千の風景があって
毎日毎時刻々と変化している
ただ空を眺めているだけで飽きないのに
美を堪能するためだけに生まれてきたのではないから
視線のベクトルを水平に向け
ぶつかる障害物がどんなに醜くても
それらを認識するしかない
そうだろ?
あなたに訊いているんだ
あなたは何でもできる?
たとえばぼくのために何でもできる?
あのときはそう言って
それは永遠だと約束して
やっぱり時は刻々と変化して
そんな約束、存在したことすら忘れて
あなたの存在すら、どこかへ行ってしまった
あなたはどこかにいて
これを読んでいるかもしれない
だとしても
もう、ぼくとは関係ない
あの世に行っても出会わない
あなたはぼくを知らない
今日の夕焼け空に浮かんだ雲の姿を覚えていないように
ぼくは、その他大勢の一人に過ぎない
誰もちぎれた雲のひとつひとつに
名前を付けたりしないだろ?
すぐに形を変え、消えてしまう雲に
でもぼくには名前があって
あなたにも名前がある
それをお互いに呼び合って
笑い合ったとしても
時は永遠に形を変え、流れ、消えてしまう