しあわせって
中空に浮かぶ
死にぞこないの
中毒のようなもの
リップスティックを塗りたくったって
そんな唇
革命家のアジテーションさえ
だれも聞かないうわ言のようなもの
だから
どんなにパンティを脱いで
尻を丸出しにしたところで
中世の尼じゃあるまいし
デカメロンの現代版の撮影ですかと
通行人にきかれるようなもの
だから
100万カラットの
フローレスダイヤモンドを拾ろったって
それがしあわせなんて
地球の貧困の種をまたひとつ
地面に投げ捨てるようなもの
だから
お小水をまき散らす噴水のしぶき口あけて飲み込み
京都の禅寺で叫んで
たとえば道元和尚にきいてみよう
悟りがきみを幸せにしましたか、と
ところが
そこにいたのは
ナンシーという名のアメリカ人観光客
ぼくを見て
忍者だと思ったのか
赤いチークでほほ笑んだ
それって
まるで幸せのように感じたから
ジンでも飲みたくなって
ウインクした
それって
まるで幸せのようなものだから
勃起してきて
赤面してきて
路上を走った
路上を走って
路上の電柱に
立ちションした
それって
まるで
猿の惑星の進化形のような
しあわせ ?
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