一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第49回将棋大賞の予想

2022-03-31 22:17:02 | 将棋雑記
本日3月31日で2021年度の公式戦も終了。あす4月1日は第49回将棋大賞が発表されるので、今日は予想を書いておこう。
まず、記録5部門は確定している。

最多対局賞…藤井聡太竜王(2回目)64局
最多勝利賞…藤井聡太竜王(4回目)52勝
勝率一位賞…伊藤匠五段(初)0.818(45勝10敗)
連勝賞…藤井聡太竜王(2回目)19連勝(2020.10.19~2021.04.16)(4月1日註:渡辺和史五段に「隠れ3連勝」があり、17連勝+3連勝で20連勝していたことが分かった。確認不足をお詫びします)
女流最多対局賞…伊藤沙恵女流名人(4回目)53局

最多対局賞と最多勝利賞は藤井竜王。五冠を獲ったんだから、当然そうなるであろう。
勝率一位賞は、最終戦に勝った伊藤五段が逆転で受賞した。伊藤五段は藤井竜王の陰に隠れて目立たないが、本来ならもっと話題になっている。
連勝賞は藤井竜王。前年度は17連勝継続中で終えたため、連勝賞は14連勝の澤田真吾七段が受賞した。藤井竜王は今年度2連勝を上乗せし、19連勝で受賞となった。
続いて各賞の予想。

最優秀棋士賞…藤井聡太竜王
特別賞…藤井聡太竜王
優秀棋士賞…渡辺明名人
敢闘賞…菅井竜也八段
新人賞…伊藤匠五段
最優秀女流棋士賞…里見香奈女流四冠
優秀女流棋士賞…西山朋佳女流二冠
東京将棋記者会賞…田中寅彦九段
升田幸三賞…相矢倉模様の後手△5二玉型
升田幸三特別賞…第71期王将戦第1局41手目 藤井聡太竜王VS渡辺明王将
名局賞…第34期竜王戦第3局 藤井聡太三冠VS豊島将之竜王
女流名局賞…第3期清麗戦五番勝負 里見香奈清麗VS加藤桃子女流三段

最優秀棋士の藤井竜王は文句なし。
渡辺名人は、対藤井戦は散々だったが名人を防衛し、棋王は10連覇を飾った。こちらも優秀棋士賞で異論はないだろう。
敢闘賞は、朝日オープンと銀河戦で優勝した菅井八段にしておく。藤井竜王が参加している棋戦で2つも優勝したのは価値がある。
なお特別賞として、藤井竜王を挙げておく。本来最優秀棋士賞と特別賞は同一人物が取らないが、今年度の藤井竜王を最優秀棋士だけで済ませてしまうのは気が引ける。何といっても「19歳五冠」である。何かもうひとつ、賞を差し上げたい。
新人賞は伊藤五段。新人王戦優勝、順位戦昇級、勝率第一位賞受賞と、文句なし。
最優秀女流棋士賞は、獲ったり取られたりが激しかったが、里見女流四冠とした。西山女流二冠が全棋戦に参戦してきた中で、四冠を堅持したのは賞賛に値する。さすがに元奨励会三段である。
優秀女流棋士賞は、初代白玲に輝いた西山女流二冠とした。加藤桃子清麗の線もあるが、「白玲」の重みを重視した。
東京将棋記者会賞は毎年選出理由がよく分からないが、今年度で引退が決まった田中寅彦九段としておく。
升田幸三賞は、矢倉模様での△5二玉型を挙げておく。AI発だと思うが、ちょっと風車にも似た形で、これで先手の攻めを受け切ろうという発想がすごい。藤井竜王の中住まいに弾力性があるが、それにあやかっているのだろうか。
升田幸三特別賞は、第71期王将戦第3局の41手目、藤井竜王が懐を拡げた手を挙げる。ここでは後手がその地点に歩を打ち捨てたいくらいで、そこを自らこじ開けたのがすごい。天才の発想は違う、と唸らされた一手。
女流名局賞は第3期清麗戦の第5局を挙げたかったが、いささか一方的だった。そこで、五番勝負トータルで挙げたい。五番勝負は加藤女流三段がいきなり2連勝、そこから連敗して追いつかれ、最終局で振り切った展開も面白かった。

以上、当たるか当たらないか分からないが、どうなるか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

前竜王の降級②

2022-03-30 23:14:26 | 将棋雑記
2年前の3月17日に、当ブログに「前竜王の降級」をアップしたが、今日はその続編である。

第34期竜王戦で藤井聡太三冠に竜王を獲られた豊島将之九段は、第35期ランキング戦1組に参加した。
1回戦の相手は竜王11期の渡辺明名人。1組はむろん強豪揃いだが、順位戦C級の棋士が入っていたりして、当たりによっては緩いときがある。だが豊島九段はよりによって、最強の敵に当たってしまったわけだ。
将棋は角換わりから相早繰り銀という意外に見ない戦型となったが、私にはどこが急所だかさっぱり分からず、ただ棋譜を追っているだけだった。
107手目、渡辺名人が▲7三同歩成(投了図)と金を取ったところで豊島九段が投了した。

