本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

阿修羅像搬出

2009-04-28 23:32:49 | 住職の活動日記
 今日のテレビでしたか、NHK 『 プロフェッショナル 』

という番組です。

 日通運輸の美術運送専門チームです。

奈良の興福寺の 『 阿修羅像 』 です。

なんともいえない、あの表情がとても好きな仏像です。

しかし、あのなが~く延びた腕、

この腕の表情というか、バランスが絶妙です。

 東京博物館で 『 阿修羅像 』 の展示会があるのです。

奈良から東京までどうやって運ぶのかとても興味深く思っていました。


 以前東寺の宝物館にいた頃、展示会の時にはいつも立ち会っていました。

そのとき革新的な運搬方法を考え出した方がおられました。

フルネームは忘れましたが 『 長谷川さん 』 という方です。

 それまでは仏像を運ぶ時には、仏像自体に 「 うすよう 」 という紙で

丁寧に巻いて、それから、綿で布団を作り、それを仏像に重ねて、

巻いてゆき、さらに晒しで巻いて、あたるところがないように

大きな塊にしていくのです。


 それを 『 長谷川さん 』 という方は、

仏像の構造を調べて、その仏像の要所だけを固定する、

という方法を編み出されました。

 この方が仏像に対してもとても負担が少なくてすむのです。


 今日の主役は 日通運輸の 『 海老名和明さん 』 という方です。

その梱包の仕方を見てると、『 長谷川さん 』 を思い出しました。

海老名さんも62歳、私と同じです。

たぶん、その頃、長谷川さんの下で仕事をされていたのではないでしょうか?


 今回も、『 阿修羅像 』 の補強されている部分を

X線写真で調べ、その部分を固定して、

全体を大きなアルミのフレームで覆うという方法です。

 この方法ですと、『 阿修羅像 』 を直接的に

固定しているのは、足の部分と補強を入れた腰の2箇所という

これですと、仏像にとっては全体に力がかかることなく、

運搬できるということです。

 それに、海老名さんはさらに、科学的な振動を吸収するという

方法も考えておられました。


 『 長谷川さん 』 という方も、黒子に徹した方で、

あまり表面には出られませんでしたが、

この方の技術が受け継がれて、今日、プロフェッショナルの

名工として 『 海老名さん 』 を生み出したことは

人事でなく、とてもうれしく拝見いたしました。
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