神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

車中泊

2008年04月20日 | その他
 車中泊をよくする。1BOXカーとかじゃないので、普通に座席の背もたれを倒して寝るわけであるから、決して寝心地は良くない。
 宿泊代を浮かすとか、時間を最大限に使うとか、その他、宿泊施設を利用するときの煩わしさから開放されるためであるからとか、いろいろ理由はある。しかし・・・車中泊をするために、わざわざ近所の山へ行くことも度々ある。
 車中泊をするため、ということは、夜に家を出て山中へと車を走らせ、気に入った場所に車を停めて眠り、朝が来たら・・・家へ帰るのだ。

 普通の人は、車中泊をするとなると、どこかのパーキングエリアだとか、コンビニの駐車場に車を入れて、とかになるのだろうが、私の場合、そばに車が停まっていると寝付けないし、明かりがあっても駄目なので、夜中には滅多に車の通らない山中へと赴く。そして、行くなら新月の前後あたりを選ぶ。

 月の出ない晴れた夜、山中では息を飲むほどの星空に出会えることがある。神社と同じで、私は星に詳しいわけでもないのに、ただ見ているのが好きなのだ。
 空が群青色から黒に近くなる頃、もう地上には届かない太陽の光を、遥か上空で反射させた人工衛星が横切っていく。星星の光に埋没しそうになりながらも、それは意外なほど多く、空を行き交う。
 やがて、耳の奥で静寂の虫が鳴き出す。かと思えば、すぐ横の茂みで動物の足音。遠くから聞こえる物悲しげな声は狐のものだ。いつの間に近くに来ていたのか、びっくりするほど大きく甲高い声を上げるのは鹿である。フクロウの声はマイペースだ。
 山の中は、静かでありながら驚くほど賑やかだ。動物や虫の声だけでなく、谷川のせせらぎ、風の音、木々のざわめきを耳で拾い、目は蛍火や流れ星を追う。
 それらに囲まれて、それらを感じながら眠るのは、至福のひとときである。多少、寝心地が悪くても、どこか解きほぐされていくような安寧が得られる。

 不思議なもので、空が白み始める頃には自然と目が覚める。
 空から、満天の星空の余韻さえも消え去ると、鳥の囀りが賑わいの中心になる。それもまた好ましいものだ。
 何となく気合が入ってきて、とても爽やかな気分で、その日、最初の神社へと向かうことが出来る。
 ただ、午後にはドッと疲れることが多いのが難点・・・。

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