神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

狛犬さん

2011年08月16日 | その他

先月から車のエアコンの調子が悪くなり、とうとう完全に故障してしまった。
もう随分と長く乗っている車なので、故障するのも仕方が無いのだけれど、馴染みの車屋さんに相談すると、「もう買い替え時やで」とおっしゃる。
確かに、修理したとしても、またすぐどこか壊れてくるだろうとは思う。
中古で買ったときで6万キロ、そこから更に9万キロ乗ってきたのだから、相当くたびれてきている。
でも、地球二周ぶんほど付き合ってきた車でもある。

道具というものは、単なる消耗品に過ぎないものもあるが、使えば使うほど愛着の湧くものもある。
カメラも昔より価値は下がったとはいえ、そういう傾向があると思うし、車もそうだろう。
どこかが壊れたからといって、じゃあさよなら、という気にはなれない。
もちろん金銭的な面もあるけれど、少なくともここに掲載してきた場所は、全て今の車と共に周ったものばかりで、思い出の詰まった車だから、まだ暫くは付き合っていきたい。
というわけで、あちこちで見積もり取ったり部品取り寄せ等にお盆が挟まったりして、まだ修理が出来ていない。
エアコン無しではさすがに出掛ける気になれず、写真も撮れていないので、暫くは過去写真からばかりになります。

で、今回は狛犬を。
神社好きの中に、狛犬好きが占める割合というのは結構高いのではないかと思うけれど、私はそれほど意識してこなかった。
しかも写真に撮るのは難しく、どうしても「ただ撮っただけ」になりがちで、その表情や躍動感や刻まれた歳月といったものを表現出来ない。
だからついつい撮らずに素通りしてしまうことが多いのだが、それでも数百社という神社に訪れたのだから、探せばそれなりの数の狛犬写真が見つかる。
過去の記事に載せたものもあるが、こうやって集めてみると、懐かしさと、何かいとおしいような思いになって、これからはもうちょっと、語りかけるように接してみようかな、なんて思った。



奥上神社 京都府舞鶴市吉田
小ぶりで、童子のようにあどけない表情。
夕暮れで薄暗くなる境内で、ほっ、と和やかな気分になれた。



河原神社 京都府舞鶴市河原
伐採されて殺風景な境内に、所在無げな様子で佇んでいた。



大川神社 京都府舞鶴市大川
普通の犬っぽい狛犬。
比較的、光の状態が良く、狛犬がちゃんと主役になってくれた。



劔之宮王子神社 兵庫県加西市西剣坂町
本殿脇のとても素朴な狛犬。
思わずにっこり微笑んでしまう。



八柱神社 兵庫県篠山市初田
どこか思案顔(?)の狛犬さん。



春日神社 兵庫県篠山市川北
睨みを利かせる狛犬と、重なる緑の先に鳥居。






大森神社 三重県熊野市育生町尾川
狛犬を撮るとき、どちらか一方の光線状態は良くても、相対している以上、反対側は良くないことが多い。
ここでは珍しく、阿形、吽形ともいい光が狛犬に注がれていた。
どちらもマンガチックな表情で迎えてくれる。



滝神社 三重県熊野市神川町柳谷
ここにコメントを下さる方が、「哲学する狛犬」とおっしゃられたが、緑深い中で、本当に思索に耽っているように見えた。



八幡神社 三重県御浜町大字上市木
これはもうなんと言うか、二頭身、いや、顔から脚が生えていると言うべきか、とにかく見た瞬間のインパクトが凄かった。






仲山神社 三重県津市美杉町下之川
こちらもインパクトの強さでは代表格。
マニアの間でもブサイ───いや、ユニークな狛犬として知られているようだ。
阿形の方が強烈だが、吽形の方がとぼけた顔をしているのにすましてポーズを決めているようで可笑しかった。



色川神社 和歌山県那智勝浦町大野
薄暗い中での手持ち撮影でピントが合ってないけれど、酒飲みの陽気なオヤジっぽくていい味を出していたので。



盈岡神社 兵庫県朝来市和田山町宮内
何やら物思う風情の狛犬。
こういう風に、風景に溶け込む感じで、尚且つ狛犬が主役になるような写真が撮りたいのだけど・・・。



養父神社 兵庫県養父市養父市場
忠犬、或いは執事のような端正な佇まい。



日置神社 福井県高浜町日置
オーソドックスなタイプの狛犬に、大木と境内社。
神社らしい一コマかな、と。



佐伎治神社 福井県高浜町宮崎
これもよくあるタイプの狛犬だが、このタイプの狛犬らしい躍動感が少しは出ただろうか。



天神神社 京都府木津川市梅谷
これも神社風景としての狛犬。
というか、鈴緒の賑やかさに驚く。



若宮神社 滋賀県野洲市南櫻
滋賀県で時折見かけるタイプの狛犬。
どことなく爬虫類的なような・・・。



野蔵神社 滋賀県野洲市南櫻
上の神社のすぐ近く。
狛犬のタイプも共通するものがあるが、こちらはちょっとコワイ。
何となく嘲笑ってるような・・・。



川田神社 滋賀県湖南市正福寺
厳めしい顔付きだけど、その短躯のせいか可愛らしくもある。



飯道神社 滋賀県湖南市針
子持ちの狛犬は珍しくないけれど、これは覆い被さっているようにも見える。
子供の頃、原っぱでよく見かけたオンブバッタを思い出した。
そういえばカエルでもこんなの見かけたなぁ。



