きょう7月26日は、大山康晴十五世名人の命日である。1992年の没だから、もう33年も経ってしまった。大山十五世名人の没後に生まれた棋士も多くなっている。
1992年7月26日のころの私は、新卒で入社した会社をリストラされ、複雑な気持ちのまま、北海道を旅行していた。その日は旭川におり、私は自宅に定時連絡を入れた。オヤジと二言三言交わしたあと、オヤジが散文的に「あと、大山が死んだ」と言った。
当時はインターネットも普及しておらず、情報はもっぱら新聞やテレビだった。
私は、将棋界のひとつの歴史が終わったと思った。
さて、今年も「大山の名局」を紹介したい。もっとも現在の将棋界は、記譜の転載をほぼ禁止している。
そこで、許される範囲内で紹介しようと思う。
今回紹介するのは、1990年12月21日に指された、第49期A級順位戦(主催:毎日新聞社、日本将棋連盟)・大山康晴十五世名人VS南芳一棋王戦である。
ここまで大山十五世名人は5戦全敗。真部一男八段と並んで最下位におり、現役人生絶体絶命の状態にあった。
しかも相手はタイトル保持者の南棋王で、対戦成績はここまで大山十五世名人の4勝11敗。この年の春に行われた第15期棋王戦でもふたりはまみえていたが、南棋王の3連勝で終わっていた。大山十五世名人は5連敗継続中で、どこから見ても旗色が悪かった。
将棋は後手大山十五世名人の四間飛車。南棋王は得意の四枚美濃に組んだ。大山十五世名人は△7一玉形で注意深く駒組を進め、作戦勝ちになる。そして銀取りに桂を跳ね、端攻めを絡めて大山ペースになった。このあたりの記譜、というか全譜を紹介したいのだが、叶わない。ネットで確認していただくよりない。
大山十五世名人は着実に優位を拡げ、ついに勝勢となった。
では、その場面をご覧いただこう。

図以下の指し手。▲7七桂△同角成▲同金△9六桂▲8七玉△7八銀▲9六玉△8五金打 まで、大山十五世名人の勝ち。
角の王手に▲7七桂で、こう跳ねたから先手玉に即詰みが生じてしまった。もっとも▲7七歩だと、△8六歩くらいで負けなのだろう。後手玉は詰まない。
本譜はバッサリと△同角成とし、取った桂で王手。そして▲8七玉に、手筋の△7八銀が妙手だった。以下は私にも分かる即詰みとなった。
勝った大山十五世名人は、快勝でほっと一息。そして7回戦の内藤國雄九段、8回戦の青野照市八段と、いずれも苦戦の将棋をひっくり返し、A級残留を決めた。そして病を得ての満身創痍の中、翌期のプレーオフ進出へと繋がっていくのである。
1992年7月26日のころの私は、新卒で入社した会社をリストラされ、複雑な気持ちのまま、北海道を旅行していた。その日は旭川におり、私は自宅に定時連絡を入れた。オヤジと二言三言交わしたあと、オヤジが散文的に「あと、大山が死んだ」と言った。
当時はインターネットも普及しておらず、情報はもっぱら新聞やテレビだった。
私は、将棋界のひとつの歴史が終わったと思った。
さて、今年も「大山の名局」を紹介したい。もっとも現在の将棋界は、記譜の転載をほぼ禁止している。
そこで、許される範囲内で紹介しようと思う。
今回紹介するのは、1990年12月21日に指された、第49期A級順位戦(主催:毎日新聞社、日本将棋連盟)・大山康晴十五世名人VS南芳一棋王戦である。
ここまで大山十五世名人は5戦全敗。真部一男八段と並んで最下位におり、現役人生絶体絶命の状態にあった。
しかも相手はタイトル保持者の南棋王で、対戦成績はここまで大山十五世名人の4勝11敗。この年の春に行われた第15期棋王戦でもふたりはまみえていたが、南棋王の3連勝で終わっていた。大山十五世名人は5連敗継続中で、どこから見ても旗色が悪かった。
将棋は後手大山十五世名人の四間飛車。南棋王は得意の四枚美濃に組んだ。大山十五世名人は△7一玉形で注意深く駒組を進め、作戦勝ちになる。そして銀取りに桂を跳ね、端攻めを絡めて大山ペースになった。このあたりの記譜、というか全譜を紹介したいのだが、叶わない。ネットで確認していただくよりない。
大山十五世名人は着実に優位を拡げ、ついに勝勢となった。
では、その場面をご覧いただこう。

図以下の指し手。▲7七桂△同角成▲同金△9六桂▲8七玉△7八銀▲9六玉△8五金打 まで、大山十五世名人の勝ち。
角の王手に▲7七桂で、こう跳ねたから先手玉に即詰みが生じてしまった。もっとも▲7七歩だと、△8六歩くらいで負けなのだろう。後手玉は詰まない。
本譜はバッサリと△同角成とし、取った桂で王手。そして▲8七玉に、手筋の△7八銀が妙手だった。以下は私にも分かる即詰みとなった。
勝った大山十五世名人は、快勝でほっと一息。そして7回戦の内藤國雄九段、8回戦の青野照市八段と、いずれも苦戦の将棋をひっくり返し、A級残留を決めた。そして病を得ての満身創痍の中、翌期のプレーオフ進出へと繋がっていくのである。