神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

山國神社

2008年06月06日 | 京都府

京都府京都市右京区京北鳥居町

最近掲載の記事は、写真枚数が増える傾向にあって、しかも撮影時期が新しいものが多い。
写真が増えるのは悪いことではないと思うし、撮影時期は新しい方がいいのだろうけど、過去の写真を整理していると、やっぱり捨てがたいなぁ、などと思える写真が出てきたりする。
ここもそんな神社の一つで、過去に掲載しようと思いつつ取りやめたままになっていたものだ。

この神社は、恐らくは京北を代表する神社であろう。
山間に開けた平地にあるので、山よりも里の気配が濃いが、静かで落ち着いた佇まいである。
神社の横には公園、背後には桂川の流れがあって、のんびりと麗らかな雰囲気の場所だ。



国道を外れて桂川に向かう一直線の道に入る。
既に参道なのだろう、アスファルトではなく小奇麗なものだが、車の進入は可能である。


振り返れば、伸びやかに広がる朝の風景だ。
平地にあるが、民家からはやや離れている。


格天井の拝殿と、本殿。
この天井は、蜂が巣を作り易いのか、巣の跡がたくさんあった。


本殿。


神社横の公園では、ネジバナが花盛り。
雑草のようなものであるが、花の形をよく見れば判るようにラン科の植物で、螺旋状に咲く面白い姿と、可憐な花は魅力的である。


神社の背後を流れる桂川。
ずっと曇ってたが、やっと日が射してきて、山あいから水蒸気が立ち上る。


2万5千分1地形図 上弓削
撮影日時 070705 5時半~6時半

駐車場 神社横にスペースあり
地図



内尾神社

2008年06月04日 | 兵庫県
兵庫県丹波市氷上町三原

この神社を地図で見つけたとき、何故か妙に惹かれた。
集落からは離れているし、目の前はゴルフ場だ。もしかしたら、管理する人もおらず、荒廃しているのでは、という危惧を抱いた。或いは、明るいゴルフ場に面して、乾いた落ち着きのない空間であるかも、と思ったりもした。
なのに、やはり気になる。
神社前の道路は山中で行き止まりになるので車など通りそうにない。ゴルフ場があるなら空も広いだろう。そう考えて、ならば夜明け前に現地へ行き、誰も来そうにない場所で星を眺めるのも悪くないと思い、出かけてみることにした。

空は思いのほか狭かった。というのも、予想外に立派な杉が茂っていたからだ。
夜明けとともに浮かび上がる鳥居。深い杉木立の中に伸びる参道と石段。その先に、朧げに姿を現す拝殿。
打ち震えるほどの悦びに満たされた瞬間だった。

ここへは三度、訪れている。以前に「滞在時間」という記事でも触れたが、三度で6時間をここで過ごした。
夜明け前には境内を闊歩するアライグマに出逢った。彼は二本足で立ち上がって私の方を窺い、そのあと境内の池に潜って金魚を捕食した(らしい)。そのせいかどうか、池の金魚は残り僅かだ。
狐の鳴き声も耳にした。至近距離で鹿の声も聞いた。獣が多いから、ヤマヒルやアブにも出遭った。

そんな野性味溢れる神社であるが、夜が明けてしまえば、ゴルフ場の作業車が行き交い、やや落ち着きに欠けてしまうのだけど、とにかくお気に入りの場所である。



鳥居、参道、石段、拝殿と一直線に続く構成は定番なのだが、それでいて、ここまで雰囲気良く纏まっている空間はあまり無い。参道がやや短いのが残念。


両側は、とても立派な杉木立である。
神域の気配がひしひしと伝わってくる。


石橋の下には小さな流れ。
拝殿の奥に聳える杉は、落雷のためか上部が欠損している。それでもなお、高く屹立している。


拝殿前から振り返る。
道路の向こうも杉林だが、そこはもうゴルフ場の敷地で、木の間からは芝生も見える。


社務所と御神木。


拝殿左手の斜面にある境内社。


参道を横から見る。


林間に、朝の光が射し込んできた。


境内にも一条の光。


荘厳なる空気を湛えた光景に息を呑む。
お気に入りの画像なので、大き目のものを。

以下は似たような画像なので、コメント省略。










地図に名前は載っていないし、こんな神社を見つけたときの喜びはひとしおなのだけど、ネットで検索すると既に紹介されていて・・・。
それでも、私の思い入れが画像から伝わるのではないかと思います。

