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ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ギンヤンマ

2018-10-25 17:31:27 | トンボ/ヤンマ科

 ギンヤンマ Anax parthenope julius Brauer, 1865は、ヤンマ科(Family Aeshnidae)ギンヤンマ属(Genus Anax)のトンボ。比較的多く目にするヤンマの代表種でありながら、これまであまり撮っていなかった。今回、産卵の様子を撮ったので、過去に撮影した写真とともにまとめてみた。
 他の昆虫でもそうであるが、どんなシーンでも誰かが必ず素晴らしい写真を撮っている。私は、それらに追いつけ追い越せというわけではなく、私の昆虫写真は、私自身が昆虫の生態や生息環境の知見を深めるための記録であり、図鑑である。様々な昆虫の生態や生態系を学ぶことで、専門である「ホタル」の保全に役立てばと思っている。

 ギンヤンマは、北海道では希種であるが、本州、四国、九州をはじめ、南西諸島や小笠原諸島に至るまで、ほぼ日本全国で見られる。近縁種のクロスジギンヤンマが小規模な池を好むのに対して、本種は大きめの開放的な池を好み、平地~丘陵地の開放的な池沼、人工池、植生の多い川にも生息し、都市部の公園、学校のプールなどでも見られる。
 体長は65~84mmと大型で、頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしている。腹部第3節の下側が白銀色をしていることが和名の由来である。オスは腹部第2~3節に水色の斑紋をもつが、メスも同じような淡青色部分のある個体(青色型)も見られる。

 ギンヤンマは、アカネ属がそろそろ終盤という10月中旬を過ぎても池を陣取っている。関東地方では8月頃に一番多く見られるが、地域によっては4月から11月頃までの間に数回発生する。オスは、飛翔占有型で広い縄張りを持って水面上を悠然と飛び回り、他のオスが縄張りに侵入すれば、物凄いスピードで追いかけ追い払う。本種は、昆虫の中で最も速く飛行する虫だと言われており、その最高速は時速60kmに及ぶと言われている。飛んでいる様子をカメラで捉えるのは容易な事ではないが、稀に向かい風にのって静止飛翔するので、その時を狙った。
 ギンヤンマは、交尾後にオスとメスが連結したまま飛び回り、適切な産卵場所を見つけたら植物等に止まって組織内に産卵する。時にはメスが単独で産卵をする場合もある。連結産卵は、小型のイトトンボ科やアカネ属では良く見られるが、ヤンマ科では異例であり、ギンヤンマだけではないだろうか。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ギンヤンマの飛翔写真
ギンヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影地:東京都 2012.9.30)
ギンヤンマの飛翔写真
ギンヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影地:東京都 2012.9.30)
ギンヤンマの交尾写真
ギンヤンマの交尾態
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:富山県 2015.9.20)
ギンヤンマの交尾写真
ギンヤンマの交尾態
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:富山県 2015.9.20)
ギンヤンマの産卵写真
ギンヤンマの連結産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
ギンヤンマの産卵写真
ギンヤンマの連結産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
ギンヤンマの産卵写真
ギンヤンマの連結産卵(青色型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)

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