一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「第4期マイナビ女子オープン予選抽選会」に行く(中編)・山口恵梨子女流初段の色紙

2010-05-21 02:01:09 | 将棋イベント
女流棋士19人が入場する。記憶を頼りに記すと、女流棋士会は、里見香奈女流名人・倉敷藤花、関根紀代子女流五段、谷川治惠女流四段、長沢千和子女流四段、斎田晴子女流四段、宇治正子女流三段、山田久美女流三段、高群佐知子女流三段、本田小百合女流二段、早水千紗女流二段、安食総子(ふさこ)女流初段、藤田綾女流初段、中村桃子女流1級、北尾まどか女流初段ら16人(あとの2人は、井道千尋女流初段と貞升南女流1級だったような気がする)。
LPSAは石橋幸緒女流四段、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段の3人だった。
LPSAの3人はいかにも少ないが、ほかの現役5人は、22日に「チャレンジカップ」を戦う。現在将棋の勉強で、抽選会に顔を出すどころではないだろう。
今年は昨年より参加女流棋士が少ない。昨年は場所が東京・将棋会館だったし、第2期マイナビ女子オープン第3局も同時に行われていたから、あっちもこっちも女流棋士だらけだった。もっとも、19日は名人戦第4局の2日目である。翌20日は兵庫県で女流王位戦第2局もあり、各所に女流棋士が散らばっているのだろう。
とは言っても、昨年はいた山口恵梨子女流初段の姿がないのはさびしい。
私の視線の先には、石橋女流四段、船戸女流二段の姿がある。船戸女流二段の姿を拝見するのは久し振りだ。障害物なしに彼女が拝めて、これはいい席に座ったと思う。しかし船戸女流二段、相変わらずセンスのいいいでたちである。その船戸女流二段と石橋女流四段は、このところ体調が悪かったが、大丈夫だろうか。お互いに菌を移しあって、風邪をぶり返したりしないだろうか。
その後方右には、松尾女流初段。髪が短くなって、本当にサッパリしている。髪が短いと、洗髪のときにラクだ。髪を洗う…。髪を洗うフナトヨーコ…。か、髪を洗う、ナカクラヒロミ。か、か、髪を洗う、ヤ、ヤマ……。
今回の色紙の狙い目は、山口女流初段、中村女流1級、本田女流二段…の順だった。現役女子高生の室谷由紀女流3級にも食指が動くが、室谷女流3級は、正式に女流棋士となったら、あらためて注目したいと思う。なおLPSA女流棋士は、色紙がいつでも手に入りそうなイメージがあるので、今回は除外した。
もっともそれは私の希望で、抽選権を得られないことには話にならない。
抽選開始。一番手に石橋女流四段が引く。番号が読み上げられ、その抽選番号を持った将棋ファンが前に出、(この場合は)「シード選手」の中から、色紙が入っている任意の封筒を手に取った。それを出し女流棋士の名前を確認すると(山田朱未女流二段だった)、係の人に渡す。係の人は、それを高く掲げる。揮毫をみんなに見せるためだ。
女流棋士は19人いるので、原則的に2回抽選券を引く。
3人目、シード選手から、島井咲緒里女流初段の色紙が引かれる。「こじゃんとやるべさ」とか何とか書かれていた。こうして現物を見せられると、女流棋士会もLPSAも関係なく、誰のでもいいから欲しいと思う。
4人目、一般出場選手から、早くも本田女流二段の色紙が引かれた。この2人は昨年も同じ枠だったらしいが、それよりも、本田女流二段が引かれたことがショックだった。たしか昨年は、山口女流初段をはじめ、めぼしい選手の色紙が序盤で次々と引かれ、何の楽しみもなかった。
女流棋士3人目の抽選者は、船戸女流二段である。抽選箱に手を入れるとき、彼女が私を見た気がした。まあこれは私の錯覚であろう。
しかし出された数字は私の「11」とは、はるかに遠かった。落胆する。船戸女流二段との精神的距離を感じる。
関根女流五段が番号を引く。「97」とか言う。え!? その番号は加賀さやかさんではないか。あ、あんた関係者だろ!? 色紙、引くのか!?
加賀さんは「一般」愛棋家のフリをして、色紙を選ぶ。そしてそれはなんと、船戸女流二段だった。いやこれ、マジですか!? 今回はLPSA女流棋士の色紙に固執していなかったとはいえ、よりによって知り合いが船戸女流二段の色紙を選ぶとは…。
さらにいえば、船戸女流二段の対戦者は、清水市代女流王位・女流王将であった。加賀さん、かなりの難敵に当ててくれたものだ。いやしかし、モノは考えようである。緒戦からタイトルホルダーと当たるチャンスはなかなかない。船戸女流二段は、ここが力の見せどころである。
もし清水女流二冠に勝ったら、何かプレゼントをすることを約束する。対清水戦に向けての2ヶ月、猛勉強をしてもらいたい。
ある程度女流棋士のメンバーが決まると、雨宮知典「週刊将棋」編集長が、女流棋士にインタビューをしていく。女流棋士が言葉を発するたび、場内が笑いに包まれる。
そうやって、粛々と儀式は進行していった。
安食女流初段の色紙が引かれ、今度はその安食女流初段が抽選券を引く。自分の対戦相手を自分が決める、という珍しい図だ。「代理」の人が引いた色紙は、新藤仁奈アマ。女流王将戦の再戦となる。これも珍しい。
長沢女流四段、山田久美女流三段の対戦が決まる。
午後4時56分。松尾女流初段の抽選券から、本日の目玉である、里見女流二冠の色紙がついに出た。
このあたりで再度インタビューとなったが、長沢、山田両女流が苦笑いしている。たとえ勝っても、次に里見女流二冠と当たる公算が高いからであった。しかしこのおふたりも百戦錬磨である。この機会に、若き女流名人に一発入れてやろう、と考えているに違いない。
いっぽう里見女流二冠は、とりあえず自分の名前が引かれて、ホッとした、とのこと。しかしその相手は22日のチャレンジカップの勝ち上がり者で、当日まで分からない。
それにしても山口女流初段の色紙が出ない。物事は何でも、いいほうに考えるほうがよい。山口女流初段の色紙が出ないのは、私が引かないからだ、と考える。もし選ばれたら、係の人に色紙を出してもらおう。そのほうが絵的にいい。そうやってイメージを膨らませる。
一般選手は残り6人となった。この中に、山口女流初段の色紙があるのだ。ここまでよく残ってきた。もう少しだ。いまはそう信じるしかない。
最近グッと大人っぽくなった、藤田女流初段が抽選券を引く。LPSAのイベントでよく見かけるオッチャンが当たり、色紙を選ぶ。封筒から出す。
「ヤマグチ…さん」
とか言っている。何!? 係の人が、その色紙を高々と掲げる。そこには確かに、「山口恵梨子」と書かれていた。
ガーン!! 私は髪の毛を掻きあげ天を仰ぐと、半分椅子からズリ落ちた。
終わった…ついに。ついに私の抽選会が、終わったのだった。
(つづく)
コメント (10)
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