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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

宏美女流二段に教えていただく(後編)

2025-08-11 22:44:58 | LPSA麹町サロンin DIS

第8図以下の指し手。▲2三飛成△同金▲5三飛△6四玉▲4三飛成△5七歩成▲同銀△6七銀(第9図)

LPSAファン氏はオイソガ氏で、将棋が終わると、一足先に帰ってしまった。
第8図で▲2九飛や▲1八飛は1手の価値がなく、まったく指す気がしなかった。ただ、▲2七飛はあったと思う。もし△同馬▲同角なら、これが▲5三飛以下の詰めろになる。だが対局時はまったく考えなかった。
私が指したのは▲2三飛成である。飛車取りになっているのに、別の場所に飛車を差し出したのだ。
この手を見た中倉宏美女流二段はさすがにビックリしていたが、まあ△同金と取るよりない。
そこで▲5三飛から▲4三飛成と迫る。ただこの手は詰めろになっていない。以後を正確に指されたら負けかもしれない、とも思った。
ここで宏美女流二段は△5七歩成。だがこれは▲同銀で、私の銀が手順に敵玉に近づくので、ありがたかった。
だが宏美女流二段はどこ吹く風で、今度は△6七銀と捨ててきた。なんだこれは!?

第9図以下の指し手。▲6七同銀△8七金▲6八玉△2八飛(第10図)

第9図では▲6七同玉もある。だがこれは△5五桂から王手が続くので、あまり考えなかった。むしろ銀で取れば自陣が固くなるので、私は喜んで▲同銀と取った。
すると、宏美女流二段は△8七金!!
ここに至って、私は宏美女流二段の読みに気付いた。宏美女流二段は、下手玉を詰ましに来ていたのだ!!
私はビビリながら▲6八玉とよろけたが、ここは何はともあれ、▲8七同歩で金を入手しておくのだった。金があれば、攻守に活用できた。
本譜に戻り、宏美女流二段は△2八飛。もちろんこの手は読んでいたが……。

第10図以下の指し手。▲5八銀打△7六桂▲同銀△5八飛成▲同玉△4七金▲6八玉△5七金▲同玉△4八銀(投了図)
まで、124手まで宏美女流二段の勝ち。

第10図では▲3八銀で受かると読んでいた。△3八同馬なら▲7三竜△5五玉▲5六銀打で詰み、が読み筋である。だがそこで△5六同馬(参考B図)と取る手に気付いた。これが逆王手になり、下手負け。

私は混乱した頭で▲5八銀と打ったが、そこで△7六桂▲同銀△5八飛成があることに気付いた。これを▲同金は、△7八金打▲6七玉△5五桂▲5六玉△4七銀以下詰み。だから△5八飛成は▲同玉と取るしかないが、それでも下手玉が詰みそうだ。
すると宏美女流二段は、やはり△7六桂! ここで投げようかと思ったが、まあ、上手に決め手を指してもらおうと思った。
▲7六同銀に、前述の△5八飛成が決め手、これで下手がどう応じても詰んでいる。
以下△4八銀まで、私は投了した。

「いやー、トン死しちゃったよ」
と私は嘆く。「いや最初は△2八飛に▲3八銀で受かっていると思ったんですよ。ところが▲5六銀打で詰みのつもりが、△同馬で逆王手になって……」
「△5七歩成はありがたいと思ったんですよ」
「でもほかに手がなかったから……」
「△8七金はとりあえず▲同歩と取っておくべきでしたか」
「まあその問題はありますが……」
双方が微妙に言いたいことを言い、話は序盤に戻った。
「桂得をしたところではまあまあかなと思ったんですよ」
「私のほうも食いつかれて……。やっぱり雁木は薄かったですね」
「でも△3四歩と角道を遮られた手にはシビれました。あれで角が働かなくなった」
「私の△2四角がおかしかったですか?」
「いやいや」
……と話していたらキリがない。もうこれで帰ろう、と思ったら、右の青年が投了したので驚いた。こちらも宏美女流二段が勝ったのか!
いや、恐ろしい。下手に指させたいだ指させて、最後はスッと体を入れ替える。まさに上手の至芸を見る思いで、私は今回ほど、指導対局料を払った甲斐があると思ったことはなかった。
宏美女流二段、これでどうして、白玲戦・女流順位戦D級で降級点を2つも持っているのか分からない。来期は確実に1コ消去するだろう。

