ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

根本海岸 白浜の屏風岩

2020-02-02 15:16:10 | 風景写真/海

 根本海岸 白浜の屏風岩は、千葉県南房総市白浜町にあり、海岸の波打ち際から屏風のように直立している。この岩は、新生代中新世(約2500万年~500万年前)のものであるという。日本列島は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートがぶつかっており、太平洋プレートはユーラシアプレートに向けて1年に10cmくらいの速度で移動し沈みこんでいくが、根本海岸 白浜の屏風岩は、その力によって大きく押し曲げられ、波のようにうねった「褶曲構造」となった地層の一部であると言われている。現在見えているものは、波の侵食に強い泥板岩と弱い砂岩の互層が隆起したもので、洗濯板のような岩磐が汀線に沿い屏風のように切り立って東西500m以上沖まで連なっている。1955年には、千葉県の天然記念物に指定されている。

 本来、この時期は霧氷等の冬らしい光景を撮りたいところだが、かなりの暖冬で、私にとっては厳しい冬である。ただし、癌の術後の一年前とは違って、打席数は少ないものの前回の箱根はホームラン。昨年暮れの「蒲生の棚田」からヒット続きで気分は良い。このまま打率を維持していくには綿密な計画立案が必須だが、最終的には全て天候次第であるから努力のしようもない。この週末は、長野県の開田高原を視野に入れていたが、予報では気温が下がらず断念。そこで第二候補としていた千葉県南房総市白浜町の根本海岸へ向かうことにした。
 根本海岸には、2012年1月8日の夕方に訪れ撮影しているが、その時は越冬しているチョウの探索次いでに何の下調べもなく訪れたため、当地の特徴的な写真は撮れなかった。(掲載写真2及び3) 今回は半年前から事前に色々と調べて計画を立てており、イメージトレーニングも入念に行い、諸条件合致のタイミングを見極めた上での再訪である。

 根本海岸 白浜の屏風岩の美しさは何か?インターネットで根本海岸 白浜の屏風岩の画像検索をすると、様々な画像が表示されるが、これらを凌ぐ一枚を残したい。先般、撮影した「秋谷の立石」同様に根本海岸も夕暮れが良い。日の入りの方角は、1月と2月は屏風岩の正面からやや右側方向に沈んでいくが、3月になればフレームアウトしてしまうので、沈む夕日も写し込むのであれば2月末まで。また12~2月の寒い時期は「岩のり」の繁殖期に当たるため、屏風岩が緑色に覆われ独特の色彩になるから、やはり2月末までがチャンスである。
 次に潮位。満潮の時間には、洗濯板状の屏風岩は海の中に沈んでしまい、巨岩だけが見える海岸になってしまう。洗濯板状の屏風岩が作り出す不思議な景色を見ることができるのは干潮の時間帯である。ただし、緑色の岩だけ撮っても絵にならない。岩の間に潮だまりがあり、その静かな水面に夕暮れの空を映したい。干潮時、特に大潮では海水が大きく引いてしまうから難しいだろう。そこで気象庁が発表しているデータと自身の都合を照らし合わせて日程を幾つか決めておいた。
 最後は、天気である。沈む太陽は勿論必須条件だが、できれば快晴ではなく「雲」が欲しい。欲を言えば赤く焼けてくれれば最高である。選定した日の初日は2月1日(土)。運よく1月31日(金)は勤務が昼までの日で、金曜日に海に行っても土曜日は山にも行ける。30日(木)に天気予報を細かくチェックし、31日は根本海岸 白浜の屏風岩の撮影に最適と判断し決行することにした。

 1月31日金曜日。晴れ時々曇り。13時半に出発し、会社からそのまま南房総へ向かう。渋滞もない首都高湾岸線、アクアライン経由で館山自動車道。途中、 ハイウェイオアシス富楽里で遅い昼食。おばちゃん達が作る濃厚味噌チャーシュー麺と味付け卵は美味かった。
 館山自動車道の冨浦ICから先を進むと、空が怪しい。都内は快晴だったのに、ここまで来たらどんよりと曇ってポツポツ雨が・・・寒気が入って、不安定になっているのだろう。ただし、海の彼方には晴れ間がある。根本海岸には15時半に到着。早速ロケハンである。
 海岸に人影はない。さすが冬の平日午後の海岸である。念入りにポイントを定めセッティング。まずは説明的なカットを1枚。その後は夕暮れまでの間、TAMRONの70-200mmレンズで他の場所の写真と動画をいくつか撮影。雲間からは、天使のはしごが降りていた。きっと、微笑んでくれるに違いない・・・
 日の入り時刻は17時5分。CanonのEF17-35mmレンズに変えその時を待つ。浜辺に一人。沈む夕日に刻々と変わる色彩。地球の長い歴史と鼓動を感じるダイナミックな光景に更に星が輝き出し、その果てしのない広がりと時の流れに涙が溢れた。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸 白浜の屏風岩(説明的1枚)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 15:46)
根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸 白浜の屏風岩(2012年撮影)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 30秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2012.1.08 16:57)
根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸(2012年撮影)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F25 3.2秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2012.1.08 16:32)
根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸 白浜の屏風岩(天使のはしご)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/15秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 16:26)
根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸 白浜の屏風岩(日の入り)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.8秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:04)
根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸 白浜の屏風岩の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 13秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:32)
根本海岸 白浜の屏風岩の写真
根本海岸 白浜の屏風岩の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 10秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:33)

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5 コメント

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ありがとうございます (しんそう館林木戸)
2020-02-04 19:15:50
いつも美しい景色をありがとうございます。日本には沢山素晴らしいところがあるのですね。眼前にした感動はいかばかりかと…、そしてそこに至るまでのご苦労を想いつつ拝見させていただきました。ありがとうございました。
返信する
ありがとうございます。 (ホタル)
2020-02-05 14:52:51
しんそう館林木戸様、
こちらこそ、いつもご覧頂きありがとうございます。
予めイメージトレーニングして、そうなるように狙って行ったのですが、思った以上に素晴らしい光景に出会えたことに感謝したいと思います。
自然は、凄いですね!
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駐車場に関して (きどりん)
2022-09-07 00:24:07
はじめまして。
今年の夏、初めて根本海岸行きました。
シーズンオフの場合、車はどこに止めればいいですか?
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駐車場所について (古河)
2022-09-08 09:51:26
きどりん さん
はじめまして。コメント頂きありがとうございます。
根本海岸付近には駐車場が無くて困ったことを覚えています。公衆トイレの所はトイレの利用者のための駐車スペースですので、控えなければなりません。
ホテル等に事情を話して、食事したり料金を払う等して止めさせて頂く他はないです。
返信する
ありがとうございます (きどりん)
2022-10-13 18:14:09
古河さん
お礼が遅くなりもうしわけありません。
返信いただきありがとうございました。
知恵を絞ってみます!
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