一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

G.W.九州旅行第4日・あの日の一局

2010-05-04 04:10:44 | 旅行記・G.W.編
明けて3日。女子大生の団体と一言も交わせず、どこか欲求不満が残った前日のユースホステルだったが、そううまくいかないのが人生である。
この女子大生らは伊集院駅から鹿児島中央駅へ向かうとのことで、伊集院へはペアレントさんの息子氏が、クルマで送迎してくれることになった。
ちなみに私の行動予定は、日置→鹿児島中央→(高速バス)熊本→(高速バス)福岡、である。九州入りしてから使用してきた「SUNQパス」もきょうが最後。4日は「博多どんたく港まつり」を楽しむので、今夜のうちに福岡入りせねばならない。
クルマには私も同乗できたのだが、私は日置バス停から加世田方面に戻り、伊作で乗り換えて鹿児島中央に向かうことにした。夜はともかく、昼の行程は他人に左右されたくない。
午前8時09分、日置で乗車し、27分、伊作下車。おりよく39分に接続のバスがあったので、その間に近くのコンビニで弁当を買う。これが朝食となる。吹上浜ユースホステルは、食事がつかないのだ。
定刻を3分過ぎた8時42分、日置乗車。定刻を1分遅れた9時43分、鹿児島中央駅着。熊本への高速バスは1日6本出ているが、次のバスは11時ちょうどである。時間があるので、バスセンターに行き予約だけ済ませて、駅前へ戻る。
広場では「かごしま風トピア」と題して、イベントをやっていた。きょうは「焼酎フェスティバル2010」だ。鹿児島県を中心にした焼酎が販売されていて、試飲もできる。LPSAの面々がいたら、目を輝かせていることだろう。まったく、なんでLPSAはあんなに飲んべえが多いのかと思う。まあ彼女らと酒席をともにすることはないので、どうでもいいが。……? また連中の天の声が聞こえてきたが、無視する。
きょうもいい天気で、きのうより暑い。駅に隣接しているアミュプラザ鹿児島へ入ってみる。地下へ降りると、「維新館」と称する焼酎(日本酒)の専門店が開店したいた。広場でのイベントは、その告知を兼ねていたらしい。いろいろな焼酎が並んでいるが、私は興味はない。
惣菜売り場では、手ごろな弁当を売っている。「鯖照焼弁当」462円。ご飯はアツアツの各種おこわから、好きなものを選べる。これは安い。昨今の駅弁事情は知らないが、私が駅弁を買わなくなって久しい。それは値段が高いからである。JRなどの鉄道会社は、もっと企業努力をすべきだ。
11時ちょうど、高速バスは鹿児島中央駅を発車。これから熊本まで、3時間半の長旅だ。ゴールデンウイークの昼間に長時間の移動はもったいないが、旅にはオフの時間も必要だと考える。
このバスの運転手氏は口調がキビキビしていて、とても好感が持てた。気分がいいまま、午後2時34分、定刻を4分遅れて、バスは熊本交通センターに到着した。
センター前で、「郷土の太鼓フェスティバル」という催しをやっている。いまはゴールデンウイークの真っ只中、どこへ行ってもイベントをやっている。しばらく聞き入ったあと、隣接するデパート「くまもと阪神」に入る。熊本なのに、なぜ「阪神」なのか。まあいい。
熊本だけあって、馬刺しを売っている。日本人は馬の肉を食べてしまうが、「馬刺し」以外の言葉を聞かない。馬は刺身しか食べ方がないのだろうか。
私は午年生まれなので、食べると共食いになってしまう。少し涼んだので、表へ出る。
とりあえず熊本城へ向かう。何年かまえ熊本城へ行ったとき、女性スタッフの熊本城無料ガイドというのをやっていた。天守閣へ向かうまでの間、城の横顔をガイドしてくれるものだ。シーズンオフということもあって、その時間に参加したのは私を含めて2人だけだったが、美人のスタッフさんは丁寧に城の解説をしてくれ、とても有意義な時間だった。
ひとつ残念だったのはスタッフさんを写真に撮らなかったことで、ダメもとで一声掛けてみればよかったと思う。
私はひねくれているので、今回は熊本城へは入らない。私の目的は、その先にある「旧細川刑部邸」である。このブログの読者には言うまでもないが、第3期マイナビ女子オープンの第1局が行われた場所である。細川刑部については、あらためて説明するまでもないだろう。省略する。
入場料240円(SUNQパスがあるので、団体料金が適用される)を払って、入る。石庭の波紋が美しい。
刑部邸内はいままでの観光でもよく見た和風建築で、ただただ歴史の重みを感じるだけだ。「御客間(おんきゃくま)」が拙宅の8畳間にそっくりだ。床の間右の襖が、我が家では上下2つに仕切られ押入れになっているが、左右に廊下があるところも同じである。思わず写真を撮ってしまう(フラッシュを焚かなければ撮影は構わない)。
迷路のようになっている廊下を1周して、玄関を出る。あれ…? 対局はどこで行われたのだろう。庭の手入れをしている、かわいらしいお嬢さんに聞く。
「それは、『御客間』です」
「オンキャクマ? あ、ああ、あの8畳間の?」
「ええ、掛け軸は絵でしたか?」
「あの、これでしょうか」
私はデジカメの画像を再生する。
「あ…そうです…そうですね」
「あ、ここがそうなんですか!! あの、当時ここで将棋のタイトル戦を指したとかいう記事みたいなものは飾ってないんでしょうか」
「それはないですねえ。そのときは看板とか立てましたけど」
「ああ…あの、もう一度見てきていいですか」
「どうぞ」
というわけで、再度「御客間」…いや、「対局室」を見に行く。この対局が行われた日は、刑部邸も「営業中」だったので、一般の旅行客も対局を一瞥したことになる。将棋ファンが集う公開対局とは違うので、対局者も指しづらかったと想像するが、「女流将棋」を世間にアピールした功績は大きい。
私は廊下の隅で正座をして、矢内理絵子女王と甲斐智美女流二段の対局姿を想起する。
と、年配のおばさまが隣に正座した。
「天井が高いわねえ…」
とかつぶやいている。私がじっとしているので、この部屋は何かがあると錯覚したのだろう。
「ここは先月、女性の将棋のタイトル戦が行われたところなんです」
私は種明かしをしてあげる(正しくは「先々月」だったが)。
しばらくすると、今度は若い女性が左に座る。私はまた同じ説明をする。なんでヒトは他人の行動に同調するのだろう。
刑部邸を出て、城の周りをぶらぶらする。「熊本大神社」という大層な名前の神社がある。お賽銭を百円投じるが、社務所には誰もいない。
さらに進んでいくと、こんどは「熊本稲荷神社」という幟が見えた。こちらは神社も赤を基調としていて、ハデハデだ。巫女さんもいて、規模も大きい。
石段を上ると、タテヨコ1m90㎝くらいの注連縄の枠が立てられている。「知恵の輪くぐり」と銘打たれていて、「1回目は左、2回目は右、3回目は左」と張り紙がしてある。そうすれば知恵がつくのだろうが、40をはるかに過ぎたオッサンが一人でこれはできない。一人旅の虚しさを感じる。
ご朱印をいただく。三百円を納めると、巫女さんが「これをどうぞ」と指をさす。その先には「平成二十二年度 開運の御宝」というのがあった。買えば百円である。これを無料でくださるというのだ。私はご朱印を集めだして15年以上になるが、こんなサービスは初めてである。何だか知らないが、さすがは火の国熊本である。
御礼の意味もこめて、おみくじを買うことにする。おみくじもいろいろ種類があって迷ったが、「恋みくじ」にした。箱の中から、どれを選ぶか。プロ野球のドラフト会議のような緊張感だ。
おみくじを結ぶ格子状の板には、「大吉、吉、中吉、小吉、末吉、凶」と書かれていて、この順番に縁起がいいのだという。
私は「吉」だった。上から2つめ、これはめでたい。中身を読む。恋みくじだけに、「恋の歌」が歌われている。