後日、まだ8月7日の休みは確定していなかったが、LPSA麹町サロンの予約状況を見たら、中倉彰子女流二段、上川香織女流二段の両方とも、満席になっていた。まさかの展開に、私はガックリである。
彰子女流二段の回はともかく、上川女流二段のは誕生日直後だから、何としても受けたかった。それならもっと早くに予約だけでもしておけ、という話である。
肝心なところでグズグズして、チャンスを掴み損ねる。私の人生、いつもそのパターンだ。そしてそれは今後も変わらないのだろう。
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宏美女流二段に教えていただく(中編)

2025-08-10 00:05:41 | LPSA麹町サロンin DIS
初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4三銀▲5八金右△3二金▲6八玉△8四歩▲7八銀△8五歩(第1図)

中倉宏美女流二段は居飛車も振り飛車も指すが、最近は居飛車が多いイメージがある。私の▲7六歩に宏美女流二段は△3四歩。もし△8四歩なら矢倉を指すつもりだった。
▲2六歩に宏美女流二段は△4四歩だが、令和の将棋界は、雁木の作戦も濃厚だ。▲5六歩に△4三銀がその証左で、振り飛車ならこのあたりで△4二飛とする。
上手は果たして△3二金~△8四歩で、居飛車が確定した。
△8五歩に私の応手は。

第1図以下の指し手。▲7七銀△6二銀▲2五歩△3三角▲7八玉△7四歩▲6六歩△6四歩▲6七金△7三桂▲7九角△6三銀▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛△4二玉(第2図)

右の青年氏も平手で挑み、個性的な戦法を指している。いまはいろいろな戦法が開発されているが、私の作戦は昭和止まりだ。
第1図では飛車先を受けない手はある。この日見た「将棋フォーカス」の講座で、講師の深浦康市雁木王が、ここから左美濃に組む手を解説していた。
だが私は昭和の人間なので、▲7七銀と上がった。
宏美女流二段は今風の構えで、着々と手を進める。私は▲2四歩から、手順に歩と角の交換を果たした。

第2図以下の指し手。▲1六歩△6二金▲1五歩△8一飛▲5五歩△9四歩▲4六歩△3三桂▲3六歩△9五歩(第3図)

宏美陣は中央が厚いので、私は端に焦点を絞る。対して宏美女流二段は△8一飛。むかし大野八一雄七段に角落ちで教えてもらったとき、ここから△3三桂~△2一飛~△2四歩~△2五歩と逆襲されたことがある。だから飛車先の歩を交換するのも善し悪しなのだが、宏美女流二段はその順は指さないと思った。
そこで私の▲5五歩が狙いの手。その狙いが第3図で明らかになる。

第3図以下の指し手。▲5六角△5四歩▲同歩△同銀右▲3五歩△5五歩▲3四角△2四角▲1六角△3五角▲3四歩(第4図)

私の▲5六角が好点。狙いはもちろん▲3五歩からの桂頭攻めで、間接的に2三の地点も狙っている。
△5四歩▲同歩△同銀右には▲7五歩の桂頭攻めがあったが、私には盤の右側しか目に入っていなかった。予定通り▲3五歩と指した。
宏美女流二段は△5五歩と角をどかしに来たが、私は幸便に▲3四角と飛び出る。
これに△同銀なら▲同歩で、二枚換えが約束され下手十分。よって宏美女流二段は△2四角と辛抱した。
時刻は午後6時56分。ここで、4人目の会員が来た。それがLPSAファン氏で、なんと2週連続の顔合わせである。私もヒトのことは言えないが、LPSAファン氏、ずいぶん熱心である。
局面。ここで▲4三角成△同銀▲3四銀はあったかもしれないが、あまり考えなかった。おとなしく▲1六角と引き、▲3四歩を楽しみにした。

第4図以下の指し手。△8六歩▲同歩△8五歩▲3三歩成△同金▲4七銀△8六歩▲8八歩△4五歩▲同歩△6五歩▲3六歩△5三角▲6五歩(第5図)

右の青年は快調に駒を進め、宏美女流二段が困った表情をしている。これは下手の楽勝ではないかと思った。
第4図で上手の指し手が難しいと思ったが、宏美女流二段は△8六歩。さすがの攻め合いで、私は▲同歩と取ったが、△8五歩が継続手。これに相手をしていては、上手ペースになってしまう。だから無視を決め込んだが、これがあるなら、▲8六同歩では▲同銀だったか。
△8六歩の取り込みに▲8八歩と我慢し、宏美女流二段は△6五歩。私が桂得したものの、駒の勢いは上手のほうがある。
私も攻め合いたいが、反動がきつく、今一つ踏み込めない。とりあえず▲6五歩と1歩を補充したが……。

