goo blog サービス終了のお知らせ 

まつかぜ日記

暮らしの中で思うこと

ポテト・スープが大好きな猫 -2-

2006年01月19日 | 
昨年12月にyutaさんのブログでこの本の事を知りました。
それ以来、電車の中や海五郎さんのブログなどなど、日ごとに目にする機会が増えていて
この本の魅力の幅広さを感じます。

物語はテキサスっ子のおじいさんと一匹の猫の、暮らしの中のちょっとしたお話しです。
ここには、胸の中にすっと滑り込んで温かい、小さな断片がたくさんちりばめられているようです。
まるでコトコト煮込んだポテトスープみたいに。

テキサスの田舎を描いたこの絵にもとても惹かれてしまいました。
見ているだけで羨ましく思ってしまうものが沢山あります=おじいさんの家に寄り添うように枝を広げる大きな木、バスタブで育てているじゃがいも、空色のピックアップ・トラック、そして凛々しいオレンジ色の猫との暮らし・・・
どれも、これまでの人生の中で一度は欲しいと思ったものばかりです。
文字にすると大げさですが、ほんとです。

このおじいさんのスタイルもいい感じです。チェックのネルシャツにジーンズとキャップ。これぞテキサスっ子なんですね。
ずいぶん昔のことですが、ファビュラス・サンダーバードというバンドのコンサート会場の一隅で、このおじいさんと全く同じ格好をした年配の男女の一団が(女性は皆さんワンピースにカーディガンでした)ノリノリで踊っていたのを思い出しました。
当時の私は少々圧倒されながら、この人達が本当のアメリカの姿なのかも知れない…なんて勝手に考えたりしました。

話がそれましたが
この本は、猫好きな方はぜひとも、そうでない方にも手にとって頂きたい一冊です。


++++++++
少々めげましたが、気を取り直し、記憶を辿ってもう一度書きました。
ほんとにお騒がせしました。

ねこのこと

2005年11月26日 | 
手にとるだけで、気持ちまでゆるゆると笑顔になってしまう一冊の写真集と出会いました。
『ちょっとネコぼけ』/岩合光昭
表紙の“鼻ちょうちん”のネコ、もうたまりません(笑)

動物写真家としてあまりにも有名な岩合さん。ライフワークとして30年以上ネコの写真を撮りつづけておられるのだそうです。
道行くネコに声をかけ(一体どんな声で話しているのかとても気になります)、時にはネコに導かれながら、ネコの生活をカメラに収めている岩合さんの様子が目に浮かぶようです。尾道のネコも弘前のネコも、そしてイスタンブールのネコも皆のびのびと幸せそう。

幾度となく頁を繰って夜更かしし、心身ともにフニャフニャになった翌日。
お寺のネコ<木綿ちゃん>と遭遇し、初めてスキンシップ=頭をポリポリする、ことが出来ました。
このネコはとても甘えん坊らしく、いつもお寺の奥さんの後をついて歩いているのですが、よそ者には全く反応無しです。会う度に声をかけていますが、一度も振り返ってもらった事もありませんでした(苦笑)
でも、この日は木綿ちゃんの方から声をかけてきたのでした。びっくりです。
岩合さんの本の効能が何かしらあったのかも知れない、と密かに思っています。
ただの、ネコの気まぐれ…とも言われそうですが。

私が実家にいた頃、よくネコを飼っていました。
ブログで出会ったネコのお話を目にする度に、あったかくて柔かいネコの思い出が蘇ってきます。
最後に一緒に暮らしたネコは、家の塀の向こう側には決して出ようとしないコでした。

チョット猫背ぎみの立ち姿が和田誠さんの『ねこのシジミ』の表紙の姿に似ています。
村上春樹さんの『ふわふわ』にえがかれているネコへの思いと自分の中の記憶がぴたりと重なり合う思いでいます。

そして、長田弘さんの『ねこのき』を読んだ時にはドキリとしました。まるで、うちのチビのお話のようで。
チビが亡くなって数年の後、実家の“ネコの額ほど”の庭にある小さな柿の木が、オレンジ色のつややかな実を沢山付けるようになったのでした。『ねこのき』の様にはいきませんが、私はその事とチビのことを結び付けて胸の中にしまっています。