「君思う かなわぬ恋と 思えども 祈りに変えて 諦めましょう」

ええ? なんだかあまりいい歌ではないと思う。
下を見ると、「星座」「血液型」「年齢差」「十二支」など、斬新なタイトルが並んでいる。しかし肝心の「結婚」が、「辛抱して素敵な相手の出現を待ちなさい」。「学問」が「真剣にもう一度自分の将来について考えることが先決」って…これ本当に「吉」なのか?
おおそうだ、おみくじの中央にバーンと書かれていた、「愛情運」を読まなければならない。これがメインである。
「夜も日もなく恋い焦がれても高嶺の花です しかし恨んではいけません 思い切って諦めなさい この切なく苦しい思いを祈る心に変えて神様におすがりしなさい 必ず相応しいよい人に廻り逢えます」
な…なんだよこれ! そうかこれ、「恋の歌」の意味か! しかしこれ、ちっとも「吉」ではないではないか!!
「おみくじは神社に納めず、身の回りに置いて戒めにするのもよい」と書かれてあったので、これを財布に閉まって、私は神社を出た。
アーケード街に出て、夕食である。「餃子の王将」があって、テレビで見たようなオッチャンが呼び込みをしていたが、見送る。以前「リンガーハット」で食べたちゃんぽんが美味しかったが、そこへ行く前に「やよい軒」があったので、そこへ入ってしまう。どうしてチェーン店しか目に入らないのだろう。
店内の自動券売機では、親子の4人家族が、どれを選ぶか迷っている。バカが。どうして店頭にあるメニューを見てから入らないんだ。こういう手順前後をする手合いがいると、後が閊える。
私はしょうが焼き定食を注文。熊本まで来て、しょうが焼き定食。まあいい。定食の味はまずますだったが、肉がもう一切れほしかった。キャベツにつけるマヨネーズは、あんなごってり出さなくてもいいと思う。
さて、後は福岡に向かうだけである。ところでアーケード街をぶらぶらして思ったのだが、熊本や鹿児島の若い女性は、ファッションが派手だ。それは男から見て目の保養になるが、ちょっとゴテゴテしている感もある。何かを「付け足す」のではなく、「さし引く」感じがいいのではなかろうか。
私は船戸陽子女流二段のファッションセンスを高く買っているが、彼女にはそれがある。
熊本交通センターに戻って、午後6時30分発のスーパーノンストップ「ひのくに号」に乗車する。天神バスセンターに着くのは8時20分予定だったが、ゴールデンウイークの影響で高速道路が大幅に渋滞し、天神に着いたのは、定刻より61分遅れの、9時21分だった。
コメント (9)
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