この局面、双方が居玉という珍しさ。双方居玉での終局は、1990年12月9日の第11回JT杯将棋日本シリーズ決勝(参考A図)、2020年10月9日・10日の第33期竜王戦第1局(参考B図)などが浮かぶが、本局のように100手越えで双方居玉は相当珍しい。


ランキング戦は初戦が大事で、勝てばそのクラスは残留。しかし負けると、1~3組は次局が早くも降級の一番となってしまう。
豊島九段は出場者決定戦1回戦で稲葉陽八段と当たった。将棋は相掛かりからまた訳の分からない戦いとなり、それが延々と続く。結局、195手までで稲葉八段が勝利したのだった。
かくして前竜王が2組降級となってしまった。

第4期 羽生善治棋王 ●脇謙二七段→●南芳一王将→●加藤一二三九段(残留決定戦)
第27期 渡辺明二冠 ●屋敷伸之九段→●藤井猛九段
第28期 森内俊之九段 ●佐藤天彦七段→●藤井猛九段
第33期 広瀬章人八段 ●佐藤天彦九段→●阿部健治郎七段
第35期 豊島将之九段 ●渡辺明名人→●稲葉陽八段

「前竜王」17名のうち、「即降級」は上記5名。そのうち4名が名人経験者というのがすごい。
まあ、竜王戦は2組でも、3連勝で本戦トーナメントに進出できる。竜王への道はそんなに遠くなっていないのだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第2期女流順位戦A級、B級5回戦の結果

2022-03-29 23:16:42 | 女流棋戦
第2期女流順位戦、A級とB級も再開。5回戦が28日に行われた。では、結果を記してみよう。なお、○数字は開幕前の順位、カッコ内は5回戦の対戦相手である。

【A級】
■5勝0敗
②里見香奈女流四冠(○加藤桃)
■3勝2敗
③加藤圭女流二段(●中井)
④伊藤沙恵女流名人(○渡部)
⑥加藤桃子清麗(●里見)
⑦中井広恵女流六段(○加藤圭)
■2勝2敗
⑩山根ことみ女流二段(石本・延期)
■2勝3敗
⑧鈴木環那女流三段(○甲斐)
⑨甲斐智美女流五段(●鈴木)
■1勝3敗
⑤石本さくら女流二段(山根・延期)
■1勝4敗
①渡部愛女流三段(●伊藤)

里見女流四冠VS加藤桃清麗の大一番は、里見女流四冠の勝ち。この勝ちは大きく、残り4局を3勝1敗で挑戦、2勝2敗でもプレーオフ進出が確約された。これはもう、里見女流四冠の挑戦が決まったと言っていいだろう。
伊藤女流名人は渡部女流三段に勝ち、白星先行。しかし里見女流四冠戦を初戦に済ませてしまっているのが痛い。
中井女流六段は加藤圭女流二段に勝ち、やはり白星先行。7回戦の里見女流四冠戦で勝てば面白くなるが、どうなるか。

【B級】
■4勝1敗
⑤上田初美女流四段(●香川)
■3勝2敗
①千葉涼子女流四段(●北村)
②中村真梨花女流三段(○塚田)
④香川愛生女流四段(○上田)
⑥岩根忍女流三段(○小高)
⑦北村桂香女流初段(○千葉)
⑧塚田恵梨花女流初段(●中村)
■1勝4敗
③伊奈川愛菓女流二段(○武富)
⑨武富礼衣女流初段(●伊奈川)
⑩小高佐季子女流初段(●岩根)

香川女流四段VS上田女流四段戦は、タイトル戦並みの黄金カード。香川女流四段が勝って意地を見せた。前回の記事で、「上田女流四段のA級昇級はキマリ」と書いたが、こういう展開になるから恐ろしい。でも上田女流四段の優位は変わらない。
3勝組の中では、香川女流四段(の意地)に期待したい。将棋ファンはYouTubeでの活躍より、盤上での活躍を見たいのだ。
4敗の伊奈川女流二段は初日を出しほっと一息。伊奈川女流二段は順位がいいので、B級残留は十分あり得る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川上七段の成績はどうなっているのか