──還りゆく──


廣嶺神社 福井県若狭町日笠



熊野神社 福井県小浜市熊野



新鞍神社 福井県おおい町川上



久須夜神社 福井県小浜市堅海



椎村神社 福井県小浜市若狭



日枝神社 福井県高浜町東三松



坂本神社 京都府綾部市田野町
本殿裏に、現役を退いた狛犬が一対。
阿形は口から欠けてしまっているけれど、数十年、或いは100年以上もの間、お互い少しの距離を置いて神社を見守り続けてきた狛犬が、最後はこうして寄り添って、静かに過ごせて幸せそうに見える。
ゆっくりゆっくり、一緒に、自然に還るのだ。


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15 コメント

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Unknown (Jun)
2011-08-16 21:21:09
狛犬は好きですけど、おっしゃる通り、案外撮影が難しいですね。
光線の向きが阿吽で逆になったり、妙に前が狭くて十分ファインダーに入らなかったり、周囲が変にごちゃごちゃしていたり。
それに、あまり狛犬に注意を向けない人が多くて、「狛犬って芸術よね」と言ったら、「そお?」って変な目で見られたり(笑
一つの神社に何組か複数あったりするので、神社の数より多いです。
周囲をぐるりと撮影しても良いし、一番好きなアングルからだけ撮っても良いし。

幽黙さんの様に狛犬と会話してるみたいな個性をつかむ様な写真とか、hiro1jzさんの様に風景の中の美しい姿をつかんだ写真とか、どの狛犬の写真も見飽きないし、どれが好きとか嫌いとか言えない面白さがあって、ネットでいろんな写真を楽しめて良かったなぁって思います。

今日は丹波市の鴨神社の狛犬を撮りました。
この暑さでは狛犬もベロを出したくなっているでしょうね(笑
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Unknown (hiro1jz)
2011-08-17 05:51:11
>Junさん
狛犬の撮影は本当に難しいです。
Junさんがおっしゃられるように、
光の条件、周囲の状況から、とにかく構図が決め辛いです。
てっきり狛犬好きな人は多いと思ってましたが、
それほどでもないんですかね。
私自身は芸術という見方はしてないようで、
もう少し親しみやすくて、もう少し存在が曖昧です。
たとえ個性的な狛犬であっても、
なんかそこにいて当たり前というか、溶け込んでるようで、
芸術のような強い存在や自己主張を感じないんですよね。
だから撮るときも、自然物と同じように扱おうとしてしまうのですが。

狛犬を狛犬として正面から捉えられるのは、
幽黙さんをおいて他にいらっしゃらないというか、
もはやあれは「愛」なのではないかと(笑
自分のことを棚に上げれば、
狛犬の「写真」に注力している人は少ないようで、
こんな狛犬がいるのか、と楽しむぶんには沢山のサイトがあるのですが、
心惹かれる狛犬の写真にはなかなか出逢えないです。

ベロを出した狛犬、どこかにいてもよさそうな(笑
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Unknown (chiaki)
2011-08-17 16:21:37
こんにちは。
いつも感心して見させてもらってます!

私なんかがこういうこと言うのも恐れ多いのですが
私、狛犬好きなんですよね。
どうも愛着が湧きます。 特にばかっぽい表情のは(笑)

狛犬自身は石なのでいつも同じ顔してるはずなんですが
表情豊かだなあと思ってしまうんですよね。
子ども狛は大きさがパグと同じくらいなので
もう愛犬にしか見えなくて(笑)見つけたら毎回愛でてます。

この前神社に行ったら牛みたいな狛犬?
もしくは狛犬みたいな牛がいました。
あれは何だったのでしょう。。 ←知らん
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Unknown (幽黙)
2011-08-17 16:57:01
狛犬だ~♪

半分ほどは愚生も
逢ってきましたが
半分ほどは
まだ逢えずにいる子たち
というか
日本中の狛犬たち
いったいどれくらい
いるものやら…

今回の中では三重県ですよね
これからはちょっと三重県も
ターゲットにいれなければ…

そして還りゆくものたちへの眼差し
苔生して石に戻っていく狛たちは
一見すると儚くて寂しげなんだけど
実はとても幸せの姿を
見せてくれているような気がします
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Unknown (幽黙)
2011-08-17 17:03:02

