毎年7月になると思いだす事がある。
若い頃、仕事が5時で終わり、一旦家に帰り夜のチヌ釣りに毎晩
出かけていた。
一人で行く事が多く、夕方出かけ、夜10時には、
帰って来るという毎日だった。
このチヌという魚は警戒心が強く、話し声や物音や光を嫌う。
そのため、真っ暗な海で一人静かに淡い電気ウキの小さな光を
見つめる、というおよそ私にふさわしくない光景になってしまう。
釣り仲間からある耳よりな情報が入って来た。
ある場所でチヌがばんばん釣れるという。
でも、何かが出るらしいので、一人では絶対に行ってはいけないという。
こういう事を聞くと、天の邪鬼な性格が黙ってはいない。
「一人では絶対に行ってはいけない?」・・ふ~ん。
じゃあ一人で行こうじゃないの・・(奥様に言わせると「負けん気」が
強いらしいのだが、本人はごく普通と思っている。)
土曜日の夜に決定。
日曜日の朝、帰宅予定。
奥様には3人で行くと報告。
(うそも方便というもので・・)
現地着は夜の9時。
なるべく道具は軽めにする。
そこから岩場を10メートル降りる。
さらに横に100メートル程岩場を歩く。
慎重に歩かないと、こけてしまう。
頭に付けたライトで周りを照らす。
直径10メートル位の平たい岩場だ。
夜10時に釣り開始。
潮は右から左にゆっくり流れている。
淡い電気ウキの光が沖の方に流れて行く。
曇っているため月も星も出ていない。
ライトを消すと真っ暗だ。
風も波も無い。
昼間のセミの声がうそのように静かな時が流れていく。
釣り初めて何時間たったのだろう。
私の目の前を何かが横切った。
え?
目の前は真っ暗な海なのに?
突然後ろから何か声が・・・・。
振り向いた。
誰もいない。
ライトで周りを照らす。
いるわけがない。
空耳か。
又、ウキを見つめる。
その時だ。
背中に人の気配が。
いや、人ではない、何かの気配が・・・。
背筋が凍りつく。
あぶら汗が出てくる。
振り向けない。
そして、恐れていた事が・・・。
「・・・・釣れますか?」
冷たい声だ。
それは人の声だが人ではない。
動けない。
心臓はさっきから早鐘のように鳴りっぱなしだ。
やばい。
どうする、どうする。
頭は完全にパニックだ。
もし振り向いたら・・・。
「振り向け」・・「いいから振り向け」
別な私が命令する。
負けず嫌いな天の邪鬼が命令する。
振り向く・・・・・。
・・・・・・誰もいない。
周りを照らす。
私以外この岩場には誰もいない。
冷や汗が噴き出る。
真っ暗な海に目を向けた途端、
今度は頭の上から声が聞こえた。
ぅわ~~~~~~~~~~~~~。
ぉおおおおおおおお~~~~~~。
叫んだ。
とにかく叫んだ。
声を出さないとおかしくなりそうだった。
声を出し続けた。
まるで気がふれたかのように声を出し続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・去った。
何か解らないが去った。
周りの空気が軽くなった。
帰り仕度を始めた。
竿を仕舞いかけた。
その時、もう一人の私が話しかけてきた。
「帰るのか?」
(当たり前だろ)
「朝まで釣るんじゃないのか」
(無理だろう)
「負け犬か」
(・・・・・)
「しっぽを巻いた負け犬か」
(・・・うるせえ)
「お前のとりえは負けん気が強いところじゃないのか」
(・・・・・・)
・・・・・再び、朝まで釣る事になった。
もう、魚なんかどうでもよかった。
大声で歌った。
朝まで歌い続けた。
夜が明けるまでが長かった。
・・・・空が明るくなった。
助かった。
魚はすべて海に返した。
なんだったんだろう?
この日を境に一人の夜釣りは止めた。
まぁ、人がするなという事はしない方が良いという
いい事例と反省している。
この事を話すと、奥様は心配し、二度と釣りは行けないだろうからと
内緒にしてきたが・・・・もう良いかな?
・・・・・・・・・・・・・・
話は変わるが、中断明けの甲府戦。
チームが変わったかのように思えたが、
この間の水戸戦は、バラバラで何も変わってはいなかった。
明後日の千葉戦は変わった新生トリニータをぜひ見せて欲しい。
大化けしたトリニータを期待する。
追記
お盆前の商戦で私の休みもいよいよなくなりつつあります。
夜は寝るだけの毎日になります。
千葉戦、富山戦とスカパーはおろか録画も見れません。
盆明けまでブログの更新は致しません。
でも、仕事をしながらトリニータの応援だけは、しっかり
したいと思います。
参戦される皆さま方、選手への応援よろしく
お願いいたします。
「G裏町内会」の皆さま、富山戦は行けませんが、
心は大銀にあります。
「大分よりの使者」をぜひ一緒に歌いましょう。