チビの事をここに載せるのは、辛い思いもありなかなか出来ませんでした。
でも、今こうして自然な気持ちでチビの思い出を書いているのも、『ちょっとネコぼけ』のネコたちのお陰かもしれません。

サリー・ガーデン

2005年11月21日 | 
図書館で、時々ドキリとするような本と出会う事があります。

ハードカバーに印刷された樹の元の人のシルエット。
近づいて見てみると生成りの布に型染めしている様子。
本の中には木や人や動物が伸びやかで繊細な線で染め抜かれています。

この本は
「THE SALLY GARDEN」 サリー・ガーデン
    イギリスの愛の歌(CD付) 
       望月通陽
      <偕成社> 

望月通陽さんは、『染色、陶芸、版画、刺繍、ガラス絵、ブロンズ、木工芸など様々な手法で独自の世界を作り出している。CDジャケット製作や本の装丁も手がけている。』方なのだそうです。この本ではCDに収められた19曲の内、14の曲のイメージを型染めで表現されていて日本語に訳された歌詞も添えられています。
初めて見るのに懐かしい、静がだけれど楽しい、手にとるとそんな気持ちに満たされます。

19曲のうち私が知っていたのは「Greensleeves/グリーンスリーブス」と「Scarborough Fair/スカボロー・フェア」でした。
しかしながらその2曲も含めて、ここには全く予想しなかった美しい音楽が収められていました。
演奏者は 波多野睦美(メゾ・ソプラノ)・つのだたかし(リュート、オルファリオン)とあり、他にリコーダー、バンドーラ、フィドル、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ダルシマーという(私にはどんなカタチのものか予想もつかない名前が並んでいます…)器楽の演奏も加わっています。
どの曲目も素朴で優しい旋律です。
特に波多野睦美さんの歌声は美しく、ゆったりと聞き入ってしまいます。

清らかな流れの中にス---ンと溶けていく粉砂糖のような・・・そんなイメージか。

寒い季節に向かいながら、針仕事をする静かな夜にずっと聞いていたい。(きっと、ずっと、チクチクがはかどる気がする。)などと思うのでした。



*リュート奏者のつのだたかし氏についてhinataさんのブログに素敵なお話が残されています。
hinaden○和とデンマーク+

くすぐったい本!

2005年10月31日 | 
わくわく本の海 五郎さんの所で『ワッハワッハハイのぼうけん』を知ってとにかく読んで見なければ、と思いました。何しろ谷川俊太郎さんと和田誠さんのなのです。しかも私が子供の頃に出版されたもので『しのはきょろきょろ』と同じ時代のものなのだから。

急いで図書館に行ったら初版本が1冊ありました。でも何かが違う?・・・表紙が違います。
復刻された本は確か背景が黄色い表紙のはずなのに↑、図書館の本は背景が白い。新装丁での復刻なのか?!こんな疑問を何日も抱えてはいられません。(苦笑)
翌日、確認の為本屋さんへ行ったら黄色い『ワッハワッハハイのぼうけん』がありました。そして、そのカバーの内側には白い表紙の本が。。。なーんだ、カバーと表紙は違う絵だったんだ!(このおっちょこちょいな性格、幾つになったら治るんだろう…)
一つ謎が解けて、安心したら本が手放せなくなってしまい、そのままレジに。

このお話しについては、海 五郎さんをはじめ「わくわく本」にコメントを残されている方々の紹介文がとても素敵ですのでぜひそちらを読んでいただきたいと思います。

その日、電車を乗り継いで“お使い”に行く間、堪らず何度も本を開いてしまいました。車内で読むにはいささか大きすぎる気もしましたが、くすぐったい誘惑には勝てませんでした。そう、この本を読んでいると何だか自分の内側からくすぐったくなってきちゃうんです。

この本を復刻した新風舎の社長さんが「ワッハ ワッハハイの本はほかの本と一緒に本棚に入れないで下さい。となりに並んだ本がくすぐったがって、涙目になって苦しみますから。」と書いておられるのですが、それは本当だろうと私は思っています。なぜなら、読めば読む程胸の内側がくすぐったくなってしまうのですから。

図書館の本には「絶版」のスタンプが押されていました。この赤い印には胸が締め付けられます。復刻されてよかった。