第5図以下の指し手。△3四歩▲3七桂△7五歩▲同歩△6五桂▲7六銀△6六歩▲同金△5七桂成▲5八銀△5六成桂▲同金△同歩(第6図)

宏美女流二段の△3四歩がいい辛抱だった。私は何かのときに▲4三角成を狙っていたが、それを消されてしまった。そしてこうなると、角の活躍場所がない。
仕方ないから私は桂を跳ねる。指し手が分からなくなったとき、桂を跳ねる手にはマイナスが少ないと思う。
この手、宏美女流二段には見えていたと思うのだが、宏美女流二段の視線は私を飛ばして2~3往復している。それで、「▲3七桂と指しましたけど…」と、恐る恐る申し出た。やはり、宏美女流二段は気付いていなかった。
宏美女流二段は△6五桂と跳ねる。ここは△6五銀▲6六歩△5六銀もあり、以下▲同銀△同歩▲同金に△8七銀は上手ペースと思う。
本譜に戻り、△6五桂には▲6六銀が形だが、以下△7七歩▲同桂△同桂成▲同銀△6五桂▲6六銀△7七歩(参考A図)でうるさいと思った。

だから▲7六銀と立つ。同じく△7七歩なら▲6八玉と逃げ、△8七歩成は▲同歩でなんでもない。
しかし△6六歩が痛打だった。もちろんこの手は読んでいったが、実際に指されると存外厳しかった。
こんな歩は取る一手だが、△5七桂成が大きい。ただ▲5八銀と当て、△同成桂は▲同金で下手も悪くない。ところが宏美女流二段に△5六成桂と引かれ、飛び上がった。
さすがにこの成桂は取るしかないが、金桂交換になったのは痛かった。

第6図以下の指し手。▲6六桂△8四飛▲5四桂△同飛▲6六桂△8四飛▲5四歩△6四角▲5三銀△同金▲同歩成△同玉▲5四歩(第7図)

LPSAファン氏は、時折宏美女流二段を写真に撮る。そのたびに宏美女流二段がカメラ目線になり、ふたりのいちゃいいちゃぶりが羨ましい。
私は予定とばかり▲6六桂。宏美女流二段は△8四飛と浮いたが、私はおかわりの桂を打ち、やや差が詰まったと思った。
これに△5五飛は▲4六銀で飛車を殺し、下手指せる。
よって宏美女流二段は△8四飛だが、私は▲5四歩と追撃する。これには△6四角で桂取りになるのが不満だが、代わる手が分からなかった。
とりあえず▲5三銀から薄くし、再び▲5四歩。この応手は?

第7図以下の指し手。△6二玉▲6三歩△同玉▲7四金△同飛▲同歩△3七角成(第8図)

第7図で宏美女流二段は△6二玉と引いたが、△4二玉と引く手も有力だった。
私が恐れていたのは△5四同銀で、▲同桂なら△3七角成で、飛車取りと△6六桂の両狙いが残る。
本譜△6二玉には▲6三歩から▲7四金で飛車を入手したが、△3七角成とされて、下手は忙しい。尋常な手では勝てないと思った。

(つづく)
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宏美女流二段に教えていただく(前編)

