保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【台湾】南投縣 車テイ駅前の保存車たち(その1)

2017-04-05 23:16:00 | 台湾


場所:台湾 南投県水里郷車テイ村民權巷2号 車テイ駅
保存車両:多数
(2017年3月26日訪問)

台湾鉄路管理局集集線の終点である車テイ(土偏に呈)駅構内に保存されている車両です。
かつてはダム建設の資材輸送や貨物輸送のために広大な構内にたくさんの線路が敷かれていましたが、今は旅客列車が折り返すのみです。側線跡地は公園に整備され、たくさんの車両が保存されています。


電気式ディーゼル機関車S316です。
1966年にアメリカGM社で製造されました。自重54t、出力890馬力、最高速度70km/hで、支線での小運転や専用線、操車場での入換などに使用されました。
現在は定期運用からはすべて引退しており、このS316が静態保存、彰化機関区でS318が保存(おそらく動態保存)されているのみです。


通風車・15V2016です。古めかしい外観ですが、1970(昭和45)年に日本で製造されました。
日本の通風車と同様に、青果などの輸送に使われました。


家畜車・10K524です。こちらも古めかしい外観ですが製造は1967(昭和42)年で、台湾で製造されました。
日本の家畜車とは違い、側板の隙間が狭くなっています。そのため単なる有蓋車のようにも見えます。


平車・35F20133です。1975(昭和45)年に台湾で製造されました。
見た目通り、日本では長物車に当たる貨車です。この貨車は、荷台に古枕木と思われる朽ちた木材を積んでいます。


守車・3CK1573です。日本では車掌車に当たりますが、この保存車はワフのような外観です。
このようなワフ以外にも、全室車掌室のヨ、無蓋緩急車のトフが存在します。

台湾では現在でも多くの貨物列車の最後部に車掌車が連結されています。
実際に車掌が乗務している列車もあれば、「尾灯を点灯させるためだけ」に連結されていることもありその際は車掌は乗務していません。タンク列車やセメント列車のように途中駅での入換を行わず尾灯かけを持つ貨車であれば、車掌車が連結されていないこともあります。


水櫃車・10EW11です。1931(昭和6)年に日本で製造されました。
日本では水運車に当たる車両です。台湾でも水質が悪い地域へ水を運んだほか、晩年は工事用列車に連結されて作業に使う水を運んでいたようです。

(その2)へ続く


【台湾】嘉義縣 蒜頭糖廠の車両たち(その2)

2015-06-05 14:18:00 | 台湾

場所:台湾 嘉義縣六脚郷工廠村一号 蒜頭糖廠
保存車両:多数
(2015年4月20日訪問)

(その1)記事に引き続き、蒜頭糖廠の車両をご紹介します。
糖蜜を運んだと思われるタンク車です。2軸の平車にタンクを仮設したような外観です。


動態保存列車が走る線路脇にも貨車が保存されています。
四方を高い金網で囲まれた貨車で、収穫したサトウキビを運んだと思われます。比重が軽い積荷のため、山積みで積めるようになっています。


本格的なタンク車もあります。ボギー式のタンク車で、日本のタキ3000あたりをナローサイズに縮めたような外観です。
糖蜜輸送用か、工場で使用する燃料輸送用でしょうか。


こちらもタンク車です。右側の貨車は側面のアオリ戸が無く長物車のようになっていますが、これもサトウキビ輸送用の貨車だと思われます。


今は使われていない機関庫の脇にも多数の車両が置かれています。後ろ側の機関車はきれいな状態ですが、レストア待ちなのか予備車なのでしょうか。
手前の黄色い車両は自走式の人車で、巡回や工員の輸送に使われたと思われます。


木々に埋もれるように置かれている車両たち。
黄色い車両は人車(ブレーキ車かもしれません)、2両目はホッパ車のような外観の貨車、3両目はボギー台車の大きな有蓋車です。


手前の車両は謎のタンクを積載しています。ホースが伸びていますが、コンプレッサーを積んでいたのでしょうか。

【台湾】嘉義縣 蒜頭糖廠の車両たち(その1)

2015-06-05 14:17:00 | 台湾

場所:台湾 嘉義縣六脚郷工廠村一号 蒜頭糖廠
保存車両:多数
(2015年4月20日訪問)

台湾中部の蒜頭糖廠で保存されている車両たちです。蒜頭糖廠はサトウキビを加工する製糖工場でしたが現在は操業を停止し、工場見学や工場内のナローゲージ(762mm)を見学出来る観光施設になっています。


368蒸気機関車です。1948(昭和23)年にベルギーで製造され、製品輸送や工場内の入換で使用されました。自重16tのC型タンク式機関車で、1977(昭和52)年まで使用されたそうです。


910ディーゼル機関車です。1957(昭和32)年にアメリカで製造され、1990(平成2)年まで使用されました。3軸ロッド無しの下回りで、自重16tです。


蒜頭糖廠ではナローゲージ(五分車)の動態保存も行われており、画像中央と左側の列車は動態保存(遊覧列車)編成です。
なお「五分車」とは台湾語で762mm軌間を意味し、国際標準軌間の1435mmの約半分であることからこのように呼ばれています。


