一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流棋士との親睦将棋会2015(中編)

2015-03-31 00:23:43 | 将棋イベント

以下の指し手。▲6五桂△6四銀▲2五桂△同桂▲同飛△2四歩▲2九飛△4四桂▲2三角成△同金▲3五桂△3六桂▲2三桂成△4八桂成▲同金△6五銀(第2図)

ステージでは、若手女流棋士のリレー対局が行われている。メンバーは、加藤桃子女流二冠・和田あき女流初段・竹俣紅女流2級×西山朋佳奨励会二段・北村桂香女流1級・山根ことみ女流1級。棋譜読み上げは相川春香女流1級だ。各自5手指して交代で面白そうだが、私にはよそ見をしている余裕などない。
そのほか、甲斐智美女流王位・倉敷藤花、香川愛生女流王将、矢内女流五段、山田久美女流四段によるサイン会もあるが、ここからは見えない。会場の表でやっているのだろう。
局面、とりあえず▲8三角成はできる。しかし△7七歩成を利かされるのがシャクに障る。以下▲7三馬△7八とはと金が残り下手悪い。
そこで桂を逃げることになるが、▲8五桂は△8四銀▲8三角成△8五銀で、馬は作ったものの下手歩切れで、面白くないと思った。
そこで▲6五桂と中央に跳ねたが、本田小百合女流三段はよろこんで?△6四銀。
そこで私は▲3五桂を考えたが、うまくいかないと見て、▲2五桂と跳ねた。以下大振りかわりがあり、△6五銀まで一段落したが、冷静に局面を見ると、私が敗勢になっているのに愕然とした。

▲3三成桂△3六桂
まで、74手で本田女流三段の勝ち。

▲2四飛と走りたいが、△同飛▲同成桂△3六桂は下手負けっぽい。そこで▲3三成桂と寄ったが、やはり△3六桂が厳しかった。
まだ桂があるのかと思ったら、一手前に桂を入手されていた。しかもこれは私が6五に跳ねたヤツである。この駒で攻められるのは何とも不愉快で、これで戦意喪失、そのまま投了した。
「エッ!?」
と驚く本田女流三段。「▲4九金と引かれて難しいと思ってました」
「そうですか…」
「▲6五桂では▲8五桂がよかったでしょう」
「……」
「△7四銀なら▲6六桂だし、△6二銀には▲8三角成~▲7四桂もある」
「そうか、桂は▲5三桂成も見ていたんですけど」
「でも5三には飛車も利いてますしね。最後は▲2四飛と走れればよかったんでしょうけど、△同飛▲同成桂に△3六桂がありますものね」
ここは本田女流三段も同じ読みだったが、よく考えたら△3六桂には▲3二飛がある。よって▲2四飛には△同飛と応じず、先に△3六桂で下手負けだと思う。「でも最後はホントに▲4九金で、こちらはどう指せばいいか」
「何か、どうやってもダメじゃないですか。△2八銀で飛車を殺されるくらいで」
「そうか、そうですね」
途中からどっちがどっちのセリフだか分からなくなっているが、下手がおのが負け手順を指摘して上手が納得するという、懐かしいパターンが出てきた。
感想戦を終え、腕時計を見ると午後1時48分である。せっかくの指導対局だったのに、アッサリ終わってしまったのが残念だ。当たり前だが、やはりプロは強かった。
時間ができたので、室内を見て回る。ざっと見渡して、入場者は軽く150人以上いる感じだ。
指導対局はやはり駒落ちが多い。上手の作戦もさまざまで、中にはちょっと突っ込みたくなる陣容もあったが、私がそれを書く資格はない。
ステージの解説は谷川浩司九段、聞き手は清水市代女流六段が務めている。きょうはNHK杯の放送はないが、リアルタイムで清水女流六段が聞けるわけだ。
対局者の6人は艶やかで、眼福ありがとうございます、というところ。
と、谷川治惠女流五段に声を掛けられた。
「いつもブログを拝見しています。先日も私のことを書いていただきまして」
谷川女流五段は当ブログの貴重な読者で、それは昨年のイベントのとき、御当人から聞いた。
私なぞは駒桜にも入っていないし、女流棋士会にとって優良な客ではないが、分け隔てなく接してくださる谷川女流五段には頭が下がる。ちょっと私も、女流棋士会に肩入れしちゃおうか、などと考えてしまう。
解説が、谷川九段から上田初美女流三段にバトンタッチされた。上田女流三段は4月から、加藤女王とマイナビ女子オープンの五番勝負を戦う。上田女流三段には、もはや加藤女流二冠しか見えていないだろう。
会場の左側は販売スペースになっていて、サイン色紙や将棋盤、カレンダーなどが売られている。生写真のコーナーもあるが、ちょっと買う気はしない。
すぐ近くでは、山口恵梨子女流初段が指導対局をしている。平手戦が2局あるが、どちらも居飛車を持っている山口女流初段が、どちらも穴熊に潜っている。山口先生、守りに勝ちすぎていないだろうか。
ステージ対局は、西山チームの勝利。しかし艶やかさは「引き分け」だった。
続いては同ステージで伊藤沙恵女流初段、塚田恵梨花女流2級、高浜愛子女流3級、山口絵美菜女流3級のトークショーである。進行は村田智穂女流二段と鈴木環那女流二段。まったく、女流棋士会には適材適所の女流棋士がワンサカいる。
指導対局は2回戦に入り、私もそれを見て回る。さっき対局の西山奨励会二段は2面指し。抽選の結果そうなったのだろうが、これは下手にとって贅沢な環境だ。
対して竹俣女流2級は怒濤の5面指しである。竹俣女流2級を拝見したのは2007年6月に行われたLPSA新宿イベントだが、そのときの女の子がいまや大のオトナ5人を相手に戦っているとは、感慨を禁じ得ない。きょうも振袖がよく似合っている。私は制服派だが、彼女だけは和服でもいいと思う。
トークショーはなかなか面白い。村田女流二段が塚田女流2級に、「母娘対決になったらどうしますか?」とか聞いている。言うまでもないが、塚田女流2級のお母さんは、高群佐知子女流三段である。
塚田女流2級いわく、「(母は、母娘対局を)考えたくない、と言ってました」とのことだった。
室谷由紀女流初段が販売スペースのレジにいる。袴姿もバッチリ決まって、まったく何という美しさであろうか。モデルか。女優か。そんな彼女と会話をする絶好のチャンスだが、それには何かを購入せねばならない。しかしそのカネが惜しく、私は何も買わず、その前を通り過ぎることとなった。
トークショーがおわり、抽選会となる。入場ハガキに3ケタのナンバリングがされており、これが当選番号となる。賞品は里見香奈女流名人のサイン扇子15本など多数。私は期待したが、どうも外れたようだ。
時刻は3時半になり、ここで中休み。
第2部は3時45分からで、ここでは「次の一手名人戦」「ぐるぐる将棋」「30秒de二面指し」の催しがある。私は事前に「30秒」を選んでいる。
例によって、対局者の抽選である。今度は貞升南女流初段に当たった。
またも人妻に当たるとは、運がいいのか悪いのか。ともあれ貞升女流初段の居飛車を勉強させていただこうと思った。
第2部の司会は高橋和女流三段が務める。私も所定の席に着き、30秒将棋の対局開始となった。
▲7六歩△8四歩▲2六歩△3四歩▲2五歩。
本局こそ角換わりの将棋を教えていただきたかったのだが、4手目に△3四歩とされ、またも横歩取り模様となった。
と、貞升女流初段が△8八角成!ときた。
これは、いよいよ角換わりの将棋になるのか!?
というとき、背後から
「すみません、対局カードを見せていただけませんか?」
と、スタッフ氏から声を掛けられた。
私は、「職務質問」されるようなことをしたのだろうか。
(4月2日につづく)
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女流棋士との親睦将棋会2015(前編)

2015-03-30 00:38:58 | 将棋イベント
29日(日)は、「女流棋士との親睦将棋会2015」があった。これは女流棋士会主催の看板イベントだ。私が女流棋士に注目し始めたのは2007年にLPSAが設立されてからで、その後もLPSAを応援していたから、女流棋士会のイベントには縁がなかった。今回は和田あき女流初段のお誘いがあったから参加を決めたが、いい機会であった。
場所は東京・池上本門寺「朗峰会館」。12時30分開場、13時開演なので、11時すぎに家を出た。アクセス方法はいろいろあるが、私はいちばん電車賃が安いルートを選ぶ。すなわち東京メトロ+都営地下鉄で、11時50分ごろ、西馬込で下車した。
私は方向音痴なので、駅から必ず迷う。案の定、桜並木の通りに迷い込み、桜を愛でていたら、ずいぶん時間が経ってしまった。
地元の人に道を聞いて、朗峰会館に着いたのは12時45分ごろだった。
そこはホテルのような佇まいで、ロビーに入ると、その奥に味わい深い中庭があった。
寄ってみると、スーツ姿の団体がいる。その中のひとりが谷川浩司日本将棋連盟会長だったのでビックリした。きょうはこんな感じで、あっちこっちでビビりまくることになるのだろう。
会場がある4階に上がり、受付を済ませる。私は第1部の指導対局に申し込んでいるので、ここで抽選をする。当たったのは、本田小百合女流三段だった。彼女はW氏が大ファンで、これはいい土産話ができそうだ。
会場に入ると、逆凹型にテーブルが組まれていた。この内側に女流棋士が入り、指導対局を行うのだ。
その奥はステージがあり、手前には数列の椅子が並べられていた。指導対局を行わない人は、ここでイベントを見るのだ。
渡辺弥生女流初段がいたので、目礼する。昨年の将棋ペンクラブ関東交流会でお世話になったからだが、彼女は忘れているだろう。ちなみに今年の関東交流会は5月23日(土)である。
Tag氏がいたので、挨拶する。Tag氏、ずいぶん痩せていたので聞いたら、体調を崩していたらしい。この歳になると、お互いどこかがおかしくなる。体調管理にはくれぐれも留意したい。
私は入口に近い左側の椅子に座った。第1部の司会者である村田智穂女流二段の合図で、本日参加の女流棋士が入場する。2列で、先頭は室谷由紀女流初段と渡辺女流初段。このふたりは実行委員で、ほかに高群佐知子女流三段、飯野愛女流1級もそうだ。
続いて長谷川優貴女流二段が現れる。向こう側は分からなかった。彼女らが左右に分かれ、左側の彼女らは私の背中越しを通って、ステージに上るのだ。
さらにこちら側は、和田あき女流初段。きょうは振袖に袴だ。意表を衝いて高校の制服もあるかと思ったが、それはマニアすぎか。
こんな按配で女流棋士が次々と入場する。
伊奈川愛菓女流初段はきょうが誕生日。おめでとうございます。
中村真梨花女流二段は元気そうで何より。今期の女流名人戦はがんばってもらいたい。
谷川治惠女流五段はきょうも穏やかな表情だ。今回の実行委員長でもある。
矢内理絵子女流五段はきょうも凛々しい。
こうして眺めていると、マイナビ女子オープンの公開対局オープニングを思い出す。私は2011年を最後に観戦を卒業したが、ちょっと懐かしくなった。全員が壇上に上がり、まずは谷川実行委員長の挨拶。
「きょうは雨の予報でしたが、皆様の行いがいいので、降らずにすみました…」
何と、このイベントは「第24回」になるらしい。かなり歴史があるのだ。
続いて谷川浩司会長の挨拶。
「解説会などでは男性棋士だけだとギスギスしますが、そこに女流棋士が入ると、スムーズに運びます…。スポンサーの皆様、厚く御礼を申し上げます」
続いて池上本門寺総務部執事の、富澤錬真氏の挨拶。
「女流棋士との出会いは人と人との出会いです。…400年の昔、徳川家康が江戸に上る際、本門寺にお泊まりになり…」
続いて、女流棋士の紹介。ひとりひとり名前が呼ばれる。前列の10数人が呼ばれると後方に下がるが、この手法は昨年6月に行われた「女流棋士発足40周年記念パーティー」のときと同じだ。
女流棋士を撮影している客がいるが、これは2,000円の「女流棋士撮影券」を購入している。室谷女流初段などは「きものモデル撮影会」に出場すれば一番人気確実の美しさだが、それだけに、どうせ撮るならレフ版などを使ってしっかり撮りたいと思う。それが叶わないから、私は撮影券を購入しないのだ。
都合3列の女流棋士が呼ばれ、今回の参加女流棋士(奨励会員含む)は総勢44人とのこと。女流棋士会の力の入れ具合が分かるというものだ。
さて、いよいよプログラム開始である。指導対局の女流棋士は総勢15人前後。本田女流三段が見えた。場所は入口近くの左側手前で、ここに本田女流三段が来ることが分かっていたから、私はここに陣取っていたのだ。
本田女流三段は居飛車党の実力者で、いつもにこにこかわいらしい。何年か前に結婚してしまったのがアレだが、応援している女流棋士である。
「時間がないので、すぐに始めましょう。皆さん、平手でもなんでもいいですよ」
さっきパンフレットを見たら、指導対局は2回戦で、それぞれ1時間だった。ここは4面指しで、確かにこれでは慌ただしく、教わるほうも早指しを覚悟しなければならない。
本田女流三段が私の前に来る。
「ひ、平手でよろしいでしょうか」
私が恐る恐る告げると、本田女流三段、にこにこしつつも目を光らせて
「厳しいですよ」
「それで早いところ吹っ飛ばされちゃおうと思いまして」
「…こっちが飛ばされちゃうかもですね」
ということで、対局開始となった。

上手:女流三段 本田小百合
下手:一公
▲7六歩△8四歩▲2六歩△3四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△3三角▲3六飛△8四飛▲2六飛△2二銀
▲8七歩△5二玉▲5八玉△5一金▲4八銀△6二銀▲3八金△2三銀▲1六歩△2四歩▲1五歩△9四歩▲9六歩△7四歩▲3六歩△8八角成▲同銀△7三桂▲3七桂△3三桂
▲3五歩△8五飛▲7七桂△3五飛▲3六歩△3四飛▲5六角△5四飛▲7五歩△2五歩▲2九飛△7五歩▲7四歩△7六歩▲7三歩成△同銀

平手戦は私だけ。本田女流三段との最初で最後の指導対局は、角換わりの将棋を教えていただくつもりだった。が、4手目△3四歩だったので、横歩取りの将棋になった。
「宣言」通り、本田女流三段はパッパッパッパッ指す。私は目の前に女流棋士が来たら指すようにしているので、私も指し手が早くなってしまう。
途中警戒しているスジもあったのだが、本田女流三段は素通りしてくれる。まずまずの中盤戦となった。
47手目は▲8二角も考えたが、ちょっとソッポの気がした。▲5六角が上級者っぽい気がしたので打ったが、どうか。
数手進んで、私は桂得を果たす。ここで次の手が問題だった。
(つづく)
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伊奈川愛菓女流初段は、モデルの山本美月、小松彩夏、子役の舞優に似ている

2015-03-29 02:40:53 | 似ている
きょう3月29日は、伊奈川愛菓女流初段の24歳のお誕生日。おめでとうございます!!

その伊奈川女流初段は、モデルの山本美月に似ていると思う。
山本美月は1991年7月18日、福岡県生まれの23歳。伊奈川女流初段より、4か月妹である。2009年、第1回「東京スーパーモデルコンテスト」のグランプリになり、以後、ファッション雑誌の表紙を飾る。2011年より女優活動も開始し、映画やテレビ、CMへの出演多数。いま、最もノッテいる女性のひとりである。
現在は「日清焼そばU.F.O.」のCMで保健の先生役を演じているが、これが未来の伊奈川女流初段を見ているようで、大いにそそられる。

伊奈川女流初段はもうひとり、モデルの小松彩夏にも似ていると思う。
小松彩夏は、1986年7月23日、岩手県生まれの28歳。ティーン雑誌のモデルオーディションに応募し、芸能界デビュー。その後は青年マンガ誌の巻頭グラビアを長く務めた。2003年、実写版「美少女戦士セーラームーン」でヒロインを演じ、お茶の間に広く知られるようになった。

そして伊奈川女流初段はいまひとり、子役の舞優にも似ている。
舞優(まう)は、2005年7月6日、東京生まれの9歳。芸歴は2008年からだが、本格的にテレビに出演するようになったのは、2010年ごろと思われる。最近ではTBS「警部補・杉山真太郎~吉祥寺署事件ファイル」にゲスト出演し、薄幸な少女役を見事に演じた。

以上3人に共通しているのはハーフっぽいところで、伊奈川女流初段にもそんな雰囲気がある。鼻や目許の感じが、西洋人っぽいのだ。もちろん4人とも、美人である。
伊奈川女流初段は現在医大に通学していると聞いている。もし医者になったら女流棋士の職はどうするのだろうと思うが、(女流)棋士は現役を辞めても棋士であり、将棋の強い女医さんが日本にひとりくらいいてもいいのではないかと思う。
伊奈川先生、今後も自分の信じる道をまっすぐに歩んでください。応援しています。
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永瀬六段の「角不成」について思うこと

2015-03-28 15:47:32 | 将棋雑考
先週21日(土)に行われた電王戦第2局、永瀬拓矢六段とseleneとの一局は、永瀬六段の反則勝ち。その引き金になった「△2七同角不成」に触れておこう。
私の記憶違いがあるかもしれないが、中原誠十六世名人が修業時代のとき、練習対局で「▲2二角不成」と指した。それを見た高柳敏夫名誉九段が、「その手に何の意味があるのか」と、たしなめたという。
高柳名誉九段の見解に私は賛同する。「成」も「不成」も相手は取る一手。ならばどっちでもいいじゃないか、とも思えるが、取られる刹那にもその駒を、最大の機能に昇華させてやるのが、対局者のたしなみだと思うのだ。
「どっちでもいい派」の反論として、「秒読みの将棋は、成る手間を少しでも省いて時間を稼ぐため」というのがある。しかしその「成る手間」さえ惜しむくらい追い詰められているなら、どっちみちその将棋は負ける。見苦しくないよう余裕を持って指せ、といいたい。
本局永瀬六段は、角不成を指して、少しでもコンピューターに考えさせたかった、と述べたが、これは本心ではないだろう。終了局面で永瀬六段の持ち時間は1時間33分あり、十分余裕があったのだから。
不思議なのは、この「角不成」について、永瀬六段を賛辞する棋士の声が多かったこと。すなわち、対局でも実質的に勝ち、かつソフトのバグを指摘(暴露)したことで、完勝だったというのだ。
私はこの思想に危険なものを感じる。何事も「過ぎる」はよくない。ソフトにバグがあったなら、対局後に指摘すればよかったのではないか。
ルール上に問題がなければ何を指してもよい、という意見もあろうが、私はそうは思わない。やはりプロには最高の手を、美しい記譜を紡いでほしいと願うのだ。
確かにコンピューター用の指し方はあるのだろう。しかし根本の部分(成る、成らない)は変えてほしくなかった。棋士らしく、堂々と成ってほしかった。
今回永瀬六段が「角不成」を指したことで、内容は勝ちだったのに、「反則勝ち」のみがクローズアップされてしまった。これは残念なことだった。

これで電王戦はプロの2勝。棋士対コンピューターソフトはすでに勝負づけが済んでいる、と私は見ているので、むしろこの結果のほうが、私には衝撃であった。
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3月8日の大野・植山教室(後編)

2015-03-27 00:12:10 | 大野・植山教室
Hag君とは以前1局指したことがある。私の中飛車だったが、中盤の捌きに失敗し、惨敗だった。感想戦では「居飛車の△9四歩は必要だけど(私の指した)▲9六歩はムダ手」と厳しくやられ、二度負かされた気分だった。
本局、勝敗はともかく、恥ずかしくない手を指すことだけを心掛けた。
さて、当然私の先手と思いきや、Hag君は駒を振る。そして私の先手となった。▲7六歩に△3二飛。今泉流の2手目△3二飛戦法だが、こういうとき私は相手の得意に乗っからず、ふつうに指すようにしている。
こうなるとHag君もすぐには暴れられず、石田流対棒金模様に落ち着いた。
駒組が終わり、Hag君は△2四歩と突きあげる。ここで私の指した手は。

以下の指し手。▲7五角△2五歩▲5三角成△2四飛▲2七歩△3一角▲4三馬△同金▲3二銀△9六歩▲同歩△9八歩▲同香△8六角▲8七歩△7七角成▲同金△4二金▲3一銀成

私は▲7五角とノゾいた。これに△4二金なら▲2四歩△同飛▲同飛△同角▲2二飛。さりとて△5二銀や△5二金は利かされなのでHag君は△2五歩だが、私はありがたく▲5三角成とし、一本取った。
しかし△2四飛に▲2七歩は凹みすぎ。飛車を囲ってしまっては、一遍に具合がおかしくなった。
Hag君の△3一角に私は狙いの▲4三馬~▲3二銀。Hag君も意表を衝かれたようだが、すぐに気を取り直して△9六歩。
この端攻めが厳しかった。以下いろいろの折衝ののち△4二金と落ち着かれてみると、▲3二銀が空振りした形だ。
私は泣きの▲3一銀成だが、これでは勝てない。Hag君は端攻めを再開し、以下は難しいところもあったのだが、押し切られた。
大野八一雄七段を交えた感想戦では、やはり▲2七歩が悪手で、ここは▲7五馬と引くところだったらしい。
これは私の第一感だったが、△3一角には▲4三馬~▲3二銀があるので、▲7五馬が不急の手だと考えていたのだ。
しかし大野七段が言うように、貴重な馬を4三の銀と交換する手はない。黙って▲7五馬と引き、△2六歩なら▲2七歩と合わせるべき。これこそ▲3八金の顔が立つというものである。本譜は右辺の飛車、金、銀が働かず、駒が泣いてしまった。
まったく残念な敗戦だったが、今回はHag君も小刻みに時間を使ってくれたし、教室最強の彼にここまで指せれば、オンの字だろう。
と、Og氏が
「でも大沢さんは将棋が綺麗ですよね。だから大沢さんには負かされても悔しくない」。
これは、私はホメられたと解釈していいのだろうか。
また大野七段は
「大沢さんは序盤は突っ張るんだけど、中盤に怯むところがあるんだよなあ」
の言。
おっしゃるとおりで、耳が痛い。

ブログ用にこの将棋をメモしていると、佐藤氏が勘違いして、二度目の感想戦?に付き合ってくれた。
それが終わり、佐藤氏が対局を申し出てくれる。先日も書いたが、佐藤氏は地元埼玉で活躍するアマ強豪らしい。まったく、この教室にはどれだけ強豪が集っているのだろう。
私の先手で、角換わりとなった。お互い端の歩を伸ばしているのは、お互い右玉を意識しているから。やがて佐藤氏が△6二玉とした。
中盤、佐藤氏は8筋を継ぎ歩し、△8六歩と取り込む。

以下の指し手。▲8二歩△同飛▲8八歩△2三歩▲3四歩△9六歩▲同歩△9八歩▲同香△8七角▲9七香△9八角成▲2九飛

私は▲8二歩を利かして▲8八歩と謝り、次の▲2一飛成に期待したが、△2三歩と塞がれてスカになった。
局後佐藤氏に指摘されたのだが、▲8八歩では当然▲2一飛成とするところだった。以下△8七歩成には▲6一角で、△8一玉は▲8三歩で先手十分。どうしてこう指さなかったのか、理解に苦しむ。
本譜は佐藤氏が猛攻を開始したが、△8七角に▲9七香がまた情けなかった。この局面を見ていた植山悦行七段が「▲8七同歩△同歩成▲8六歩でしょ…」とつぶやいたが、私にはまったく見えなかった。こういうところに、プロとアマの読みの差を感じる。
私は▲2九飛まで我慢したがいかにも心細い受けで、以降は佐藤氏にバリバリ攻められ、土俵を割った。
これできょうの対局は終わり。6局指して2勝4敗はひどく、前日の雪辱どころではなかった。
夕食は、駅近くのサイゼリヤに行く。参加者は7人。喫煙席が2テーブル取れなかったので、禁煙席と二手に分かれる。が、非喫煙のFuj氏が植山七段のテーブルに行ってしまい、入れ替わり?で、W氏が禁煙席に移動してきた。
すなわち、禁煙席:大野七段、Og氏、W氏、一公。喫煙席:植山七段、Hon氏、Fuj氏である。Fuj氏は今回の食事会に参加するために、出張先から寄っている。
私は久々にパスタを頼む。それだけではさびしいので鶏のフライも加えたが、出てきたそれは手羽先みたいで、食べるのに難儀した。
喫煙席に余裕ができたので、移動する。しばらく経って植山七段とOg氏が退席。
初心者のちびっ子諸君への講義はどうするか、など、珍しく教室のあり方について議論した。
きょうは12時近くまで粘ったが、日曜の夜はどうも気が滅入ってよくない。とするならば、日曜に教室に行かなければいいのか。まったくむずかしい。
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