悔しいが、やはりOKスーパーは安い。だから悔し紛れに3つ買ってやった。
さらに199円のせんべいも買い、セルフレジで会計である。
ところが、199円のせんべいのバーコードを1度しかタッチしていないのに、また2個と計測されてしまった。
私はすぐさま店員を呼び、1個に直してもらう。だが私は、すぐ離れようとする男性店員を呼び止め、3月の出来事も含めて、文句を言った。今回は画面を見ながら慎重にやったのに、これはどういうことか、と。
だが彼は適当に相槌を打つと、面倒くさいオッサンだなあ、という顔で、あっちへ行ってしまった。
だけどこれは深刻な問題である。直近のOKスーパーでの3回の買い物中、2回もタッチ不具合があった。これは由々しき問題ではないのか?
いやこのぶんだと、以前に買ったモノも、多く計測されたこともあるんじゃないのか?
私は「お客様カード」を手にした。今回の顛末を本部に知らせるためだが、その時間が惜しく、まだ何も書いていない。
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久しぶりの船戸女流三段と、OKスーパーの顛末(前編)

2025-04-22 00:14:04 | LPSA麹町サロンin DIS
17日のLPSA麹町サロンin DISは、昼の部に船戸陽子女流三段が登板していた。だいぶ前から1席空きがあり、私も行けたのだが、当日朝にバイトが入るかもしれないから、静観していた。
もっとも私は、船戸女流三段の大ファンだった。だけど船戸女流三段が2011年に結婚してからファンを止めた。そればかりか、当時私は船戸女流三段のメアドを知っていたので、ひどい文章を送ったりもした。だから船戸女流三段に合わせる顔、いやアタマもなかったのである。
ところが17日朝になっても空席は埋まらず、けっきょく私は予約をした。これも運命の気がして、それに抗えなかった。
当日は神田で下車し、日本橋に向かった。23日は船戸女流三段の誕生日なので、プレゼントを買うためである。指導対局に加え、プレゼントも買うとは、何の因果だろう。だけどこんなもの渡したって、当人はちっともうれしくないだろう。そういう相手の気持ちを考えないのが、私の悪いところである。
然るべき店でプレゼントを買ったあと、神田に戻るか、先に進むか。銀座のOKスーパーに行きたいが、そのまま歩いていくことにした。
辺りは外国人でいっぱいである。こんなビル街を観光したって面白くないと思うが、愉しみ方は人ぞれぞれである。
銀座に着いたが、OKスーパーが見当たらない。道を1本間違えたみたいだが、けっこう時間が押しており、微妙である。とりあえずOKスーパーは保留とし、私は地下鉄に向かった。
銀座一丁目から乗り、麹町で下車し、教室に入ったのは午後3時5分だった。あれだけ余裕を持って家を出たのに、日本橋の散歩がマズかった。
教室に客は集まっていたが、その数が4人だったので、驚いた。客の定員は4人である。だけど船戸女流三段は笑顔で迎えてくれる。これが大人の対応というやつである。ほかにTod氏もいて、私は混乱の極みである。ああたぶん、当日朝に2人の申し込みがあったのだ。そして私は対局確定を確認しないまま、ここに来てしまった。なら、私がお邪魔虫ではないのか?
私はとりえず船戸女流三段にプレゼントを渡し、「帰ります」と言った。だが、船戸女流三段は私を帰さない。すでに将棋盤も「5人目」が用意してあるし、このまま指していくことにした。
「きょうの朝に申し込んだんだけど」
私がTod氏に言うと、「ボクのほうが遅かった」と彼は言った。だけど私の可能性もあり、よく分からない。ただ、LPSAの売り上げが増えたんだから、これはこれでいいと思う。
早速駒を並べ、対局開始である。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4三銀▲5八金右△5四歩▲6八玉(第1図)

