幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 失恋させて

2010-11-18 21:20:28 | Weblog

 
 
  彼女は言った。
 
 「あたしに最高の失恋をさせて。あたし、失恋マニアなの」
 
  失恋?
 
  ぼくは考えた。
 
  どうやって?
 
 
  彼女は言った。
 
 「それは、あなたの考えること。
 
  あたしにあなたのこと、思い死にさせるくらい
 
  好きにならせて」
 
  思い死ぬ?
 
  ぼくのことを?
 
  どうして?
 
 
  彼女は言った。
 
 「意味なんてないの。
 
  意味なんて無意味になる世界に
 
  あたしは浸りたいの」
 
  無意味な世界に浸りたい?
 
  どうして?
 
  どうやって?
 
 
 「あなたが失恋させてくれたら
 
  一生あなたのことを思っているわ」