幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 簡単にできる方法

2010-11-11 22:54:50 | Weblog

 
 
  簡単にできる方法
 
 
  たとえば
 
  あの水平線の少し上で瞬いている星
 
  掴むことはできないが
 
  そこまで行くことができたら
 
  簡単にできたら
 
  
  
  時間をなくす方法
 
  宇宙の裏側まで行って
 
  またここに戻って来る
 
  一瞬で、できたら
 
 
   
  できたら
 
  
  たとえば
 
 
  あなたとの会話を
 
 
  望もうが望むまいが
 
 
  録音テープの初めと終わりを輪っかにして
 
  永久ループの繰り返し
 
 
  どこから来たんですか?
 
  名前は?
 
  何を見ているの?
 
  大きな目
 
  あなたは私の目を見ている
 
  私もあなたの目を見ている
 
  ストップ! ここでカット!
   

  言葉はBGMみたいなもの
 
 
  たとえば
 
  簡単にできる方法
 
 
  愛し合うために
 
  見つめ合いながら
 
  別の時空に消えてしまう方法
 
 
  一瞬は
 
  持続すればするほどいいに決まっているから
 
 
  でも、光の煌めきのように
 
  瞬かないと美しくないから
 
  闇の中で輝くなら、なおいい 
 
  さらに際立つのは
   
  寒い夜
 
  漆黒の星空の下とか
 
 
  そうしたら
 
  もうあなたは
 
  逃げられない
 
 
  そして、簡単にできる
 
 
  たとえば
 
  あの水平線の少し上で瞬いている星
 
  掴むことすらも
 
 
  できるくらい
 
 
  簡単に
 
 
  一瞬を永遠にストップさせて
 
 
  二人でその輪の中に閉じ込められたら
  
 
  
  そのときは怖がらなくていいよ
  
  
  あなたはわたし
 
 
  わたしはあなた
 
 
  だから