2025-08-09 07:48:02 | LPSA麹町サロンin DIS
先月9日、LPSA麹町サロンin DISで島井咲緒里女流二段の回に予約をしたとき、その翌週の中倉宏美女流二段の回も1席空いていたので、いっしょに予約を入れた。
宏美女流二段は、私たち中年にとっては永遠のヒロインである。その人気は、LPSAでは渡部愛女流四段に次いでナンバー2といってもよい。6月26日の社団戦の打ち上げのときも宏美女流二段の話題が出て、私などは「(社団戦での)あのノースリーブがよかった」と賛辞を惜しまなかった。
「ところで宏美さんて、何歳なの?」
「46歳」
「おおー!!」
誰かが言って誰かが答え、歓声が沸いた。まさにいまが女盛り。宏美女流二段の絶妙の年齢に、私たちは悶絶したのであった。
その宏美女流二段に教えていただける機会を得た。私は当日が楽しみでしょうがなかった。
ところでこの時点では、8月7日の中倉彰子女流二段、上川香織女流二段の回も空いていた。その日の私の予定は決定していないが、バイト先に休日申請をすれば、平日だから100%通る。だからこの勢いで、8月7日のぶんも予約してしまう手はあった。
となれば、上川女流二段は7月30日が誕生日だ。だから、また誕生日プレゼントを持っていきたい。だが、上川女流二段の前の彰子女流二段の回のときに、プレゼントを持参しながら彰子女流二段にやらないとなれば、彰子女流二段は面白くないだろう。だから、彰子女流二段のぶんも買っていく必要がある。
だがそうなると、彰子姉さんにプレゼントが渡って、ずるい。とか宏美女流二段がどこかで言いそうな気もして、それなら半年遅れではあるが、宏美女流二段にもプレゼントを贈ろうと思った。我ながら、恐ろしい深読みである。ただ私としても、何か口実をつけて、宏美女流二段にプレゼントを贈りたい気持ちはあった。
7月12日にテレビのアド街で、東京駅八重洲地下街の特集をやったので、プレゼントはそこで買おうと思った。
商品は消えものがいいが、この暑い時期だと、やはりスイーツ系になってしまう。だけどそれなら、いつものように日本橋のSに行くべきだったかもしれない。
地下街を回ると、美味そうなスイーツを売っている店があった。これがよく見るとSの出店で、結局同じ店に落ち着くのか、と苦笑した。
ところが、扱っている商品は見慣れぬものである。内容は私が以前買ったものとほぼ同じだが、値段が上がっている。
一応新商品だが、パッケージを一新して、そのタイミングで値上げをしたとも考えられる。
私は日本橋本店に行って新旧の販売状況も確認したかったが、もうその時間がない。結局私は、いまあるその商品を購入したのだった。
私は有楽町まで行き、またもOKスーパーに寄り、有楽町線で麹町に向かった。今度は出口を慎重に探す。すると、地下1階のくたびれたエレベーターが、麹町サロンに直結にしていた。なるほど、前週の島井女流二段は、この要領で雨にぬれずに入室できたわけだ。
入室すると、先客が2名いた。「お久しぶりです」と互いに言い合う。前回宏美女流二段に教わったのは2023年4月6日だったから、2年3ヶ月ぶりだ。その間、宏美女流二段はまったく変わっていないのに、私のアタマはさらに薄毛が進行し、相掛かりの▲5八玉みたいな薄さになってしまった。
宏美女流二段、いつもの平安顔である。みんなが宏美女流二段のような顔だったら、世界で戦争なんて起きないのにと思う。
「これ、半年遅れの誕生日プレゼントです」
「あらー」
と宏美女流二段がよろこぶ。「プレゼントの理由がなかったから(誕生日プレゼントにした)?」
「いやまあまあ、先生は(女流順位戦で)降級点も取っちゃったし」
すると誰かが「ハッキリ言いますね」と言った。
でも宏美女流二段は
「でもはっきり言ってもらったほうが(いいです)……。来年は降級点を消しますから」
と力強い言葉であった。
とりあえず3面指しで、対局開始となった。
(つづく)
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咲緒里穴熊と戦う(後編)

2025-07-21 23:19:01 | LPSA麹町サロンin DIS

第8図以下の指し手。△7五歩▲6七馬△同馬▲7八銀△5四歩▲7五竜△8四角▲6七銀△7五角▲1一竜△8六角(第9図)

島井咲緒里女流二段に終始気持ちよく攻められたものの、なんとか逃げ切れたかと思ったのも束の間、▲5五飛成と桂を取る刹那、嫌な順が見えたのだが、修正が利かなかった。
第8図では△7八馬▲7六玉△7七成桂▲同桂に△3四馬(参考C図)と、下手の馬を抜く手があった。

以下▲4五銀なら△同馬▲同竜△5八角で上手勝ち。ほかの変化も、すべて下手が悪い。
私は息を殺して島井女流二段の次の手を待つ。すると次の手は、意外な△7五歩だった。
島井女流二段は上記の順にまだ気づいていないが、指しているうちに馬を抜く手に気付く。よって私は▲6七馬と成桂を取った。島井女流二段は、大事な馬をなぜ捨てるのか、という雰囲気だったが、こちらもやむにやまれぬ事情があったのだ。
△5四歩に▲同竜は△4五角がある。これにA▲6七銀は△5四角の王手竜。B▲同竜は△同馬で、次の△5四馬や△7九金、△4八飛を見られて下手悪い。むろん対局中はここまで読んでいなかったが、本能的に毒饅頭の香りをかぎとり、私は▲7五竜と逃げた。
島井女流二段の△8四角に、私は▲6七銀と馬を除去する。「やっぱりね…」と、馬を取られたことに落胆したふうだった。
私は田楽刺しを狙って▲1一竜。と、島井女流二段が△8六角と捨ててきた。

