神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

丹生神社

2009年05月26日 | 奈良県

奈良県奈良市丹生町


奈良市街からは、東へ6キロほど離れた山間部にある。
辺りは茶畑が点在する穏やかな地形で、山間部と言っても明るい風景が広がる。
神社は集落の西外れの細い尾根上にあって、私がよく行く鬱蒼としたイメージの神社とは違うだろうと思ったが、とりあえず何となく、それでいて、何だか「行こう」という強い意志があったりもした。
時々、そんな風にして訪れる場所というのがあり、そういうのも何かの縁かな、と少し思ったり・・・。

丹生というからには水銀が思い浮かぶが、それとの関連については現地の案内板を見ても触れられていなかった。
興味深かったのは、この地区が明治に村を挙げて神道に改宗し、一切の仏事を廃した、ということで、事実、集落にお寺は無い。
境内には祖霊社があって、氏子はそこに祭られるようだが、お寺も無いわけだし、お墓も無いということだろうか?
特に仏教に関わっているつもりはなくとも、一切の仏事が無いとなると、何だかとても不思議な感じがする。



新緑に朱の鳥居が映える。
入り口は、意外と緑が深いな、という印象。



ところが参道は、きれいに塗り固められたコンクリート、手摺は金属製、しかも結構な登りで、潤い少なくちょっと味気ない。
見上げて撮るとコンクリートの階段が壁みたいになって無味乾燥気味な写真になりそうだったので、振り返って緑を多めに入れる。



その味気ない参道の先に見える二の鳥居。
高みに朱と緑が輝いて、ちょっと「ハッ」とさせる美しさだ。



赤、紅、朱・・・どの表現を使えばいいのか迷うけれど、晴れて明るい時に見れば単純に派手なだけに思える色が、陰を纏うと空恐ろしいような深みを帯びる。
古色蒼然とした色合いもいいが、こういう艶めいた色が持つ奥行きの、誘い込むような鼓動を、先人達はもっと鋭敏に感じ取っていたのではないか、なんてことを思ったりした。



右端にある黒い社殿が祖霊社。
曇天から薄日が射し、鳥居を浮かび上がらせる。



境内は狭く、左右の建物も現代的であるから、目は必然的に前にばかり向く。
いや、そうでなくても、朱と緑と石垣の色合いには目を奪われたかも知れない。



本殿には近付けなかったが、国指定の重文で、檜皮葺の春日造は気品がある。


2万5千分1地形図 柳生
撮影日時 090522 8時20分~8時50分

駐車場 なし。近くに僅かに道路が広くなっている場所もあるが、普通車なら車道にはみ出ると思われ・・・。
地図

 


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (幽黙)
2009-05-26 20:21:22
独特の空間ですね
品格とか気品とかそういう言葉が
ぴたりとはまって似合うところって
神社空間でもそんなに無いのですが
こうした空間が守られているって
とても素敵なことです

六月の但馬の滝…
楽しみにしてますよ

六月の後半半月が
仕事がお休みになってしまったので
さて何をしようか…
今から考えてしまいます
ゴールデンウィークやお盆や正月より
長い休みなんて…
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Unknown (Jun)
2009-05-26 21:54:23
緑の中の朱色、もう見つけたら即走って行きたい衝動に駆られますね。
お稲荷さんでなくても赤い鳥居の神社がいっぱいありますが、目立つので見つけやすくて嬉しいです。

ネット仲間で神道の家の人がいて、お葬式から後のことまで丁寧に説明してくれたことがありました。仏教の家から見たら、「あまりお金がかからなくていいな」とか「何回忌とか法要しなくていいな」と気楽なところばかり印象に残りました。(笑
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Unknown (hiro1jz)
2009-05-28 19:52:49
>幽黙さん
ここは実際の見た目としては、
境内は狭く、木々もあまり多くなく、
社殿以外の建物が目障り、といったことから、
あまり良い空間とはいえないんですよ。
ただ、薄曇の光線と、レンズを通して四角く区切って見た時、
肉眼とは違った空間になりました。

但馬は猿壷に行ってきますよ。
最近は兵庫の神社に全然行ってないんですが、
次も滝だけで神社は行けそうにないです・・・。

休みが半月!
もしそれが、在庫調整とかそういった不況の影響によるものなら、
喜んでばかりもいられないですが、
ここは前向きに楽しみたいところですね。
私としても、豊富で多彩な記事が今から楽しみです。


