一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・中井広恵女流六段④

2010-05-11 00:26:03 | LPSA金曜サロン
3月5日のLPSA金曜サロン、夜は中井広恵女流六段の担当だった。中井女流六段はいつもこのブログを読んでくださっているそうで、植山悦行手合い係を通じて、感想をくださる。しかしこちらがおののく感想ばかりで、いつも私は戦々恐々としている。も、もっともそれで、ブログの内容を変える、わ、私ではない。
毎日多忙を極める中井女流六段、金曜サロンへの登板は少ないうえ、会員への指導対局も厳しいので、サイン勝負でサインを得ることは容易ではない。しかしそれだけに「サインゲット」は価値がある。今回ももちろんサイン勝負であった。そしてこれはサインコンプリート(10人)の一局でもあった。
もちろん私の先手で☗7六歩☖3四歩☗2六歩。ここで中井女流六段は☖5四歩。これはゴキゲン中飛車を志向している。中井女流六段は居飛車党であるが、最近は相振り飛車や純粋三間飛車も見せることが多い。いわく、「相振り飛車も研究してみると面白い」のだそうだ。
5手目☗2五歩に、中井女流六段は果たして☖5二飛。これ、居飛車党から見ると、まったく厄介な戦法である。角道を止めないで飛車を振ってくるのに腹が立つ。
対して私は気合の☗5八金右。これはのちの☖5六歩からの超急戦を誘っている。☖5五歩☗2四歩☖同歩☗同飛。
ここで中井女流六段が
「一公さん研究してそうだからなあ」
とつぶやき、穏やかに☖3二金と上がった。私も☖5六歩以降の決戦に自信があったわけではないが、指導対局はこちらに考慮時間がいっぱいある。なんとかなると思ったが、狙いをかわされた。
22手目☖7四飛。☗7六歩を取られないようにするためには☗7七玉しかない。
だからそう指したら、「エエッ!?」とビックリ仰天された。この手は1秒も読んでなかったというふうだ。しかしこの局面はこちらも指せると思った。下手の玉の位置が中途半端だが、上手の飛車もこの位置では働きがないからだ。
以下☖5四飛・☖5五角の形のときに、☗4六金と出たのが強手。さらに11手後の局面の符号を記してみよう。

上手・中井女流六段:1一香、1三歩、2一桂、2三歩、3二金、3三角、3四歩、4三歩、6一金、6二銀、6三歩、6四銀、7二王、7三歩、7四飛、8一桂、8三歩、9一香、9三歩 持駒:歩
下手・一公:1七歩、1九香、2九桂、3六歩、3七銀、4五金、4七歩、5四歩、5八飛、6六歩、6七銀、6九金、7六歩、7七玉、8七歩、8八角、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩

☗5四歩と気持ちよく叩いた手に☖6四銀まで。以下☗3四金☖2二角☗4六銀☖6五銀☗5五銀☖同角☗同飛☖5四飛、と進んだ。
まず☗3四金が、1歩を得したものの、金がソッポにいく損失のほうが大きいという疑問手だった。ここではよほど☗7八玉と形を整えたかったのだが、そこで☖7五銀(中井女流六段)という鬼手があり、取れば十字飛車が決まってしまう。これは捨て置けば☖7六銀があるから再び☗7七玉と立つ。すると上手は☖6四銀と引くかもしれず、一応千日手の手順もあった。では☗3四金での正解は何か。じっと☗4六銀と出て力を溜めておくのだったか。
本譜は☗5五銀に☖同角が強手。下手陣は駒がバラバラだから、角銀交換くらいの駒得では合わない。やむない☗同飛に☖5四飛とぶつけられては、早くも大勢決した。☗3四金の位置がひどい。
これでほぼ戦意が喪失した。以下私の飛車が詰まされ、いくばくもなく投了。わずか62手だった。そういえばこの約1ヶ月後に山口恵梨子女流初段に指導対局を受けたときも、同じゴキゲン中飛車、手数も「62」だった。
本局は、中盤の入口まではこちらも強く迎え撃っていたと思うが、ちょっと突っ張りすぎた。女流棋士のトップクラス相手にこんな無理な指し方をしては、木端微塵にされる。ちょっと危機意識が足りなかった。
サインコンプリートはならなかったが、大いに勉強になった一局だった。
コメント (5)
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