第9図以下の指し手。▲7八銀打△9五角▲8六歩△7二金寄▲5三角△6五歩▲6四桂△6二角▲7二桂成△5三角▲6三金△7二金▲同金△7一歩▲8二金△同玉(第10図)

△8六角を▲同玉は、△8八飛▲8七歩△8五金▲同玉△8七飛成で、下手は生きた心地がしない。
だから▲7八銀打と1枚入れたのだが、それにしても△8六角には大いに感銘を受けた。いや、島井女流二段の将棋は本当に面白い。この手を味わっただけで、きょう来た甲斐があった。
本譜に戻り、△6五歩は▲6四桂を生じさせて疑問手っぽいが、指導時間も切羽詰まってきたので、無理に決着を付けにいっているのだ。まさか島井女流二段と2時間あっても足らないとは……。
▲7二桂成△5三角に▲7一成桂でもいいと思ったが、▲6三金と張り付いた。
以下△8二同玉となり、次の手は。

第10図以下の指し手。▲6三金△7四飛▲7六歩△5九角(指し掛け図)
まで、136手で指し掛け。

左の女性が、指導対局が終わり、もう帰った。
右の男性氏は一手バッタリがあり投了したが、島井女流二段が待ってくれ、改めて男性氏が考えている。
第10図では、▲7六香が第一感だった。△7五桂なら▲同香△同角▲7四桂△7三玉▲7一竜、あるいは▲6一竜で寄り。
ほかには▲6三銀もある。これは▲7一竜△同角▲7二金以下の詰めろだが、それなら▲6三金のほうが角取りにもなって一石二鳥だと思った。
それで▲6三金と打ったのだが、△7四飛が妙防だった。▲6三銀ならなかった手で、ここで▲5三金は、角は取れても玉から遠ざかるから指せない。
そこで私は△7五桂を防いで▲7六歩と突いたのだが、いかにも覇気のない手。島井女流二段に△5九角と打たれて、訳が分からなくなってしまった。
△5九角には▲5三金と取りたいが、△9五桂▲9八玉△8六角成▲8七歩△5三馬は、訳が分からない。
ここで時刻は午後8時半となり、指し掛けとなってしまった。

決着がつかなかったのは残念だが、それなりに楽しめた。ただ私の棋力が錆びついていて、もうちょっと実戦を積まねばダメだと思った。
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咲緒里穴熊と戦う(中編)

2025-07-20 19:41:15 | LPSA麹町サロンin DIS

第3図以下の指し手。▲7五同歩△5四銀▲4四歩△6五銀▲8八角△7五飛▲6九玉△5六銀▲同銀(第4図)

左の女性には島井咲緒里女流二段が手取り足取り教えているが、これではマンツーマンの講習になってしまう。
むかしある棋士の教室に、駒の動かし方も知らない子供が、親に連れられて来室した。親は子供に将棋を勉強させる気満々だったが、子供は将棋を指したくないから駒で遊んだりして、まったく指導対局にならなかった。
同じ空間で指導対局を受けていた私は迷惑を被ったから、私はそのことをブログに書き、「せめて駒の動かし方を覚えてから来い!!」と苦言を呈した。
ところが後日その記事をその親が読んで、私に抗議したとかしないとかの話になった。こちらはいつでも受けて立つつもりだったが、私のほうが教室に足を運ばなくなってしまった。
いずれにしてもこの類の話で、私は子供の親を怒らせたことが何度もある。だから当ブログを快く思っていない読者はかなり多い。
さて今回の件だが、それなら右の男性氏も同じ四枚落ちではないか、教える女流棋士は大変ではないか? ともいえる。が、内情は違う。男性氏は島井女流二段が指せば、その意味を汲み取り、自力で指し手を考えられる。だから講義の時間は要らないのだ。
ところが女性の場合、上手の指す意味も分からないし、自分がどう指していいのかも分からない。だからその説明をするために、時間を食ってしまうのだ。
これは、きょうは2局は指せないな、と思った。
さて局面、私は▲4四歩と撮りたい。A△同銀なら▲4五歩で銀得になるが、B△同角▲同角△同銀▲2四飛には△7六歩の取り込みが大きく、指し切れなかった。
島井女流二段は△5四銀から△6五銀とぶつけてくる。私は▲8八角と逃げ、島井女流二段は3手後に△5六銀と銀を取ったが、ここは△7六銀とこちら側に摺りこむ手もあったと思う。以下▲7八金なら△8五飛だ。
このあたりで、4人目の生徒が来た。なんと、LPSAファン氏だった。LPSAファン氏は医師で、文字通り「先生」である。
「きょうはお仕事の帰りですか?」
と問うと、
「清麗戦の解説会に行ってきました」
と、半分上気した顔で答えてくれた。「私、タイトル戦の解説会で現地に行ったのは初めてなんですよ」
ああー、それは熱心なことである。そうか、きょうは都内での対局だった。
そういえば私もむかし、タイトル戦に出場した室谷由紀女流三段を応援すべく、「陣屋」まで足を運んだ。室谷女流三段が独身だったあの頃がなつかしい。
LPSAファン氏、仕事も休日も充実している。地下でもがいている私とは大違いである。