横からですがchiakiさん

牛がいるのは
天神さん、天満宮です

菅原道真を祀る神社ですね
これは道真が生まれたのが
丑年であったり
道真が亡くなったのが
丑の月の丑の日だったとか
とにかく牛に縁があるので
天満宮の神使いは牛ということに
なったわけです
全部が全部ではないでしょうが
基本天満宮には牛がいます
狛犬のように阿吽左右で
作られているものもあるようですが
狛牛とはあまり表現しないようですが…
大半は一頭単独が普通のようです
数がある場合はその単独のものが
たくさん寄進されているということで
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Unknown (akeiro)
2011-08-17 19:14:59
みんなユニークな顔してますね。
思わずニヤけてしまいます。

狛犬って地域や時代、作り手によって変わるので
個性豊かなんですよね。

元々は狛犬にあまり注目していなかった人間なんですが、
狛犬専門に扱ってるサイトを見て、狛犬の多様性を知ってから注目するようになりました。

だから、こんなに多くの狛犬を見ると...
やっぱりニヤニヤしてしまいます。
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Unknown (hiro1jz)
2011-08-18 08:27:42
>chiakiさん
いやいや、感心されるようなものは何も・・・。
題材が題材だけに、若い人はあまり来ないので、
chiakiさんが平均年齢下げてください(笑

私もこんなブログやってますが、
神社や狛犬に関する知識は皆無ですし、
好きという気持ちがあれば充分だと思います。
というか、将来マニアになって神社ガール流行らせてください(笑

表情豊かなのは、見る者の気持ち次第でもあると思います。
飼い犬も、飼い主の気持ち次第で表情が変わりますよね。
あれって、他人から見ると表情の違いが殆ど判らない。
つまりは生きてるものも動かぬ石も、
気持ちを向けると見え方が豊かになるというか・・・。
たぶん、どこかにまるちゃんそっくりの狛犬もいると思いますよ。

幽黙さんが答えてくださってますが、
神社名が「○○天神」あるいは「○○天満宮」でしたら牛そのものです。
牛じゃなくて、本当に牛みたいな狛犬でしたら貴重ですのでその子に逢いに行きます。
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Unknown (hiro1jz)
2011-08-18 08:48:38
>幽黙さん
狛犬です~♪

それでも半分ほども逢われてるんですねぇ。
いったい今までにどれ程の数の狛犬に逢われたのか。
狛犬のいない神社も結構ありますけど、
二対以上いる神社もありますし、総数は見当もつきませんねぇ。
幽黙さんも狛犬特集やってください。

三重は没個性な神社が多いですけど、
狛犬に関しては逆な感じですよね。
伊勢方面は名阪国道で行きやすいですけど、
南紀方面はやっぱり一仕事ですね。

ここに掲載しなかったものも含めて、
自然に還っていく狛犬は殆ど若狭なんですよ。
風化しやすい材質の狛犬が多いのか、
それとも氏子さん達の考え方なのか、
とにかく他の地域とは顕著な差が出ています。
哀切にも見えますが、
歳月や想いや、いろんなものに包まれて、充たされているようにも見えます。

いつも的確な答えを代わりにして頂いて感謝です~。
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Unknown (hiro1jz)
2011-08-18 08:57:56
>akeiroさん
実際に神社で見ているときは、
なかなか一人でニヤけるわけにはいかないのですが、
改めて写真で見てニヤけてしまいました(笑

私も狛犬には関心が無かった方なんですが、
何百社も周っていると、やっぱり個性的なものは目に付くようになってきて、
ちょっと興味を持って見るようになりました。
神社以上にバラエティに富んでいて判りやすいですから
ファンも多いのでしょうね。

ニヤニヤしてもらえると嬉しいです(笑
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もどりました (era)
2011-08-18 23:15:06
hiro1jzさんの狛犬シリーズは予想していなかった
なぁ。しかし固定的なの多い。幽黙さんじゃない
けど今回は三重が大活躍ですね。滝神社が一番好き
ですね。哲学しています。三重県小浜町の八幡さん
の狛犬凄いなぁ。仲山神社も凄い!自分も神社いっ
てるほうだけどいろんな狛犬さんいるなぁ。

車わかりますよ。愛着の問題ですよ。単純に代える
気にならないですよね。自分も来年車代えようと
思いますが迷いもありますよぉ。

いってきましたよ。一番よかったのは松尾でした。
やはりhiro1jzさんと幽黙さんの写真のうまさを実
感しました。すごくよく再現してますよね。
居心地のよさでは岩戸落葉。あと能勢のくささ神社
が予想よりよかったぁ。
あ松尾は跡継ぎいます。まだ資格ないだけでした。
ぜひ今度はhiro1jzさんも一緒に何処か行きましょ
うよ。幽黙さんもだな。
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