>Junさん
緑に赤は映えますよねぇ。
個人的には、薄暗い緑の中にある赤が好きです。
不気味かも知れませんが、妖艶さが魅惑的というか。

ああ、なるほど。そういう見方も出来るんですか。
確かに仏教より安くつきそうな(笑
なんか宗教とは関係ない日常的なところにも、
違った観点や考え方が生まれそうで面白いです
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あれ? (era)
2009-05-28 22:58:07
式内の丹生と勘違いしました。こんなに素敵だった
かなと思ったら奈良市なんですね。
緑と朱のマッチングが素晴らしいですね。
一枚目と三枚目はいいなぁ~。
駐車スペースなしですか・・・

人との縁がなくなるといかない場所ってあります
よね。糺の森は市民にも愛されているしマニアに
も喜ばれる記帳な場所ですよね。
下鴨神社の人も親切ですしね。
機会あれば写真撮ってきてください。

茨城=ヤンキー・・・正解!悪友が原発の仕事し
ていて色々な地域に仕事に行くんですが茨城だけ
が職員の車が改造車だらけだそうです。
青山は良い意味で放置プレーなんですが、あの
状態が続くと・・・心配なんですよ。
水が綺麗とうえば昨日参拝した長野の樋知大神社
という場所にある湧水から流れる水が素敵でした。
石も苔むしていて・・・写真は大失敗でした。
hiro1jzさんみたいに撮れないですぅ。

たしかに、あの白山は燃え尽きるだけの魅力あり
ますよね。でも燃え尽きてもhiro1jzさんの写真
なら凄いの撮れるでしょ。問題は天気だけです
よ。
狛犬さん復活して安心しましたよね。

uziさん
梶原一騎が新日本プロレスと極真空手との戦いを
画策したときの選手がウイリー・ウイリアムスが
熊と戦ったんで「熊殺し」なんてネーミングだ
ったんですよ。
でも、その熊とウイリーとの戦いの映像は・・・
でした。
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Unknown (hiro1jz)
2009-05-29 08:15:09
奈良県に丹生神社で式内社ってありましたっけ?
奈良近辺は朱の社殿や鳥居が多いので、
この時期、緑との取り合わせが綺麗です。
この日は奈良の6社を周ったんですが、
全て朱色の社殿でした。
駐車禁止区域ではないと思いますが、
路駐気味になると、気が引けますよねぇ・・・。

下鴨なんかは、誰か知人を連れて、
案内がてら行くのが良さそうなので、
そういった機会を待ちます。

やっぱり茨城は多いですか(笑
多少、車をいじってる私としましては、
その職員達を笑えない・・・。
樋知大神社いいですねぇ。
参道も良さそうだし、植物も多いみたいで、
しかも湧水があって、さすがは信州。
やっぱり東日本がいいなぁ・・・。

白山で燃え尽きる以前に、
遠征中は小食なのと車中泊とで、
二日目はヘロヘロになってしまいます(笑
でもやはり天気ですね。
ボツにだけはならないように・・・。
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やっぱし・・・ (むっちゃん)
2013-03-05 23:06:10
ここも参拝済みだったのですね。

3月3日に行って来ました。

ここの入り口の”御茶屋さん”ほんといい匂い醸し出しておりました。

で、mixiなら写真ウピなのですけどここでは写真見せれないので悔しいです。

境内、拝殿左の社務所脇から本殿脇まで行けて本殿じかに写真撮って来ましたよ。

小さいけど本殿のとこに極ミニマムな狛犬がいる。

氏子さんらがいたので光学迷彩で写真撮影しました。でも音はするので、ほんの数枚しか撮れませんでしたけど・・・

ほんま”先生のテリトリー”やなぁ~と思った!(^_^;)
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(* ̄ー ̄)v (hiro1jz)
2013-03-06 00:51:14
>むっちゃんさん
そうなんです(笑
といっても、この辺りは決してテリトリーではないですが。
私のテリトリーは亀岡、南丹、篠山の東半分、それから南紀の一部、です。
写真見たいです。
フォト蔵みたいなところにアップされませんか?
いや、メンドクサイですよね、すみません。

え、本殿脇まで行けるのですか?
ここの本殿は気品があって美しいですよね。
いいなぁ。
ちっちゃい狛犬も見たかった・・・。
どうも写真を撮るのに夢中になると、周囲に対する観察力が鈍って、
見落としが多くなってしまいます。
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