第4図以下の指し手。△4六銀▲4五桂△5五歩▲同銀△同銀▲3三桂不成△5七歩▲同金直△5六歩▲5八金引△3三桂▲7六歩△同飛▲5五角△4五桂▲7七歩△7五飛▲6六角△6五飛(第5図)

第4図で島井女流二段は△4六銀と置いた。桂取りの△3七銀成や△5七歩を見て、味わい深い。
私は目をつぶって▲4五桂と跳ねた。ここで△5五歩が、島井女流二段のもうひとつの狙いだった。
以下▲3三桂不成△5六歩と進むと、5七の地点がもろすぎて下手指し切れない。
そこで▲5五同銀△同銀と相手の銀を退却させてから▲3三桂不成とした。これもやがては二枚換えになるが、まだこちらの順のほうがマシである。
ただ本譜の順も5六に拠点を作られ、△3三桂と桂を払われた形は、将来の△4五桂を見て、上手が面白い。下手渾身の銀捨ても、大同小異だったようだ。
私は▲7六歩と飛車の横利きを外し、銀を取る。これで角桂交換の駒得になったが、何か見落としをしている気もした。
ここで島井女流二段は△4五桂。当然の反撃に見えたが、緩手だった。
ここは露骨に△5七桂(参考B図)と打ち、▲5九玉は△7九飛成なので▲同金直と取るしかないが、△同歩成▲同金△4五桂で、上手勝勢だった。ただまあ、この「緩み」が指導対局の特徴である。

本譜は▲7七歩と脅威を減殺し、小康を得た。

第5図以下の指し手。▲5二角△6二金引▲3四角成△3七桂成▲2四飛△6六飛▲同歩△4六角▲2一飛成△5七銀▲5九歩△5八銀成▲同歩(第6図)

▲5二角は、金取りというより、馬を作って自陣に利かす意味。
島井女流二段は△3七桂成。ここ△6六飛なら、▲4五馬と桂を外すつもりだった。
とはいえ△4六角から△5七銀も厳しい。私は▲5九歩と受けたが受けになっておらず、△6八銀成▲同金△5七歩成とすれば、上手が勝勢だった。
だから私の▲5九歩では、まだ▲5六馬とするべきだった。
それにしても、島井女流二段はさして考えず本能で指しているだけなのに、勝ち筋がいくつも出てくる。これがプロの技量というべきか。

第6図以下の指し手。△6七桂▲7八玉△7九桂成▲同玉△6七金▲5七桂△同歩成▲同歩△6八金▲同玉△4七成桂▲5一飛(第7図)

島井女流二段は△6七桂。これがいきなり△7九金までの詰めろで、驚いた私は▲7八玉と立った。しかしここは強く▲同金と取り、△7九金▲5九玉△4七歩▲4九歩で、次に▲5六馬を楽しみにして下手も指せた。
本譜は△7九桂成が名手。よくこういう手を思いつくものだと、心底感心した。
これに▲6七玉は△6九金が嫌らしいので▲同玉と取った。以下△6七金に▲5七桂は、綱渡りの受けだ。
△4七成桂に、もはや受けてもいられず、▲5一飛。「怒ってきましたね」と島井女流二段が言った。

第7図以下の指し手。△5五桂▲7八玉△5七成桂▲8六歩△6七成桂▲8七玉△6八角成▲5五飛成(第8図)

△5五桂が妙手でシビれた。ただここは、平凡に△5八金もあったかもしれない。
私は▲7八玉と早逃げしたが、玉の周りに金銀が1枚もなく、心許ない。
△6八角成に、私は(やばい)と思いつつ▲5五飛成。
私の読み間違いならいいと思ったが、そうではなかった。

(つづく)
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