2万5千分1地形図 大名草
撮影日時 080313 6時20分~9時20分
9枚目のみ070812 8時30分

駐車場 あり
地図

原地神社

2008年06月01日 | 三重県
三重県南牟婁郡御浜町神木

熊野市から熊野川に至るまでの範囲にある神社は、川沿いにあることが多い。どれも清流と言ってよい流れで、しかも殆どの神社で大木が見られる。
この、原地神社もそういった神社の一つであるけれど、なんと言うか、この辺りの神社全般的に、ちょっと雰囲気が明るいのである。
北から西にかけては山、東から南にかけては海、という地勢的な要因もあって、木々が茂っているわりに日当たりはいいし、温暖な地というイメージも相俟って、どうも陰影に乏しい気がしてしまう。
勿論、それは良いか悪いかということではなく、好みかそうでないかということであって、大らかな雰囲気と、日差しと木々と流れに恵まれた、豊かな場所であるとも言える。
ただ、私としては、明るい雰囲気の写真を撮るのが苦手であるので・・・。



国道から逸れて、集落内のやや狭い道を進むと神社前。
想像していたよりも立派な神社で、参道両脇には大木が立ち並び、幟も賑やかだ。


拝殿は、熊野市にある大馬神社と似たような形状で、何となくロッジのようなものを連想してしまう。
本殿は、背後の覆屋の中にある。


境内すぐ横の流れ。朝陽が反射して眩しい。
この川の上流に、「不動の滝」というのがあるらしいので、ちょっと足を伸ばしてみることにした。
不動の滝は、ネットでも僅かしか情報が無いが、国道に看板も出ていたし、変わった形状の奇瀑ということである。

神社から更に集落の奥へと進む。
やがて民家は途切れて林道となり、その終点に駐車スペースがある。ここからは徒歩だ。


林道終点付近からは、岩壁のそそり立つ南紀らしい山容が望まれる。
山道ははっきりしており、特に険しいところもないが、運動不足の身には堪える。
散策というには少し厳しい道のりである。


30分近く歩くと、急に左右が門のように狭まって、高く岩壁が屹立する。その奥に、水量が少ないながらも滝が見えてくる。


滝を懸ける岩壁はオーバーハングしており、水は中空に飛び出す。よって、滝の裏側に廻ることが出来、不動明王も祀られている。
水量が少ないのが幸いして、飛び出した水が、ぼうっと浮かび上がるのが神秘的だ。


ちょうど山から太陽が顔を出し、滝に一条の線を描く。


神々しい輝きだ。


水飛沫を浴びながら、独特の美しさに眺め入る。

下山後、腕に山ダニが付いているのを見つけた。ズボンをめくると膝にも一匹。コイツは気付かずにいると、一週間でも血を吸い続ける迷惑なヤツで、風呂に入っても死なないのである。しかもそうなると、頭部を皮膚に食い込ませてちょっとやそっとじゃ離れず、無理に剥がすと頭部が皮膚の中に残って化膿するかもしれないという代物だ。
幸い、本格的に食いつかれる前に気付いたので事なきを得たが、それでも払っただけでは取れず、引っ張らないと皮膚から離れなかった。

何だか神社より滝がメインになってしまった・・・。


2万5千分1地形図 木本
撮影日時 080522 原地神社 7時~7時15分
             不動の滝 7時50分~8時50分

駐車場 あり
地図