ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を49年研究し保全活動してます。ホタルしか知らない人にホタルは語れないとの信念から他の昆虫や風景も掲載

ウスバシロチョウ

2016-04-20 21:25:28 | チョウ/アゲハチョウ科

 ウスバシロチョウParnassius citrinarius citrinarius Motschulsky, 1866)は、シロチョウという和名であるが、
  アゲハチョウ科(Papilionidae)
   ウスバアゲハ亜科(Parnassiinae)
    ウスバアゲハ族(Parnassiini)
     ウスバアゲハ属(Parnassius)
に属するチョウで、文字通り白く透けた翅(薄翅)が魅力のチョウである。学名のParnassiusは、ギリシャ神話のアポロが住む山、Panassos(パルナッソス)山からきている。以前、学名は(Parnassius glacialis)が使用されていた(海外では現在も使用されている)が、現在の日本では(Parnassius citrinarius)としている。尚、glacialisは「氷の」という意味である。花言葉のように蝶言葉があれば、「清楚、可憐・・・」などが当てはまるだろう。
 分類額上、アゲハチョウ科であるにも関わらず「ウスバシロチョウ」では紛らわしいことから「ウスバアゲハ」という別名も近年に付けられているが、私個人的には昔からの「ウスバシロチョウ」という名に馴染みがあり、また日本昆虫学会・日本昆虫目録編集委員会・鱗翅目分科会作成の「日本産蝶類和名学名便覧」においても「ウスバシロチョウ」と記載していることから、当ブログ本記事でも「ウスバシロチョウ」として記載し、今後も統一したいと思う。
 ウスバアゲハ属は、世界に約40種ほど知られており、そのほとんどが寒地か高山地帯にだけ分布しているが、日本のウスバシロチョウは最も南に分布し、平地にも生息している。日本には、ウスバアゲハ属が3種生息しており、本種の他2種(ウスバキチョウ、ヒメウスバシロチョウ)は北海道特産種で、ウスバキチョウは大雪山系固有で国の特別天然記念物に指定されている。

 ウスバシロチョウは、年1回、暖地では4月下旬~5月上旬、寒冷地では6月下旬~7月中旬に姿をみせるスプリング・エフェメラルであり、約150万年前の氷河期を生き延びて来たと言われており、北海道の一部、本州、四国にかけて分布し、樹林に隣接した草地等に生息している。
 本種は、様々な特異な生態をしていることで知られている。1つは、交尾を終えた雌の腹端に雄が分泌する「交尾付属物(sphragis)」と呼ばれる付属物がつけられる点である。交尾後のメスが付属物をつけられる理由は不明だが、メスが何回も交尾するのを防ぐためであると考えられている。2つ目は、成虫は、食草であるケシ科のムラサキケマンやヤマエンゴサクには産卵せず、近くの木の下枝などに産卵することである。卵のまま夏、秋、そして冬を越して、翌年の1月下旬~3月上旬頃に孵化するが、新芽が展開する前に孵化した幼虫は、食草の芽をかじりながらゆっくりと成長し、暖かい日は石の上等で日なたぼっこをするのも面白い。また、終齢になった幼虫は、地表や石の下などで枯葉をくるんで糸で繭を作って蛹になる。これらの生態は、ウスバシロチョウ特有であり、少なくとも他アゲハチョウ科ではみられない。
 また、ウスバシロチョウは分布域のどこにでも見られるわけではなく、局所的に個体群が存在してる。そのため、それぞれの地域個体群の間で遺伝的な変異が存在すると考えられており、翅が白いものから、かなり黒いもの、或いは黄色に近いものまで存在し、地理的変異・個体変異が多い種である。
 近年、数を減らすチョウが多い中、ウスバシロチョウは全国的に分布を拡大し、個体数も増えている。ただし、環境省RDBに記載はないが、茨城県RDBでは絶滅危惧Ⅰ類に選定されている。

注釈:本記事は、過去に様々な地域や場所において撮影し個別に公開していた写真を、時節柄の話題として提供するために再現像し編纂したものです。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.2 1/2000秒 ISO 200(撮影地:群馬県桐生市 2012.5.13)

ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.2 1/1600秒 ISO 200(撮影地:山梨県上野原市 2012.5.4)

ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F2.8 1/2500秒 ISO 200 (撮影地:東京都あきる野市 2010.05.22)

ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 320(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.5)

ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F3.5 1/250秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.5)

ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 640(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.5)

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2 コメント

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ステンドグラスのよう (granma)
2016-04-23 21:10:18
こんばんは、
翅が薄くてステンドグラスのようですね。
翅を広げている姿が良いですね。
ムラサキケマンが食草ならば
咲いている近くで見られたらと思いますが・・・
都会の公園でも見られるでしょうか?
ウスバシロチョウ (ホタル)
2016-04-24 14:13:58
granma様、こんにちは。
ステンドグラスのよう・・・なるほど、そんな感じもしますね。
ウスバシロチョウは、東京では残念ながら23区では見られないようです。あきる野や裏高尾まで行かないと生息していないようです。

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