本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

口伝・(ロイ)

2024-04-21 21:00:07 | 十地経

六角堂の池坊会館に

入る横の壁面に

 

 

こういうモニュメントは

「池坊専応自伝」といわれる

「大巻伝」(おおまきでん)

といわれる巻物を石に彫り

モニュメントとしたもの

です。

説明書きには

「池坊専応口伝」

16世紀中頃、

池坊家の祖先、池坊専応が

弟子に授けた花伝書で

「瓶に美しい花を挿すこと」

と、池坊が伝える

「よろしき面影をもと

とする」いけばなの違いを

説いています。

とあります。

 

やはり、こういう

花の世界でも口伝という

ことが教えを伝えていく

方法のようです。

紙に書き写し伝えたら

正確でいいのではと

思うのですが

手ほどきをして口で伝える

ことが肝心です。

 

勉強会の折、

話す内容を文章にして

渡すのです

ですからそれを読めば

内容は分かるのです。

勉強会といっても

一緒にそれを読んで

いきます。

その文章を渡せばそれで

いいのですが

一緒に読みながら聞き

自分も目で読んでいく

 

欠席した人は

その文章を下さい、

ということでそれを読めば

それで済むのですが

しかし、

貰ったといっても

なかなか読めないものです

なにか 一緒に読む

というところに意味がある

ようです。

 

お釈迦さまも

話の内容を書き留めては

いけない、

と注意されています。

耳から聞く

全身を耳にして聞きなさい

とは、師匠の言葉です

また、

仏法は毛穴から入る

ともいわれます。

 

本当に聞いたことは

感動して、そのことは

心に残るものです。

その残ったことを大切に、

大事にして実行する

そのことが本当に聞く

ということなのです。

 

面白いことに

お参りする作法の経本には

ところどころ「ロイ」と

書いた部分があります

ここのところが

「口伝」ということで

伝の「云」を略しています

 

このところは師匠から

口伝えに習うところです

まあ、もったいぶっている

ところもありますが

誤解を生まないためにも

直々に師匠から習う

何かしら、そういうところに

教えを受け継いでいくという

意味があるようです

 

ですから、

本当に大切なことは

文字に書くよりも

口から口へと伝える

ということです

 

日本の伝統文化もそうで

師匠から弟子へ

形を教え

それをやらせてみて

口でなおし、正しく伝える

口で伝える、口伝

というところに

ものごとは正しく伝わる

ようです。

 

やっても見ない人に

いくら口で伝えても

それは理解できないでしょう

やってみると

どうしても分からない

ところが出てきます

そういう時に師匠から

こうやるんですよと

口で伝える時

初めて正しく伝わると

思うのです。

 

やはり、口伝という

ちょっと秘なるものも

あるのですが

それは口伝が出来るまで

達していないと

誤解を招くということ

なのでしょう。

 

この説明書きには

川端康成がノーベル賞を

受賞した時

その記念講演で

この花伝書を引用して

いけばなが小さい瓶上に

大きい自然を象徴する

ものであること

「野山水辺を

のづからなる姿」を

花の心として、破れた器

枯れた枝にも”花”があり

そこに花による悟の種

があるー

と書いてあります。

 

 

 

 

コメント
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