幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 しあわせって

2008-04-02 21:33:00 | Weblog


 しあわせって
 
 中空に浮かぶ
 
 死にぞこないの
 
 中毒のようなもの
 
 
 リップスティックを塗りたくったって
 
 そんな唇
 
 革命家のアジテーションさえ
 
 だれも聞かないうわ言のようなもの
 
 
 だから
 
 どんなにパンティを脱いで
 
 尻を丸出しにしたところで
 
 中世の尼じゃあるまいし
 
 デカメロンの現代版の撮影ですかと
 
 通行人にきかれるようなもの
 
 
 だから
 
 100万カラットの
 
 フローレスダイヤモンドを拾ろったって
 
 それがしあわせなんて
 
 地球の貧困の種をまたひとつ
 
 地面に投げ捨てるようなもの
 
 
 だから
 
 お小水をまき散らす噴水のしぶき口あけて飲み込み
 
 京都の禅寺で叫んで
 
 たとえば道元和尚にきいてみよう
 
 悟りがきみを幸せにしましたか、と
 
 ところが
 
 そこにいたのは
 
 ナンシーという名のアメリカ人観光客
 
 ぼくを見て
 
 忍者だと思ったのか
 
 赤いチークでほほ笑んだ
 
 
 それって
 
 まるで幸せのように感じたから
 
 ジンでも飲みたくなって
 
 ウインクした
 
 
 それって
 
 まるで幸せのようなものだから
 
 勃起してきて
 
 赤面してきて
 
 路上を走った
 
 
 路上を走って
 
 路上の電柱に
 
 立ちションした
 

 それって
 
 まるで
 
 猿の惑星の進化形のような
 
 しあわせ ?