2日に指された第38期竜王戦ランキング戦5組準決勝・山本博志五段VS山下数毅奨励会三段戦は、山下三段が勝ち、決勝進出とともに、4組昇級を決めた。
この事態に備え、日本将棋連盟は4月、奨励会員が4組昇級を決めた場合、「次点1」を付与すると発表していた。よって山下三段は、すでに持っていた次点1と合わせ「次点2」となった。イレギュラーな「四段」としては、棋士編入試験合格に匹敵する快記録である。
だが、すぐに四段ということにはならない。すなわち、現在参加している第77回奨励会三段リーグで、「降段点を取らなければ」、そこで四段(フリークラス)となるのだ。
現在山下三段は同リーグを1勝1敗。降段点は4勝以下だから、残り16局を4勝12敗でよい。いまの山下三段なら、楽々クリアできる数字である。
……と、ふつうはここで記事が終わるのだが、当ブログは、もう少し掘り下げる。
三段リーグを5勝13敗で終えた場合、棋士になれてもフリークラスなので、面白くない。よって山下三段は全力を出し、上位2名に入って、即順位戦入りを目指すだろう。もちろん、それが正解である。
だがほかの三段陣は、複雑な思いである。今回の三段リーグは40名。昇段は2名の、相変わらず狭き門だ。だから、四段枠は多ければ多いほどよい。
つまり、山下三段が次点2で抜けてくれれば、今期の四段昇段は3名となる。しかし山下三段に上位2名に入られてしまうと、四段はいつもの2名に戻ってしまうのだ。
実はこれと同じ「悲劇」が以前もあった。2004年の第35回三段リーグで、16歳の佐藤天彦三段は12勝6敗の成績で、次点2となった。
ふつうならここで四段昇段となるところ、佐藤三段は師匠の中田功八段と相談のうえ、真の実力を付けてから堂々と四段になる、とハラを決め、四段昇段を見送ったのだった。
私だったら対局をこなしつつ(すなわち対局料をもらいながら)、フリークラス脱出を狙うところだが、天才は考えることが違うのである。
果たして佐藤三段はその2年後の2006年、第39回三段リーグで2位を取り、堂々と四段昇段となったのだった。
これはこれで、めでたく思える。だが、佐藤新四段が2004年に四段になっていたら、第39回は別の誰かが四段になっていた。そのズレは現在まで続き、誰か1名が四段になれず、退会したことになる。これは相当な悲劇だと思うのである。
だから山下三段は、爆発的に勝ってはいけない。12勝6敗くらいに終わり、3位で次点1を獲得してもいけない。その次点ですら、ほかの三段陣に与えたいからだ。だから理想をいえば、順位の下位のほうで、ひっそりと四段昇段を確定させるのがよい。
むろんこれだと、すぐに順位戦に参加できず、収入も少なくなるが、山下三段なら、すぐにフリークラスから脱出できる。それより棋士がひとり増えたほうが、将棋界の発展につながると思うのである。
山下三段に片八百長を推奨しているわけではない。わけではないが、無責任な将棋マニアとしては、いろいろなことを考えてしまうのである。
それより山下三段は、まだ竜王戦が続いている。5組決勝の高田明浩五段戦に勝てば、決勝トーナメントに出場できる。いっそのこと竜王に挑戦しちゃえばいい。そのときプロになっていれば、いきなり「七段」である。
まさに竜王ドリームではないか。
この事態に備え、日本将棋連盟は4月、奨励会員が4組昇級を決めた場合、「次点1」を付与すると発表していた。よって山下三段は、すでに持っていた次点1と合わせ「次点2」となった。イレギュラーな「四段」としては、棋士編入試験合格に匹敵する快記録である。
だが、すぐに四段ということにはならない。すなわち、現在参加している第77回奨励会三段リーグで、「降段点を取らなければ」、そこで四段(フリークラス)となるのだ。
現在山下三段は同リーグを1勝1敗。降段点は4勝以下だから、残り16局を4勝12敗でよい。いまの山下三段なら、楽々クリアできる数字である。
……と、ふつうはここで記事が終わるのだが、当ブログは、もう少し掘り下げる。
三段リーグを5勝13敗で終えた場合、棋士になれてもフリークラスなので、面白くない。よって山下三段は全力を出し、上位2名に入って、即順位戦入りを目指すだろう。もちろん、それが正解である。
だがほかの三段陣は、複雑な思いである。今回の三段リーグは40名。昇段は2名の、相変わらず狭き門だ。だから、四段枠は多ければ多いほどよい。
つまり、山下三段が次点2で抜けてくれれば、今期の四段昇段は3名となる。しかし山下三段に上位2名に入られてしまうと、四段はいつもの2名に戻ってしまうのだ。
実はこれと同じ「悲劇」が以前もあった。2004年の第35回三段リーグで、16歳の佐藤天彦三段は12勝6敗の成績で、次点2となった。
ふつうならここで四段昇段となるところ、佐藤三段は師匠の中田功八段と相談のうえ、真の実力を付けてから堂々と四段になる、とハラを決め、四段昇段を見送ったのだった。
私だったら対局をこなしつつ(すなわち対局料をもらいながら)、フリークラス脱出を狙うところだが、天才は考えることが違うのである。
果たして佐藤三段はその2年後の2006年、第39回三段リーグで2位を取り、堂々と四段昇段となったのだった。
これはこれで、めでたく思える。だが、佐藤新四段が2004年に四段になっていたら、第39回は別の誰かが四段になっていた。そのズレは現在まで続き、誰か1名が四段になれず、退会したことになる。これは相当な悲劇だと思うのである。
だから山下三段は、爆発的に勝ってはいけない。12勝6敗くらいに終わり、3位で次点1を獲得してもいけない。その次点ですら、ほかの三段陣に与えたいからだ。だから理想をいえば、順位の下位のほうで、ひっそりと四段昇段を確定させるのがよい。
むろんこれだと、すぐに順位戦に参加できず、収入も少なくなるが、山下三段なら、すぐにフリークラスから脱出できる。それより棋士がひとり増えたほうが、将棋界の発展につながると思うのである。
山下三段に片八百長を推奨しているわけではない。わけではないが、無責任な将棋マニアとしては、いろいろなことを考えてしまうのである。
それより山下三段は、まだ竜王戦が続いている。5組決勝の高田明浩五段戦に勝てば、決勝トーナメントに出場できる。いっそのこと竜王に挑戦しちゃえばいい。そのときプロになっていれば、いきなり「七段」である。
まさに竜王ドリームではないか。