船戸女流三段は相変わらずエレガントだった。
といっても船戸女流三段にお目にかかるのは久しぶりで、2022年11月27日に田町駅前で行われた「Minerva交流将棋団体戦2022」以来となる。
その前となると、2020年1月9日の麹町サロンとなる。このときはTod氏の熱心な誘いを受けてのもので、船戸女流三段と「再会」するのに相当な勇気が要ったことを憶えている。
だから今回、自発的に指導対局を申し込んだのは14年ぶりとなる。その間に私は老け、頭髪は無残なことになってしまった。歳は取りたくないものだ。
しかし船戸女流三段は私の風貌には触らず、
「誕生日が近いから、誰かがプレゼントを持ってきてくれるかと思ってました」
と屈託がない。
私は盤面に集中する。私の居飛車明示に船戸女流三段は得意の雁木をにおわす。しかし△3二金が決まってないので、振り飛車の可能性も残っている。

第1図以下の指し手。△8四歩▲7八銀△9四歩▲7七銀△7二銀▲7八玉△8三銀▲2五歩△3三角▲7九角△2二飛(第2図)

右斜め前の男性氏は、すでに中盤に入らんとしている。いったいいつから始めていたのか。
船戸女流三段は居飛車を明示した。当然なのだが、意外な気もした。それが証拠に、私はその前に▲6八玉と上がってしまっている。このせいで、玉の整備に制約が加えられることになった。
奥の部屋から、渡部愛女流四段が出てきた。私は気付かなかったが、さっきから奥の部屋で声がしていたようだ。
みんなは口々に「おめでとうございます」と言う。渡部女流四段は昨年結婚したが、そのお祝いをまだ言っているのか? いや違う、渡部女流三段は先日の対局で勝利し、女流四段に昇段した。そのことであろう。
笑顔で返事をする渡部女流四段の視線が、私の頭頂部に注がれた気がした。いつぞやの中倉宏美女流二段のときもそうだったが、久しぶりに私に会った女流棋士は、みんな同じ反応をする。
その意味で、いまは「ハゲ耐性」ができている上川香織女流二段と指すときは、最もリラックスできる。
右の男性は「渡部先生にお会いできるとは、得した気分です」と、よろこびを隠せない。そんなものかなと思った。
局面、船戸女流三段は飛車先の歩を決めていないが、棒銀っぽい構想だ。このまま銀交換をされると、8筋が薄い私が悪い。
そこで私は▲2五歩から▲7九角としたが、これに船戸女流三段は△2二飛と受けた。この局面での振り飛車は、意外だった。
それに驚いて指した次の手がマズかった。

第2図以下の指し手。▲7五歩△6二玉▲7六銀△7二玉▲6六歩△8二玉▲5七銀△7二金▲6五歩△5二金(第3図)

▲7五歩は、私が好きな玉頭位取りの構想だが、駒が上摺ってよくなかった。ここは▲8八玉から▲9八香とし、穴熊の構想で指すのがよかった。
船戸女流三段は△6二玉と上がったが、私は△7二飛を気にした。もっともすぐに△7二飛は、▲2四歩△同歩▲同角で、以下△2二飛なら▲3三角成が王手で下手勝ち。だから△7二飛は気にする必要はなかったのだが、私はこの幻影にしばし悩むことになる。
数手進み、△7二金で△7二飛がなくなり、ほっと一息。しかし▲6五歩がまたマズかった。上手の△4二角から△7四歩を気にし、そのとき▲6六銀を間に合わせようとしたのだが、考えすぎた。
船戸女流三段は△5二金と上がり、涼しい顔である。

第3図以下の指し手。▲7七桂△6二金左▲8六歩△4五歩▲6七金△4四銀(第4図)

▲7七桂も陣形が薄くなりよくないが、△4五歩のときの角成をあらかじめ受けたもの。でも△4五歩を受けるなら、▲8八角と戻る手もあった。
▲8六歩に△4五歩が大きな手。これがあるから▲8六歩では▲4六歩も考えたが、バランスが悪いと思い、やめた。
△4四銀に次の手も悪かった。

(つづく)
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