人車と思われる青い客車です。かつては動態保存に使用されていたのかもしれませんが、今は使用されている様子は無く荒れています。


遊覧列車乗車中に撮影した画像は、手すりが映り込んでいるものがあります。
2軸の有蓋車が多数留置されています。製品輸送に使われたのでしょうか。

(その2)へ続く

【台湾】花蓮市 鉄道文化園区の車両たち

2015-05-07 20:38:00 | 台湾


場所:台湾 花蓮縣花蓮市中山路71號 鉄道文化園区
保存車両:多数(画像と共に紹介)

花蓮市にある鉄道保存施設です。かつての花蓮駅の場所が整備され、当時の車両や鉄道施設が保存されています。なお現在の花蓮駅は、この場所より3kmほど離れた場所にあります。

SLはLDT103で、日本統治時代の1942(昭和17)年に日本の東急車両で製造されました。自重40tの堂々たる外観ですが762mm軌間のナローゲージ用で、ナロー時代の台東線で1969(昭和44)年まで活躍しました。
現在の花蓮駅前で保存されていましたが、2014年にこの鉄道文化園区へ移設されました。


LDT103の後ろに置かれているのは、LCC5801です。こちらもナローゲージ用で、ボギー台車を履く有蓋貨車です。
自重10t荷重15tで、この車両もナローとしては大型かと思います。


LOC7363無蓋貨車と、LCC5006有蓋貨車です。
これもナロー用です。LOC7363は自重3.3t荷重7tです。LCC5006はかなり古典的な外観で、自重2.8t荷重5tと、現在日本国内で使われている5tコンテナ並でしかありません。
台東線のナローゲージ車両は、連結器は朝顔型に似たピンリンク式ですが列車全体にブレーキをかけるためのエアーホースが付きます。長編成でナローとしては高速で走行する事情ゆえかと思います。


LFT7602タンク貨車です。台湾で最古の「糖蜜車」だそうです。台湾はサトウキビの栽培が盛んで製糖工場も多数あったため、その製品輸送に使われたのでしょうか。


小さな車両ですが大切に保存されています。自重4.8t荷重6t積載容量6.5立方メートルとされています。古い車両のためか足回りは簡素です。

これらの貨車は全て、軸重(車輪1軸にかかる重さ)6t以下になるように設計されているようです。そのためナロー時代の台東線の許容軸重は7~10t程度だったと思われます。これは762mm軌間としてはかなり立派な線路であり、日本国内では5t以上の軸重に対応できる路線は多くありませんでした。


夜はSLがライトアップされます(撮影したのは夕方ですが)。

鉄道文化園区は2015年4月時点では8:30~17:00開園、月曜と祝日は休園とされていますが、糖蜜車以外は休園日でも自由に立ち入れる場所に保存されています。
かつて現花蓮駅前で保存されていたナローの気動車や寝台車もこの鉄道文化園区へ移設されたという情報を聞いたことがありますが、訪問当日は見当たりませんでした。


【台湾】高雄市 橋頭糖廠の車両たち(その2)

2015-05-05 10:12:00 | 台湾

場所:台湾 高雄市橋頭区糖廠路24号 橋頭糖廠
保存車両:多数
(2015年4月19日訪問)

(その1)に引き続き、橋頭糖廠に保存されている車両をご紹介します。
No,941機関車と貨車3台、No,918機関車です。この貨車は側面に金網が取り付けられています。


番号不明(ナンバープレートが付いていますが、画像からは判読不能)と貨車。後ろには人車があります。


No,849機関車と貨車と人車。貨車は金網が張られ籠のような外観のものと有蓋車があります。どれも小さな2軸貨車です。


SLも保存されています。1948(昭和23)年にベルギー・TUBIZE社で製造された353号機です。
旗山糖廠(高雄市旗山区)で使用されていたそうです。


No,942機関車とNo,913機関車と貨車です。
1両目の貨車には何やら資材が詰め込まれています。3両目と4両目の貨車は、観光客を乗せるため屋根が取り付けられています。


No,920機関車と貨車(平車)。機関車はレストア待ちなのか放置されているのかあまり状態は良くありません。


番号不明の機関車とNo,908機関車。こちらはさらに状態が酷く、No,908はボンネットカバーがありません。放置されているのか、これから整備されるのでしょうか・・・。


こんな貨車も保存されています。自動連結器とピンリンク式連結器を装備しています。これは施設内に3線軌条(762mmと1067mm)があり、そこで双方の貨車を繋ぐアダプター役の貨車かと思われます。
台枠上の箱は、デッドウエイトだと思います。


正面から見た様子。貨車は762mm線路に載っています。自動連結器が偏って取り付けられていますが、これが3線軌条があったことを物語ります(自動連結器をセンターにすると、4線軌条にしなければなりません)。
しかしこの方式ですとアダプター役の貨車の向きは固定され、方向転換すると1067mm規格の貨車を連結出来なくなります。

橋頭糖廠では五分車の動態保存も行われ、貨車を改造したトロッコに乗車する事も出来ます(訪問当日は都合により未乗車)。