2022-03-28 23:22:36 | 男性棋士
「入館証明書」を、今度こそ本当に紛失してしまった……。
筋金入りのバカだ、私は。

   ◇

当ブログで注目している川上猛七段は今年度、フリークラス9年目だった。では成績はどうだったのか。
結果を書くと、5勝10敗だった。勝敗を羅列すると、「●●●○●●●●●○○●○●○」である。
なかなかの惨敗ぶりだが、フリークラスを脱出するには、まとめて白星を得るのがよい。となれば前半の1勝8敗は無視してよい。後半の4勝2敗が重要なのである。
しかもこの内訳を記すと、

12月8日 第35期竜王戦ランキング戦5組1回戦 ○ 先崎学九段
1月12日 第48期棋王戦予選1回戦 ○ 塚田泰明九段
1月28日 第72期王将戦一次予選1回戦 ● 田中悠一五段
2月4日 第35期竜王戦ランキング戦5組2回戦 ○日浦市郎八段
2月9日 第48期棋王戦予選2回戦 ● 飯塚祐紀七段
3月24日 第35期竜王戦ランキング戦5組3回戦 ○ 森下卓九段

で、4勝中3勝が竜王戦である。
フリークラスで10年を経過した場合、6組は即引退、5組は2期猶予だが、4組在籍の場合は降級しない限り、竜王戦参加が持続できる。
となれば、川上七段は次局に勝てば4組昇級となり、竜王戦は当分安泰となる。準決勝の相手は南芳一九段だが、大昔ならともかく、現在の南九段なら勝てない相手ではない。
そしてフリークラス脱出に目を転じると、例によって「いい所取り20勝10敗」「年度18勝12敗」などがあるが、「いい所取り」だと、「あと16勝8敗」が必要となる。
これもなかなかに厳しいのだが、ここで隠れ勝敗がある。来期のNHK杯予選である。
ないとは思うが、もし3連勝で予選を抜けていれば、「あと13勝8敗」と、だいぶハードルが低くなる。
いずれにしても、川上七段は来年度がフリークラス10年目。もう、あと1年で結果を出さねばならない。
奨励会三段リーグを1期で抜けた川上七段は天才の部類に入ると思う。フリークラスで指す格ではないのである。熊坂学五段や中尾敏之六段がフリークラス10年目で大爆発したように、人間、追い込まれれば驚異の力を発揮するものである。
是非とも奇跡を起こしてほしい。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第2期女流順位戦D級4回戦の結果

2022-03-27 02:05:23 | 女流棋戦
25日、第2期女流順位戦D級も久々に行われた。では、結果を記しておこう。
なお、○数字は開幕前の順位、氏名のあとの※はLPSA所属、カッコ内の名前は4回戦の相手である。

■4勝0敗
⑧加藤結李愛女流初段(○斎田)
■3勝1敗
②中村桃子女流二段(○山口恵)
⑤山口恵梨子女流二段(●中村)
⑦高浜愛子女流1級(○島井)
⑳水町みゆ女流初段(●相川)
㉔内山あや女流2級(○堀)
㉗田中沙紀女流2級※(○貞升)
■2勝2敗
④飯野愛女流初段(○渡辺)
⑨上川香織女流二段※(○山口仁)
⑪相川春香女流初段(○水町)
⑬長沢千和子女流四段(●大島)
⑭斎田晴子女流五段(●加藤)
⑮山口絵美菜女流1級(○石高)
⑰長谷川優貴女流二段(○安食)
⑲中倉宏美女流二段※(●北尾)
㉑貞升南女流二段(●田中)
㉓安食総子女流初段(●長谷川)
㉕山口稀良莉女流1級(○脇田)
㉖大島綾華女流1級(○長沢)
■1勝3敗
①堀彩乃女流1級※(●内山)
③島井咲緒里女流二段※(●高浜)
⑫脇田菜々子女流初段(●山口稀)
⑯渡辺弥生女流初段(●飯野)
⑱山口仁子梨女流2級(●上川)
㉒北尾まどか女流二段(○中倉)
■0勝4敗
⑩石高澄恵女流二段(●山口絵)
■休場
⑥井道千尋女流二段

予想というのはつくづくアテにならない。3回戦の記事で「山口恵梨子女流二段の昇級はキマリ」と書いたが、4回戦で中村女流初段に敗れた。中村女流二段は順位の差で、2位に浮上した。ただ、山口女流二段が昇級の有力候補なのは変わらない。
ほかは水町女流初段も相川女流初段に敗れ、全勝キープは斎田女流五段に勝った加藤女流初段のみとなった。加藤女流初段は勉強熱心で、日に日に強くなっているのが分かる。加藤女流初段の昇級はキマリであろう。
3勝グループは結局6名いて、田中女流2級の名があるのが眼をひく。虎視眈々と昇級を狙っている感じで、残り4名も勝てない相手ではない。是非とも昇級して、周りをアッと言わせてやってくれ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする