一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・大庭美樹女流初段⑨・珍形

2010-05-12 01:30:21 | LPSA金曜サロン
3月12日のLPSA金曜サロン、昼は大庭美樹女流初段、夜は松尾香織女流初段の担当だった。きょうは大庭女流初段との将棋を振り返る。
以前も記したが、天河戦の主催者であるル・パルク社が、3月から駒込サロンの協賛になり、この日は指導対局コーナーのうしろに、大きなポスターが貼られた。これで指導女流棋士の待遇が少しでも良くなればうれしい。
私の先手で☗2六歩☖3四歩☗7六歩。ここでいつもの大庭女流初段なら☖4四歩か☖4二飛というところだが、本局は☖3二金。以下☗4八銀☖8四歩と進み、ふたりの将棋では珍しい、相居飛車の将棋となった。
10手目に角を交換され、私は端にスキありと見て、23手目☗1五歩と仕掛ける。しかし☗1三歩と垂らした手に対し、当然ながらじっと☖2四銀と上がられては、存外うまくいかなかった。
私は☗5五角から☗6四角と1歩を掠め取ったが、☖5二金とじっと受けられ、☗4六角と引くくらいしかないようでは、苦戦を認めざるを得ない。この局面の符号を記す。

上手・大庭女流初段:1一香、1五歩、2三歩、2四銀、3二金、3三桂、3四歩、4三歩、5一王、5二金、5三歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二飛、8四歩、9一香、9三歩 持駒:角、歩
下手・一公:1三歩、1九香、2八飛、2九桂、3七歩、4六角、4七歩、4八銀、4九金、5七歩、5九玉、6七歩、7六歩、7七銀、7八金、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩

ここで大庭女流初段は☖1三香と歩を払ったのだが、これが疑問手だった。すかさず☗1四歩と打ち捨て、☖同香に☗2四角切りが利いた。☖同歩☗同飛となっては下手がおもしろくなった。
ここで☖2三角はさすがに打てないだろうとフンだが、果たして上手は☖4二金右。私は☗1四飛と香を取り、ここで優勢になったと思った。
では戻って、☖1三香での正着はなんだったか。当時は☖1三銀がイヤだったが、これは☗1五香☖1四歩☗同香☖同銀☗1二歩☖同香☗1三歩☖2五香☗1八飛で、下手も十分戦えると思う。ではじっと☖3五歩とでも伸ばしておくか。
本譜は以下激戦になったが、何とか私が幸いした。
終了図を見ると、双方玉が1手も動かぬ珍形だった。「双方玉の動きなしの終了図」で私の記憶にあるのは、1990(平成2)年12月8日に新潟市で行われた第11回JT杯将棋日本シリーズ決勝・谷川浩司竜王対中原誠名人(88手で谷川竜王の勝ち)と、2007(平成19)年3月14日に行われた第33期女流名人位戦第4局・矢内理絵子女流名人対中井広恵女流六段(71手で矢内女流名人の勝ち)くらいで、本局はひじょうに珍しいと思う。
コメント (2)
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